いせ九条の会

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文民統制と自民党の政治家/山崎孝

2008-07-17 | ご投稿
朝日新聞の7月16日の社説は、防衛省改革について論じた中で、《政治による統制といっても、では政治の側に外交や軍事の指揮権をふくめ自衛隊を統制できる用意と意思があるのかどうか。文民統制の根幹はここにあることを忘れてはなるまい》と述べています。

自民党の政治家の中には、第一次イラク復興支援活動で先遣隊長を務めた佐藤正久・元一等陸佐は、サマワ駐留当時、機会があれば積極的に戦闘に巻き込まれ、集団的自衛権の行使を禁じた憲法に抵触しない個別的自衛権の形で応戦・参戦する腹であった旨を明らかにしています。二〇〇七年夏の参議院議員選挙で当選し、政治家への転身を果たして間もない八月十日のTBSニュース。官邸に設置されていた有識者会議「安全保障の法的基盤に関する懇談会」がPKO(国連平和維持活動)における自衛隊の武器使用を論議していたことについての報道に佐藤議員は識者の立場で登場し、次のように述べていました。

「(たとえば)自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応(応戦など)をやらなかったら、自衛隊に対する(関係国からの)批判というものは、ものすごく出ると思います」「(もしもオランダ軍が攻撃を受けるような事態になれば)情報収集の名目で現場に駆けつけ、敢えて巻き込まれる」「巻き込まれない限りは(武器の使用が許されている)正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思いますよ」「その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」。

佐藤議員の発言は、かつて関東軍の行なった既成事実を作り、政府にその既成事実を容認させて、中国の占領地域を拡大させた出来事と同じ考え方です。文民統制はこの歴史の教訓に基づいて、日本の戦後の占領政策を管理した極東委員会が提案して日本に課した事項でした。政府が軍事組織を統制する考えは良いのですが、文民であるべき自民党の政治家の政治姿勢を見ると実に不安を覚えます。日本の政治家は不戦の理念で文民統制を行なうべきです。