伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

京のいけず石

2024年08月14日 | 京都
いつだったか、関西ローカルのテレビ番組(か新聞?)で
京都の「いけず石」について特集していた。


そういえば京都の街角ではよく石が置かれているのを見かけるが、
あれは京都独特のものなのだろうか?
とくに意識せず子供のころから町を歩くたび見ていたが、
特集されるということは京都独自のものだったのだろうか?
それを疑問に思った。



いけず石とは何か。
大きな通りでは見かけない。
烏丸通や河原町通などメインストリートには置いていない。

凄く小さな、細く狭い通りの角(かどっこ)にそれは置いてある。
石という小さなものではなくかなり大きめの石、
岩のようなものが狭い通りのかどに置かれているのだ。
それを「いけず石」と呼ぶのは最近知った。
いつの頃からか、いけず石と呼ぶようになったらしい。





なぜいけず石と呼ぶのか。

狭い通りを車が曲がる時、カドの家に接触して家を傷つけるかもしれない。
京都の道はとても狭い。
大通りから一歩、住宅街へ入ると、
狭い道が碁盤の目状に網目のように張り巡らされている。
細かく区切られていて通りと通りの幅も狭い。

そこに車が通ると車種によって道の幅ぎりぎりの時がよくある。
狭いから角を曲がる時もギリギリである。
ギリギリだからカドの家に接触することもあるのだ。
車によってカドの家が被害を受けやすいのである。
実際、車でこすられて傷ついた家もあるはず。

だからカドの家は車に家の外壁を傷つけられないようにするために石を置き、
被害を防ごうとするようになった、という。
車がカドを曲がる時、ミスして接触しても傷つくのは車で家は無傷。
だからいつ頃からか「いけず石」、と呼ぶようになったのだという。

けれども決して車に対して本当にイケズをしているわけではない。
自己防衛のためなのである。
ただ、近年では防御のためというより、単なる飾り、
或いはインスタレーションとして置く、という場合が多いと思う。


思い立っていけず石が見つかるかなと思い、
暑いのに💦汗をかきながら近所を歩いて探してみた。


最近の京都市内は空き地や空き家が多くなり、
そうでなければ住宅街だというのに新しいホテルだとかマンションが建っていたり、
街並みは昔に比べ、すごく変わった。
さみしいことに。
そんなわけもありどれだけいけず石が残っているか、
確かめてもみたくなったのだ。




するとあるわあるわ、近所を少し歩いただけなのに、
かなりの確率でいけず石が見つかったのだった。

もちろん本来の目的での(車除けの)役割ではなくて、
単に玄関先のアクセント?として置いてあるものが殆どだと思うが、
まだまだ京都の町にはいけず石の風習が色濃く残っていることを
再認識したのであった。




近所をほんの少し歩いただけなので、
もっと広い範囲で歩けばもっと多く見つかるだろう。


最近は石の代わりにもっと実用的なフェンスが貼られているカドもあった。


あからさまに車除けだと分かる。
絶対に車をこすらないで下さいという意志が感じられる。
けれどもその横に小さな石が置いてあるのが
何となく言い訳じみていて、面白かった。


またカドに観賞用の小さな木を植えている所もあった。
これも石の代わりに木を植えたものだろう。
木を倒さないでください、というアピールのような気がした。
新しい車除けと言えるかもしれない。



角から少しずれた所に置いてあるいけず石もあった。
石は植木と一緒に置かれていることが多かったが、
これではいけず石の本来の用をなさないと思う。
それでもちゃんと石を置きました、
いけず石のルールを守っていますという主張のようにも思えた。



典型的ないけず石に見えるが…
石も立派なものを選んでいるが…



一番大きな石をいけず石として使い、
そのほか小さい石を軒先にずらりと並べて、
家の前のインスタレーションとしている所もあった。
これはもう意志的に並べたものであって、
作品と言ってもいいだろう。



このような石を軒先に並べた家は割と多くて、
どういう意味があるのか分からないが、
石を等間隔に並べ、並べ方を見せているような家がよくある。



いけず石の大きさはさまざまである。
大きなものから小さいものまである。
大きな石が見つからなければ小さい石でも置いておく。
本来の役割は果たせそうにないが。




石は置かず、角を三角の形に切ったかどの家も多い。
京都の道は狭いからあらかじめ車がこするのを予測して、
角だけをひっこませて車が当たらないようにしているのだ。
このカドを三角に切った家は割とよく見る。
或いは鬼門と関係しているかもしれない。



角の家でなくとも石を置いている家もある。



昔はそういう家が割と多かった。
自分の家も角ではないが、
何十年か前、改築前はずっと家の端にかなり大きな石が置いてあった。
角ではないのにいけず石。
でも子供の頃、家を出る時、その石を見るとなぜか安心感があった。
いい形をしていて結構好きだった。


なんでも確か父が鴨川へ行って、
玄関前に置くに相応しい石を見繕って持って帰って来た、
という話を聞いたことがある。

割と大きな石だったが、どうやって持ち帰ったのだろう?・・・
と、それが謎だった。

現在でも京都の町のカドに置かれているいけず石は、
それぞれどこから見つけて来てどうやって運んで来たのかは大きな謎だ。
けれども街並みが昔とは様変わりし、大きく変わっても、
いけず石が変わらず置かれていることを知って、
やはり京都は京都、
変わらない部分もあるのだとなぜか安心出来た。






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