いせ九条の会

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靖国史観では日本が国際社会で重要な役割を演じるのは難しい/山崎孝

2006-09-16 | ご投稿
【米2誌が安倍氏特集「周辺諸国すでに懸念」「危険な国家主義者」】(9月15日「しんぶん赤旗」電子版より)

 米国の代表的週刊誌である『ニューズウィーク』と『タイム』はアジア版最新号で、日本の次期首相と予想される安倍晋三官房長官について、同氏の写真を表紙に掲げて特集を組んでいます。「実績は薄いが、周辺諸国はすでに彼のことを懸念している」と『ニューズウィーク』がリードで書くなど、両誌とも安倍氏のタカ派姿勢への憂慮をにじませています。

 安倍氏が「支持者にとっては強力な指導者だが、批判者にとっては危険な国家主義者」と表紙に書くのは『タイム』誌。同氏を首相の地位にまつりあげる上で小泉首相以上に「大きな責任を負っているかもしれない」のは北朝鮮の金正日総書記だとし、閣僚経験の乏しい安倍氏の人気を高める点で北朝鮮への対決姿勢が大きな役割を果たしたと述べています。

 その上で、「彼(安倍氏)はそこから間違った教訓を引き出し」「国内で人気を失えば、彼は本能的に、より耳障りな国家主義に立ち戻るかもしれない」とのスティーブン・ボーゲル米カリフォルニア大バークリー校准教授の分析を紹介しています。

 安倍氏の外交顧問の岡崎久彦元駐タイ大使が、中国を念頭におき「戦争の準備をしなければならない」と述べていることも紹介。靖国神社参拝を繰り返した小泉首相の下で中韓両国との関係が悪化したなか、「東京裁判の正当性を疑問視する」安倍氏が首相になれば「傷が悪化する可能性がある」と述べています。

 また「安倍氏が評判どおりの強硬派なのか、ソウルと北京は大きな不安を抱いている」との調査機関、国際危機グループ(ICG)北東アジア責任者ピーター・ベック氏の声を引いています。

★【米下院:遊就館展示「修正を」靖国問題、公聴会で議論】(毎日新聞電子版 2006年9月15日)

【ワシントン及川正也】米下院外交委員会のハイド委員長(共和党)は14日、日本と近隣諸国に関する公聴会で、靖国神社にある戦史展示施設「遊就館」について「事実に基づかない歴史が教えられており、修正されるべきだ」と述べ、展示内容の変更を求めた。  また、民主党のラントス筆頭委員は小泉純一郎首相の靖国神社参拝を「日本の歴史に関する健忘症の最もひどい例だ」と指摘し、「次期首相はこのしきたりをやめなければならない」と参拝中止を求めた。米国内には首相の靖国参拝による日中関係悪化を懸念する声があり、米外交に影響力を持つ両議員の発言は日米間に波紋を広げそうだ。  ハイド委員長は「遊就館が第二次大戦は日本による西側帝国主義からの解放だと若い世代に教えていることに困惑する」と批判。ラントス議員は「A級戦犯が祭られている靖国神社への参拝はドイツで(ナチス幹部の)ヒムラーらの墓に献花するのと同じ。韓国や中国の怒りをあえて招くことをする限り、日本が国際社会で重要な役割を演じるのは難しい」と述べた。

★朝日新聞も、米下院外交委員会の日本と近隣諸国に関する公聴会の様子を報道した中で、太平洋戦争で日本と戦った「戦争世代」の議員には、批判的な意見が強いとして、次の批判の声を伝えています。ラントス議員は、日本の次期首相へのメッセージとして「戦犯に敬意を払うのはモラルの崩壊であり、日本のような偉大な国家にはふさわしくない」、ハイド議員は靖国神社の戦争博物館の説明について「日本がアジアを西洋の帝国主義支配から解放したと若者に教えている。戦争を経験した世代として困惑している」「この博物館で教えられている歴史は事実に基かない。修正されるべきだ」(以上)

安倍晋三氏は、1997年2月、中川昭一氏らと「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を立ち上げる。日本がアジアを西洋の帝国主義支配から解放したと記述する扶桑社の教科書を、自民党幹事長時代には党組織が、全国の教育委員会に教科書の採択をするよう運動することを通達しています。そして現在、朝日新聞9月14日の社説では、《「歴史認識は歴史家にまかせる」と論争を避けていることについて、「確かに細かい事実の確定は歴史家に任せるべきだろう。しかし、それを全体として評価し、どこが間違ったかを反省し、教訓を現代に生かすのは国民を導く政治家としての責任ではないのか。侵略の被害を受けた国と新たな関係を築くための最も大事な土台でもある。20世紀最大の戦争について歴史観を語れぬ首相が世界に通用するはずがない」》と批判されています。

安倍氏は、いままで歴史は語ってきています。しかし、ほぼ、日本の総理大臣になる立場として、靖国史観と類似した歴史観を明確には語ることが出来ないのです。なぜなら世界から孤立した歴史観だからです。

私たちは日本人として、安倍氏の政策ブレーンの岡崎久彦元駐タイ大使が、中国を念頭におき「戦争の準備をしなければならない」と述べていること、安倍氏が教育基本法を変えて、国のために戦う若者を作り出そうとしていることを宣伝しなければならないと思います。戦争への歯止めである憲法を守らなければと思います。

日本は北朝鮮に対して更なる経済制裁を強めようとしています。安倍官房長官は拉致問題とミサイル問題を絡めて制裁を発動しました。この制裁が有効に働いて北朝鮮の態度が変り、拉致問題が解決の方向に向かうことが出来れば幸いです。しかし、北朝鮮の態度が変らない場合、拉致問題はどうなるのでしょうか。次なる外交手段はなんなのでしょうか、心配です。