いせ九条の会

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米国と心中するようなもの/山崎孝

2007-05-16 | ご投稿
【集団的自衛権、米が行使容認迫る 防衛相会談で日本に】(5月16日付中日新聞より)

ゲーツ米国防長官が先月末にワシントンで開かれた日米防衛相会談で、米国を狙った北朝鮮などの弾道ミサイルを日本のミサイル防衛(MD)システムで迎撃できるよう、政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権行使の容認を迫っていたことが分かった。複数の日米外交筋が十五日、明らかにした。同席したシーファー駐日米大使も集団的自衛権の問題に触れ「米国への弾道ミサイルを迎撃できなければ、日米同盟が変質しかねない」と日本側をけん制した。

海上自衛隊の二等海曹がイージス艦中枢情報の資料を隠し持っていた事件に関連し、ゲーツ氏が中国を名指しして軍事機密の漏えいに強い警戒感を表明していたことも判明した。日米両政府はいずれの発言とも公表していない。

集団的自衛権に関する米側の要求は、軍事的に台頭する中国への抑止力強化を目指す国防戦略を反映すると同時に、憲法解釈の変更で集団的自衛権行使の一部容認を視野に入れる安倍晋三首相への期待感を示している。ただ、公明党が行使容認に反対しているほか、政府内にも慎重論が根強く、実現しなければ米側の不満が高まりそうだ。

日米外交筋によると、ゲーツ氏は「日本はMDで極めて重要なパートナーだ。相互に防衛し合う関係が必要であり、日本は米領土を狙った弾道ミサイルを撃ち落とせるようにすべきだ」と述べ、集団的自衛権の行使容認を要求した。

久間章生防衛相は、日本が現在計画しているMDシステムの技術では米領土への弾道ミサイルを迎撃できないと説明し、技術的にも可能となるよう米側に一層の協力を求めた。(以上)

米国に向けてミサイルが飛ぶような事態となれば、核戦争を想定しなければなりません。米国に先制攻撃をするような国は自殺行為に等しく、場合によっては、米国の先制攻撃に対する反撃の場合もあります。

被爆国の日本の防衛相として《日本が現在計画しているMDシステムの技術では米領土への弾道ミサイルを迎撃できないと説明し、技術的にも可能となるよう米側に一層の協力を求めた》ということは、核兵器の脅威に対する不感症に等しい発言です。このような事態にならないように、平和な環境を作るように米国に求めるのが本筋です。

平和な環境作りは日本の周辺で言えば、無から始めるわけではありません。6者協議の最終目標は東アジアの平和と安定です。日中は地域の平和と安定を念頭に入れた「戦略的互恵関係」の構築で一致しています。これらの課題の達成に全力をあげるのが日本の使命です。

この使命をおろそかにして、軍事的観点で政治を行うことは、米国と心中するようなものです。