いせ九条の会

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広隆寺を訪ねて 仏様が問い掛けること/山崎孝

2006-05-23 | ご投稿
私は5月18日に、京都太秦にある広隆寺を訪ねました。広隆寺は仏教の教えで、政治を行なおうとした聖徳太子に仕えた秦河勝が、聖徳太子から仏像を賜り、それを本尊にしたということです。秦氏は朝鮮半島から日本に帰化した人たちで、大陸の文明(農耕や酒造の技術など)を日本に取り入れたと言われています。

広隆寺は、二枚舌を使うな、筋の通らないことを言うななど「十善戒」が掲示してありました。私はこの「十善戒」の一つ、「二枚舌を使うな」を読んで、小泉首相の国会答弁を思い出しました。これについては、先に首相の二重基準という捉え方で述べていますが改めて述べます。

小泉首相は16日、教育基本法改正案をめぐる国会質疑で、「愛国心」をめぐる規定について「教員は法令に基づく職務上の責務として児童生徒に対する指導を行っているもので、思想、良心の自由の侵害になるものではない」と述べ、職務として「愛国心」の指導を行うべきだという考えを述べました。教員は内心の自由を理由に愛国心の指導を拒むことが出来ない考えを示しています。

小泉首相は、靖国参拝は心の問題すなわち内心の自由を主張して批判を突っぱねている。公職にある教員は内心の自由より職責が優先するという首相の論理に従えば、国家の最高位の公職、首相の職務には重要な外交があり、己の心の問題より、隣国との関係改善という職務を優先させなければならない。

一つの言葉を自分には都合よく二通りに使えば二枚舌である。今の教育基本法は、真理と正義を愛する人を養成するのが目的です。小泉首相は今一度、教育基本法を読んで欲しいと思います。

「十善戒」というのは、人間が悪いことに染まらず、善良な行いをするようにと導く、仏教の10の教えだといいます。

「不邪見」間違った考え方をしない。「不妄語」嘘はつかない。広隆寺では、二枚舌を使ってはならないでした。「不悪口」乱暴な言葉は使わない。(石原都知事が傾聴すべき)「不両舌」筋の通らないことを言わない。「不慳貪」欲深いことをしない。「不殺生」むやみに生き物を殺さない、などです。

国家として「不殺生」をしないことを、国際社会に明確に宣言しているのが、日本国憲法です。改憲を考える政治家たちに、国宝の広隆寺の弥勒菩薩像と静かに対座してほしいと思います。

優しく慈愛に満ちた微笑で人間を見つめます。猛々しい心で国際社会と向き合う姿勢に、それで平和が達成出来るのですかと、問いかけてくると思います。また、小泉改革を進める政治家が持たねばならないのは「慈悲の心」だと、諭されると思います。