いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

連合の動向(2006年1月)/山崎孝

2006-01-22 | ご投稿
9条「改正」集約せず 連合、加盟労組の批判で変更

 連合(高木剛会長)は1月19日、東京都内で開いた中央執行委員会で、憲法九条「改正」に踏み込んだ「国の基本 政策に関する連合の見解」案について、加盟組合の批判が強く、意見の一致がみられないことから、「一元的に考え方を集約すること、統一的に対応することは現段階では控える」と確認。「憲法の平和主義、主権在民、基本 的人権の尊重」を重視し、「憲法改正を俎上(そじょう)にのせることは、時期尚早」とした2003年の現行政治方針を統一した考え方とすることで合意しました。

 見解案は、日本 が攻撃された場合に自衛権を発動するなどとし、そのために、(1)憲法九条を改正し、詳 細を規定する「安全保障基本 法(仮称)」のような法律を制定する、(2)憲法九条の改正はあえて行わないが、同じく「安全保障基本 法」のような法律を制定する―と両論を併記。民主党の提起も受け、三役会でまとめ、昨年10月の定期大会で採択を予定しましたが、連合内で「改正すべき」という意見と「堅持すべき」との意見に真っ二つに分かれていました。(2006年1月20日「しんぶん赤旗」電子版より)

昨年の連合の会長選挙で、対立候補者は憲法擁護の立場を表明して立候補しています。立候補者は小さな組織出身であったにもかかわらず、予想外の得票を獲得して組合全体を驚かせました。連合の指導部は多くの組合員が憲法擁護の声を無視することが出来ないでいます。

連合の政治方針案にあった「(1)憲法九条を改正し、詳 細を規定する「安全保障基本 法(仮称)」のような法律を制定する」は、自衛権発動に関る歯止めを設けるとも思われますが、報道では不明です。自衛権の発動に関するものであれば内閣法制局の見解がありますから、憲法を変えなくてもよいと思います。

今回の連合の決定は、油断は出来ない側面は持ちますが、連合内の改憲派が組織ごと改憲への潮流に乗れなかったのは、今日の世論の反映でもあると考えられます。

内閣法制局の見解は、2004年10月の朝日新聞で、内閣法制局長官は解り易く述べています。

我が国が武力攻撃を受けて、国民の生命、財産が危機にある時に、黙ってみていることは国家としてはありえない、という立場をとってきました。国家の最低限の義務として自衛権は行使できる。ただ、集団的自衛権はそれを超えていると考えます。とりあえず国民に被害が及んでいない。国民の生命、財産が危険にさらされている場合と違います。

内閣法制局長官は更に、現憲法下で集団的自衛権行使が出来るとした意見(註 小泉首相は就任当初この考え方であった)について、わざわざ9条があるのは何のためだろうか。おそらく日本 国民が「平和憲法」と考えてきた感覚と違うし、歴代政権の理解とも違う。

これが多くの日本 人の気持ちや考え方ではないでしょうか。万が一の備えは必要だが、武力で紛争を解決してはいけない。この考え方と結びついて、外国に自衛隊を派遣して軍事行動はしないという考え方を強く持っていると思います。

北条時宗が権力を握っていた時代に蒙古の軍隊に侵略を受けただけで、明治からは日清戦争、日露戦争、日中戦争、太平洋戦争は、日本 が攻められたのではなく、逆に外国に軍隊を派遣して戦争をしています。日中戦争は日本 が中国に軍隊を駐留させていて、関東軍の暴走から戦争が大きくなっていったことを、まだ多くの日本 人は忘れてはいないと思います。

振り返って見れば、参議院は1954年に自衛隊を発足させた時に「自衛隊の海外出勤を為さざることに関する決議」を採択しています。この決議が国際協力という美名で破られ、とうとう戦争をしているイラクの「非戦闘地域」にまで派遣されるまでになっています。自民党は米国の要求を受けて、改憲して戦闘地域でも軍隊を派遣しょうと目 論んでいます。

このような方向に進む日本 の状況の中で、連合が改憲の潮流に乗らなかったのは「九条の会」の運動にとっても有利な状況だと思います。