沖縄・台湾友の会

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媚中NHKの新型肺炎報道─「台湾も中国だから発症状況は深刻」と言いたいか

2020-02-18 22:35:10 | 日記
【メルマガ台湾は日本の生命線!】媚中NHKの新型肺炎報道─「台湾も中国だから発症状況は深刻」と言いたいか

媚中NHKの新型肺炎報道─「台湾も中国だから発症状況は深刻」と言いたいか

ブログ「台湾は日本の生命線」より。ブログでは関連写真も↓
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3431.html

2020/01/28/Tue

■「台湾排除をするな」という産経の正論

中国で発生した武漢肺炎の感染拡大を受け、WHOは1月22、23日に緊急委員会を開催したが、発症が見られた国の中で唯一、ここへ招かれなかったのが台湾だ。中国に従属するWHOは、ここに至ってもなお、台湾を排除し続けている。

こうした不条理さを見かねたのが産経新聞だ。25日に「WHOと台湾 排除続ける場合ではない」とのタイトルで社説を掲げ、次のような正論を展開している。

───中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の発症が台湾でも確認され、蔡英文総統は、世界保健機関(WHO)への台湾加盟を認めるよう改めて呼びかけた。

───中国が「一つの中国」原則を盾に台湾を締め出し、WHOがそれに屈するいびつな構図が続く。だが人命にかかわる公衆衛生の深刻な事態に台湾という空白域をこれ以上放置してよいはずがない。拡大阻止に責任がある中国は無用な介入をやめ、WHOも門戸を即刻開いてもらいたい。

───「台湾は世界的な防疫の最前線だ」と蔡氏が訴える通り、経済規模でマレーシアを上回り、人口2300万人の台湾排除は感染対策の抜け道となる恐れがある。

───中国外務省の報道官は、台湾の参加は「『一つの中国』原則下で行われなければならない」と述べた。参加したいなら同原則を認めよ、という露骨な態度である。

■武漢肺炎のより深刻な「中国独裁ウイルス」

台湾の参加は「一つの中国」原則下で行われなければならない、というのは、台湾自らが中国の一部であると認めることがWHO参加の条件だという意味だが、これほど横暴な主張はあるまい。国際社会に向かい国家主権を自己否定しろと、中国は台湾に要求しているのだ。

この「露骨な態度」について台湾紙自由時報は23日、「武漢肺炎より更に深刻な中国独裁ウイルス」と題する社説でこう論じている。

───17年前のSARS蔓延の時、中国はわざと発症状況を隠蔽し、しかもWHOにおける台湾への圧力を緩めず、我が国の参与、防疫を排除活動し、台湾を全世界の貿易システムにおける一大空白にいたばかりか、我が国で医療スタッフを含む73人を死亡させ、台北市和平病院及びその周辺が封鎖されるという恐るべき光景を作り出した。

───中共独裁統治のロジックに従えば、国家は個人より重要で、政治はすべてに優先する。防疫とはもともと医療の問題であって統一独立の問題とは無関係のはずだが、台湾が「一つの中国」原則を受け入れず、中国の一部であることを認めないため、中共から見れば台湾人の生命の価値などゼロに等しい。人道上の配慮など、台湾人には適用させない。

───中国は全面的に台湾の加盟を阻止するばかりか、WHO総会へのオブザーバー参加というささやかな願望までにぎりつぶす。こうしたふるまいは台湾の民衆の医療人権への侵害であると同時に、台湾の高水準の公衆衛生システムによる国際社会への貢献をも妨害している。

■中国覇権主義なる「人類の敵」を前に日本メディアは

自由時報の社説にあるように、台湾人の生命を蹂躙することも厭わないのが、この中国の「独裁ウイルス」なるものだ。このような人類の敵ともいうべき身勝手な覇権主義が、今や台湾だけならず世界の人々の健康をも脅かしつつあるのである。

産経の社説は「WHO憲章は人種、宗教、政治信条などの差別なしに『すべての人々が最高水準の健康に恵まれる』権利を定める。(中略)政治的理由での台湾排除はこの権利にも反しよう」と論じるが、更に一歩踏み込み、「一つの中国」の考え自体が虚構であるとし、中国がそのようなものを掲げること自体が間違いであると非難してはどうだろうか。

つまり「『一つの中国』原則など台湾侵略・併呑を正当化するための虚構宣伝であり、台台湾は中国領土の一部などではなく、WHOに加盟する権利がある、とまで訴えなければ、日本を含む国際社会が、このような宣伝に騙され続けるという危険な状況はいつまで経っても打開できない。

たとえそれで中国が激怒し、産経の中国総局が閉鎖を余儀なくされても、それにより台湾のWHO加盟の道筋がつけば以って瞑すべし、とくらい言いたいところだが、しかし「一つの中国」宣伝を真正面から否定できずにいるのが、日本メディアの悲しい現状なのである。

そればかりか、今回の武漢肺炎問題で、「中国ウイルス」と歩調を合わせるメディアすらある。

それはNHKだ。

■「一つの中国、一つの台湾」との現実を否定するNHK

NHK NEWS WEBが開設する「特設サイト・新型ウイルス肺炎」では武漢肺炎関連のニュースが「中国・台湾の状況」「日本では」「世界では」とカテゴリ別に分けられている。「中国」が「世界」から切り離されるのは、もちろん最初の発症国にして最悪の発症状況だからだろう。しかし「台湾」は「中国」とセットにするのではなく「世界」に含めるべきだろう。

しかしNHKがそうしないのは、中国への配慮だ。外国のメディア、企業がサイト等で「中国」カテゴリから「台湾」を外し、「一つの中国、一つに台湾」という現状を反映させてしまうことを、あの国がどれほど嫌っているかをNHKは知っている訳だ。

しかし「中国・台湾の状況」というカテゴリを設けるだけで、国民の間では「台湾もまた中国の一部であり、感染者が続出している」との誤った印象を広げかねないのである。これは報道機関にはあってはならない媚中愚行と言える。

実際に「中国・台湾の状況」のカテゴリを開くと、案の定「中国」関連のニュースばかりで、「台湾」関連のものはわずかだ。そしてその中に「新型ウイルス肺炎 台湾でも1人の感染を確認」という21日に配信の記事があるので読んでみると、ひどいものだ。

■ここまで中国の顔色をうかがうNHKの報道

次のようにあるのだ。

「中国で新型のコロナウイルスによるとみられる肺炎への感染が広がっている問題で、台湾の保健当局は……」

「中国大陸以外で感染が確認されたのは、タイ、日本、韓国についで、台湾が4例目」

上の文を見ると中国は「中国」と表記されるが、下の文ではおかしなことに「中国大陸」に変わっている。それはなぜかと言うと、もしここで「中国」と書いた場合、「中国以外で感染が確認されたのは、タイ、日本、韓国についで、台湾が4例目」となり、「台湾」が「中国以外」と位置付けたことになり、中国からのお叱りを免れ得ないからだ。

台湾の人々を失望させることになるが、WHOと同様にNHKもまた中国の言いなりであるわけだ。

中国覇権主義に平然と付き従うこの公共放送はこのように、人類の平和と福祉の敵を演じているのであるが、こうした事態を果たしてどれほどの日本国民が気付いているのだろう。

上海市長が湖北省書記に、武漢市の新書記は山東省から    国務院の香港澳門弁公室の責任者も交替した

2020-02-18 22:33:45 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月14日(金曜日)
          通巻6368号
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 上海市長が湖北省書記に、武漢市の新書記は山東省から
   国務院の香港澳門弁公室の責任者も交替した
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湖北省の蒋超良・党委書記が解任され、後任に応勇・上海市長が指名された。
上海市長と言えば、権力の栄華に輝くポスト。かつて江沢民がついていた。大都会から田舎へ飛ばされるのだから、応勇はさぞしょげかえったのではないか。応勇は、習の側近と言われるが、その政治力より、仲良し人事であり、莫迦が去ったらアホが来たといわれかねない。

焦眉の武漢市。無能力をさらした馬国強・党委書記が解任され、山東省・済南市の王忠林・党委書記が指名された。
王忠林は山東人。異例の移動である。この矢継ぎ早の人事異動は、もちろんコロナウィルス災禍が原因だが、武漢市書記の交替劇は、中国のネット世論が不満を爆発させた結果である。

というのも昨師走に眼科医の李文亮医師が、「なんだかSARSに似た症状がみられ、伝染病対策を取るべきではないか」と発言したところ、「社会秩序を乱した」として当局に厳重に注意され、その後、李医師が2月7日に新型肺炎で死去したことでネチズンが怒り心頭、情報を隠蔽した「市のトップは責任を取れ」、はては、「習近平よ、武漢へ行け」の大合唱となっていた。こうした不満のすり替えが必要と判断したのだ。

 同時に香港のトップが交代した。
 さきにも中国の出先機関である香港連絡弁公室の王志民が解任されたが、国家行政部門の香港澳門担当トップも交代した。しかも、前任は「副主任」へ降格という見せしめ人事となった。

 国務院香港澳門弁公室主任の張暁明が降格し、新任は夏宝龍(浙江省書記)。夏は天津人で、すでに定年を過ぎているが、能力の高さを評価されたからという。
 こうやって習近平は人事の組み替えで、住民らの不満を抑え込もうと躍起だが、所詮は蜥蜴のしっぽ斬りでしかないだろう。

「2025 中国製造」より「トイレ革命」が先決だろ    「マスクで視察の習近平よ、武漢へ行け」。中国のネチズンが騒ぐ

2020-02-18 22:23:21 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月13日(木曜日)
          通巻6367号
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 「2025 中国製造」より「トイレ革命」が先決だろ
   「マスクで視察の習近平よ、武漢へ行け」。中国のネチズンが騒ぐ
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 中国の大都会。林立する摩天楼。百階建ての超高層ビル。壮観の極みである。
二十四時間ネオンがきらめき、繁栄は天に向かっていた。上昇気流に乗って轟音ととともに、皆は上を向いていた。上だけを見ていた。後ろを振り返る人はすくなく、虚栄の市に気が付かず、高価なブランド品が飛ぶように売れた。
 まるでイカロスの翼。

 摩天楼の中身はと言えば、エレベーターホールで待つ人が数百、平均15分待ち。つまりエレベーターがまともに動かないからだ。ビルが傾斜し、まったく動かないのもあって、テナントが撤退すると空室もまま。ゴーストタウンは昨今の中国名物だが、有名な摩天楼も、ビルの中は空っぽというゴーストビルが無数に建った。
 立派なビルも、トイレが汚染されている。日本のウォッシュレットをみて、中国人はびっくり、大量販売店で実物を買って帰る人も増えた。

 パリのポンピドーセンターに飾られた「イカロスの墜落」は巨匠シャガールが描いた。天空を飛ぶイカロスは太陽に近づきすぎて、翼が解けてバラバラになり、墜落した。
 イカロスの失速は、いまの中国経済に喩えられないか?

 突如、経済活動が止まり、中小企業はサプライチェーンが機能不全に陥ったため仕事がない。高くなった賃金は払えない。ビル工事はどこもかしこも途中でカネが続かず中断している。
セメントも建材も、クレーンも放置され、生コンはミキシングが止まれば固まってしまう。町全体が幽霊の出没区と化けて、日本の駅前シャッター通りを何百倍の規模にしたような寂寥たる光景がある。

 習近平が獅子吼してきた「中国の夢」。
2045年にアメリカと肩を並べ、世界をG2で二分して統治し、GDPは世界一となり、「デジタル人民元」が世界の基軸通貨になる。当面は「2025 中国製造」が目標とされた。

 ビルの裏町の不衛生、いまのコロナウィルスはやがて収束するだろうが、不衛生な環境が改善されない限り、疫病は今後も新型を産み、間歇的に経済活動を中断、頓挫させるだろう。

「2025中国製造」より、「トイレ革命」が先決だったのだ。
 ネチズンは冷ややかに批判する。「習近平よ、武漢へ行け」。

IR導入を決めた日本だが澳門(マカオ)の教訓を生かせるのか。    世界一のウィン、一日3億円弱の収入がゼロ状態

2020-02-18 22:18:42 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月12日(水曜日)弐
          通巻6366号
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IR導入を決めた日本だが澳門(マカオ)の教訓を生かせるのか。
   世界一のウィン、一日3億円弱の収入がゼロ状態
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「corvid19」とWHOから命名された武漢発新型肺炎によって、不夜城だった澳門(マカオ)の火も消えた。カジノホテルが営業を停止したため、中国大陸からの博徒が寄りつかず、いきなりGDPマイナスの展望となった。

 嘗て澳門のカジノといえば、香港から船で一時間。圧倒的に香港から、同時に香港滞在の外国人観光客が賭場に駆けつけ、大金をかけた。地下のVIPルームの常連には金正男もいた。澳門の銀行は北朝鮮の資金洗浄に使われていた。日本でも製紙会社の弐代目が数億円をすった事件があった。

 中国から博徒が押し寄せるようになったのは2000年頃からで、24時間営業のカジノホテルが23軒、多くがフェリー乗り場、国門、飛行場とをピストン輸送する無料バスを走らせている。殆どが中国大陸からの博徒、その数、年間2800万人。

 改革開放とともにラスベガスの本家から澳門への進出が続き、世界のカジノ御三家はウィン、サンズ、そしてMGM。世界最大級のカジノはベネチアン。
 すべて勢揃い、タイパ島は総合レジャーランドに変身し、澳門の歳入は歳出を上回り、ひとりあたりのGDPは8万2千ドル(ちなみに日本は3・9万ドル。香港は5・2万ドル)。

 もとより澳門の老舗はスタンレーホー・一族のリスボアホテル。いずれもコロナウィルスの猛威が確認され、国門を閉めたため閑古鳥が鳴いている。
 「ウィン・リゾーツ」は2019年第4四半期決算発表で、世界一の営業成績を誇ったマカオのカジノ閉鎖により、1日平均で260万ドル(約2億7500万円)の赤字とした。

 ウィンは澳門のタイパ島のど真ん中、ゴンドラのようなケーブルカーでホテルに入るが前面が人工湖である。この壮大な景観と規模にまず度肝を抜かれる。ホテルの目の前が新規開業のモノレール駅であり、はす向かいがMGMホテルである。

 カジノにとって旧正月は一年で一番の稼ぎ時、それが全面閉鎖となったわけだから、2020年の収益は望み薄、全世界で3万余の従業員のうち、澳門だけで12000人のスタッフがいる。
 経営陣は「危機は必ず乗り切る」と習近平と同じ台詞を吐いているが、ウィン・リゾーツの株価は年初来、すでに10%以上の下落を示している。

 IR導入を決めた日本、サンズもウィンも日本に事務所を開設して準備に余念がないようだが、この澳門の教訓を生かせるのか。

中国依存度の高い日本企業は地獄を見るかも知れない   寸断されたサプライチェーン、再構築の展望が拓けてこない

2020-02-18 22:17:37 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和弐年(2020)2月12日(水曜日)
         通巻6365号   <前日発行>
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 中国依存度の高い日本企業は地獄を見るかも知れない
  寸断されたサプライチェーン、再構築の展望が拓けてこない
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 日産は中国で生産している部品がストップしたため、日本国内での生産ラインが停まった。九州のふたつの主力工場でラインが停まり、年間40万台の主力車種がもろに悪影響を被った。
逆にエンジンを中国のサプライチェーンに供給出来なくなったトヨタの、中国工場のいくつかも生産ラインをとめた。とくに愛知県のエンジン工場は生産調整に入り、このエンジンが輸出できないと中国での生産も不可能となる。トヨタの天津工場、吉林省、四川省、広東省などの工場も、操業不能状態に陥った。
なにしろトヨタ、日産は中国の販売台数が、日本国内より多く、日本車トータルで中国の販売は五百万台を超えている。その足下が脅かされた。

同様にブリヂストンやマツダも操業再開の目処が立たず、ドイツ車もフォルクスワーゲンは成都の完成車工場が生産ラインを止めた。GMもしかり。

自動車部品工場が集中するのは広州、天津、無錫などで、部品が足りないという悲鳴と同時に「工員が出社しない。いや出社しても仕事がない」という悲鳴である。
 操業再開などと言っても、社員が出社しない。生産現場は自宅勤務というわけにはいかない。生産が中断すれば、販売に影響が出る。輸出納期には間に合わず、ときに違約金を支払う羽目になる。

 自動車ばかりか、アパレルでもレナウン、ユニクロなどは中国での委託生産が多いため、物流に停滞が生じている。くわえて中国の税関では人手不足とマスクなど医薬品の輸入集中があって通関作業に大幅な遅れが出ている。これも部品供給の遅れに繋がる。泣きっ面に蜂である。

 かろうじて一部工場再開をしたのは住友化学、村田製作所、日本精工、ソニーなどだが、旧正月前のフル生産に遠く及ばず、先行きは真っ暗だという。サプライチェーンの再構築の展望はなく、視界は霧に閉ざされている。
 第一、死者数の少ない北京、上海でも人通りがない。地下鉄はがら空き、あの人が一杯のチャイナは何処へ行ったのか?
 「中国之夢」はやはり蜃気楼だったのか。


 ▲コロナウィルス災禍を倒産、契約不履行の「口実」に

このコロナウィルス災禍を「口実」に支払いの遅延、不払い、倒産も表面化した。このときとばかり「不可抗力」条項を活用して、契約不履行が静かなブーム。鋼材、アパレル、建材分野がとくに目立ち、2月10日時点で、有力企業の契約不履行は97社にのぼるという(日本経済新聞、2月11日)。
 またこれを撤退の口実としてワタミは中国全土の店舗を閉鎖した。スタバは全土で二千軒が閉鎖したままである。

 サプライチェーンの寸断は日本ばかりか、韓国、台湾の経済をがたがた揺らし、組み立て工場が稼働するフィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアに飛び火、ASEAN諸国全体が大がかりな被害を受けた。
チャイナウィルスの経済直撃弾である。

 韓国では自動車部品の輸入が間に合わなくなって現代自動車の生産ラインがストップ、なかでも大悲鳴に近いのが台湾の鴻海精密工業だろう。
 ピーク時に百万人、深せんや鄭州に大工場にあるファックスコムはいまでも70万人を雇用しており、アップルのスマホ組み立てで興隆し、昨年までは昇龍の勢いにあった、この台湾企業とて米中貿易戦争あおりで景気の先行きに暗雲が立ちはだかっていたが、コロナウィルス災禍によって操業再開も衛生検査などで計画が遅れ、輸出の目玉が継続生産できない見通しとなった。このため1月30日の株式市場で同社株は9・9%のストップ安となったほど。同日の台湾株式は、なんと198社が一斉にストップ安となった。大暴落と同義である。

 震源地である中国の株式市場はどかーんと急落した。10%のストップ安に至らなかったのは当局が「売るな」「悪質な空売りは犯罪として扱う」などと投資家に厳命しているためである。それでも旧正月明けの2月3日の株式は9%の下落ぶりだった。

 同時に資金流出が起こった。IMFの調べでは284億ドルが中国から海外へずらかり、時価総額にして4兆ドルが株式市場から消えた。

 株安は日本の株式市場を混乱に陥れ、全面安の展開。とくに中国の消費者向け化粧品を売ってきた資生堂、コーセー、ファンケル。そしてマツモトキヨシ、ビックカメラ、ヤマダ電機など投資家が震撼するほどに下落を演じた。

 アジアばかりではない。欧州でも、中国からの部品供給がとまって、フィアット・クライスラーが生産を停止した。イタリア北部は工業地帯、ミラノからトリノにかけてフィアットの主力工場がある。
欧州の自動車メーカーで、部品を中国に依存している企業は四社。いずれも操業再開の展望がなく、欧州市場の自動車販売シェアが塗り変わる可能性もあるという。


 ▲ブラック・スワンの最悪シナリオに備えよ

 「ブラック・スワン」は長らく「あり得ない鳥」と目され、「考えられない災禍」という文脈で比喩されたものだった。
実態には豪州で黒い白鳥が見つかり、想定外の現実が起こりうる喩えとして、市場関係者の用語にもなっていた。筆者自身、ニュージーランドの公園で、ブラック・スワンを目撃したことがある。もちろん、写真に撮った。

 デビット・ルーベンスタイン(カーライル・グループ創業者)は、「市場におけるブラックスワン」として、(1)中東などにおける軍事衝突の大規模化。つまり戦争、(2)日本とアメリカの債務の爆発、(3)世界的なペンディミック(伝染病)の大流行の三つをあげた。
 しかし、筆者からいえば、これら三つのシナリオは想定内のことでしかなく、ブラック・スワンの最悪シナリオとは、第一に中国の債務不履行により世界の債券市場の壊滅的打撃、第二に中国経済の沈没による世界経済の大幅な後退、そして第三に伝染病を地域に限定させるための中国封じこめが想定されること、中国は近代化のピッチを突如中断し、世界のお荷物になることである。

 インバウンドが激減し観光業界が大不況に突入したが、これは第一段階でしかなく、次の段階は中国のGDP成長率がマイナスへ転落し、中国依存のサプライチェーンに巻き込まれてきたアジア諸国の大幅な景気後退。日本もGDPマイナスに陥没するだろう。

 中国から逃げ出したカネは次の投機機会を見いだせずに滞留すれば、それもまた厄介な問題を生む。この投機的で流動的な巨額が原油や穀物市場への投機は考えにくいから、あるいは米国、欧州、日本の不動産市場への投機という、やけくその投資行動がおこるかも知れない。


 ▲事態がここまで悪化した元凶は中国の情報隠蔽と、出鱈目な情報しか上に上げない全体主義システムの欠陥である

 またWHOの事務局長が、中国の指示に従って非常事態の宣言を遅らせ、情報を開示せず、旅行中止はやり過ぎなどと中国よりの発言を続けたため、とくに日本の対応が致命的に遅れた。日本は依然として国連信仰の、プリンシパルのない追随国家という印象はぬぐえない。

 現実には中国のガソリン消費が激減し、ひいては原油輸入が20%の落ち込み、したがって原油市場も20%安の市況となって産油国ばかりか、ロシアが悲鳴を挙げた。
 ロシアは米国同様に中国からのフライト乗り入れを禁止しており、また海南航空、中国南海航空はロシア人スタッフ百名をいきなり解雇した。

4200キロの国境線にある九つの国門(満州里、スイフェンガ、ウスリー、黒河など)を封鎖し、出入国を厳格化した。中国からのツアーは全面的に入国禁止である。このためオーロラ観測で中国人観光客が夥しかったムルマンスクの観光ツアーは八割減。
 労働就労ビザも差し止め、遠くボルガ川流域の学校まで閉鎖措置、中国との鉄道も事実上輸送を止めている。「開いているのはガスパイプラインだけ」という(「モスクワニュース」、2月9日)。

 エカテリンブルグヘ赴任した中国領事は「二週間、領事館に留まれ」として、外務関係の業務もストップ、かくしてロシアも又、米国と同様に国防第一の措置を取っているのである。

 東京五輪後は確実に経済鈍化と予想されてきた。ところが、五輪そのものの開催も危ぶまれる今日、最悪のシナリオは五輪中止だが、死者が千名を超えて収まりが見えない日々、五輪開催の有無も、現実の問題として、顕著な予兆となってきているではないか。