いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

自民党政治を象徴する情景/山崎孝

2009-01-05 | ご投稿
「生き残って再び会おう」「反貧困」。ビル風が吹き抜ける公園に、そんな文句の旗がはためく。200人を超える人たちが列を作り、炊き出しの牛丼をかき込む。たき火の向こうには、トヨタ自動車の営業拠点、ミッドランドスクェアがライトアップのまばゆい光を放っていた。(2008年28日の名古屋駅前の一角で行われているホームレスの支援活動/朝日新聞12月30日の社会面より抜粋)

路頭に迷う人たちが多く出る中でも、トヨタを始め大企業は内部留保金を溜め込んでいます。(以下は、しんぶん赤旗のHPの情報に基づきます)

財務省の法人企業統計調査をもとに、自動車、電機など大企業製造業の利益剰余金と資本剰余金の合計額を計算すると、大企業製造業の剰余金の合計額は、九八年九月末時点での約七十六兆七千三百億円から、二〇〇八年九月末には一・四倍の約百九兆一千五百五億円に増加しています。十年間の増加額は、三十二兆四千億円を超えます。

総務省の労働力調査によると、〇八年七―九月期平均の雇用者に占める非正規雇用の割合は34・5%に達しています。一方、大企業製造業の経常利益総額は、ピーク時より低下しているものの十年前の一・六倍になっています。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、正社員の平均賃金は残業代、一時金を合わせて年間五百二十三万五千円です。

十年間の剰余金の積み増し分だけで、正社員の年収の約六百二十万人分にあたります。十年間分のためこみを十年かけて取り崩すとしても、一年分の約三・二兆円で六十二万人分の正社員の年収分になります。

厚生労働省の企業からの聞き取り調査では、〇九年三月末までに八万五千人の非正規労働者の雇い止め・解雇が計画されています。

これまでの大企業製造業の剰余金の一年間分の積み増し分約三・二兆円だけで、「非正規切り」にあう労働者の解雇をやめることができるばかりでなく、その七倍以上の数の労働者を正社員にすることができます。(しんぶん赤旗の情報はここまで)

「派遣切り」などで仕事と住居を失った人に労働組合や市民の手で食事と寝場所を提供する「年越し派遣村」(日比谷公園)に年末の31日の開村から3日の夜までの入村者は400人超えた。村民の間では「今後はどうなるのかという不安が広がっている」と1月4日の朝日新聞は報道しています。

しかし、路頭に迷う人たちが多く出る中でも、2009年度予算財務省原案には、米軍再編で岩国基地へ空母艦載機の移転する米兵4千人分が必要とされる住宅用地調査費や沖縄からグァムに移転する米兵の3千5百戸分の家族住宅を整備するための調査費などが計上されています。全く道理の無い自民党政治のあり方です。

自民党政治で生まれた情景を歌う短歌が1月5日の朝日歌壇にありました。

「人権」のひびきも寂し 首切られ宿舎追われし人らを前に (八王子市)青木一秋さん

パンのみで生きるにあらず 配給のパンのみみにて一日を生きる (ホームレス)公田耕一さん

米国の覇権主義に追従する政治の下では、政府に憲法前文で謳われた「平和的生存権」を守らすこと、絶対的な生存権を謳う憲法25条を守らすことは不離一体の関係を示しています。路頭に迷う国民に充分な手を差し伸べないが、世界戦略のための米軍再編の経費を負担して、日本から他国に出かけ戦争をする米兵の住宅手当、水道費・光熱費まで負担するのです。