伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

ヤグディン「グラディエーター」

2024年09月02日 | フィギュアあれこれ
台風は結局京都へは来なかったようだ、
雨も少ししか降らなかったし、いつの間にかお天気になっていた。
被害が大きかった地方も多かったみたいだが…、
台風が去るとまた酷暑に戻るかな?



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フィギュアスケートLife Extra「羽生結弦 PROFESSIONAL Season2」にて、
羽生結弦選手がアレクセイ・ヤグディン(とカート・ブラウニング)について
熱っぽく語っていて、
アレクセイ・ヤグディンにいかに影響を受けているか、参考にしているか、
インタビューを読んでよけいに実感することが出来た。

プルシェンコの名前も出て来るが、
(羽生選手の)演技そのものはヤグディン的な、
ヤグディン・スタイルなのかもしれない。

(追加で文章を増やしました)






しかし昔、ヤグディンは嫌いだった。
というよりプルシェンコの方を好きだった。プルシェンコ派だったのだ。
ソルトレイクシティ・オリンピックでプルシェンコが破れた時、
とても残念な気持ちになったので、
プルシェンコが好きだったのだとその時初めて思い知ったのだ。

プルシェンコは出て来た時から天才少年だった。
いつ、どこでもノーミス。
4回転を入れていつもノーミス、そんなイメージがあった。
だからソルトレイクのSPでミスした時(4位)信じられなかった。
プルシェンコがミスするなんて?
プルシェンコが負けるなんて?
と、信じられない思いだった。


ソルトレイク・オリンピック(2002年)は、
アイスダンスのアニシナ・ペイゼラを応援していたので、
彼らのパフォーマンスを重点的に見ていて、
その次に男子を見ていたと思う。


2月のソルトレイクの直後の3月の世界フィギュア選手権は日本で開催された。
その世界選手権でもヤグディンが優勝した。


オリンピック直後の世界選手権はいつも隙間大会と言われていて、
オリンピックの直後なので、
疲れているであろうメダリストたちは出場しないことが多い。
が、ヤグディンは来た。

その時、ヤグディンは確か、
隙間大会の世界選手権はパスする選手が多い、
オリンピアンが出ない大会は見応えがなくなる、
だから自分は来た、
みたいなことを言っていたように思う。

その実、実は隙間大会だからメダリストたちはパスしている。
プルシェンコもゲーブルもいない。
そんな大会でヤグディンが出場したら楽に優勝できる。
いくら隙間大会でも記録に残る。
それを見越して(計算して)ヤグディンはあえて日本大会に来たのだ。
(でも当時ヤグディンは日本でヤグ様と呼ばれ、すごく人気があった。
だから日本ファンはこの決断に大喜びだった)


しかし自分はなんてこずるい、
そんな風に思ってしまっていた。
ヤグディンに対して良い印象がなかったからだ…。


(追加)
ヤグディンは泥臭いという印象だったのだ。
プルシェンコは4-3-2(!)の3連続ジャンプを得意としていた。
するとヤグディンはソルトレイクに向けて自分も4-3-2を習得した。
勝つためならライバルの得意技すらプライドを捨てて試みる。
そのためプルは4-3-3に挑戦せざるを得なくなり、追い込まれた。
相手にプレッシャーを与える作戦だった

プルシェンコは生まれながらの才能に溢れ、高難度を軽々と決めたが
ヤグディンは相手に勝つため手段を選ばず、と感じていたのだった…。
(もちろん戦略的に正しい。勝つための五輪なのだから)



が、しかし今、改めて見るとヤグディンの演技はとんでもなく凄い。
羽生選手が拘るはずだ。


ソルトレイクオリンピックのSP、有名な「ウィンター」↓
(日本語解説で…樋口豊さんだ)

[4K60P] Alexei Yagudin 2002 SLC SP "Winter"
Mintaka Alnilam
https://youtu.be/UikRTmF6OMY?si=cAQn7fCtb7L_NkA-





旧採点の6点満点時代なので点数は5.8とか5.9だが、、
4T3T,3A,3Lzという構成は今でも絶対に100点以上が出る演技だ。

とくにジャンプのランディングとフリーレッグのさばきがとにかくきれいだ。
着氷姿勢がとてもきれいなのだ。
どのジャンプにも余裕があり、今ならGOE5が確実につく出来だ。
(4回転も3Aも)
まったく揺るぎがないし、正確で言うことのない理想的な完璧ジャンプ。

でもっと凄いのはステップで、有名なヤグディンステップだ。
振り付けがまず良い(コーチのタチアナ・タラソワ)

当時はSPに2つのステップを入れる決まりだった。
だからサーキュラーステップとストレートラインを入れてるが
この高速ステップの見事さと来たら…
しかも音楽にぴたりと合わせて音楽を表現してる。

一番有名な最後のストレートライン・ステップは、
言うまでもなく伝説である─
細かいステップを刻みながら音楽に乗って盛り上がってゆく。

さすがに「ウィンター」を見た時はヤグディンすごい、と
思わざるを得なかった思い出…。


羽生選手は「フィギュアってあまりリズムを刻めないんです」
とインタビューで言ってるが、
ヤグディンは超絶トウステップで見事に音を拾い、ステップを刻んでゆく。
ステップで曲を表現していた。




最後のリンクの氷をすくって撒き散らす演出は、
羽生選手が「春よ、来い」の参考にしたのかも?



そして羽生選手が「ミーティア」の参考にしたという「グラディエーター」↓
これも日本語解説
解説は五十嵐さんかな?

[HD] Alexei Yagudin - "Gladiator" 2000/2001 GPF -
Final Round Free Skating ヤグディン グラディエーター Ягудин
Mintaka Alnilam
https://youtu.be/KYZYEaRKltM?si=GczKEjHzTIy55N4F




「グラディエーター」の冒頭のポーズは、
そのまま羽生選手の「ミーティア」の冒頭の振り付けそのもの。
羽生選手、確かにめちゃくちゃ影響を受けてる。


最初の4T3Tが壁に寄りすぎたのに、
セカンドジャンプをコントロールして降りて来るのがさすがとしか。
とにかくうまい。
この時代に4回転と3Aを完璧にコントロールしていて余裕まであるとは。
そしてジャンプの着氷姿勢がとにかく完璧。
(一つの4回転を除き)どのジャンプもきれいで見惚れるばかりだ。
重量感があるから迫力がある。

さらにステップでの音楽のエモーショナルな表現、
音に合わせたステップが快感すぎるし
クライマックスでの曲に合わせた振り付けもカッコいい。
最後のステップシークエンスも盛り上がる!


決して好きではなかったヤグディンだが、
演技は確かにとんでもない力量を持っていた。
改めてしっかり見ると、ヤグディンの凄さが嫌でも納得させられる。
唯一無二と言われるのも納得だ。
羽生選手が傾倒するのもむべなるかな。


今の現役選手でもここまで完成された選手はいないのでは?
ジャンプだけ、演技力だけならいるかもしれないが、
これだけジャンプが完璧でなおかつ唯一無二の表現者となると…。




このグランプリシリーズの演技は多分ビデオに録画していた。
このころはグランプリシリーズもいろいろ試行錯誤していた時で、
(よくは覚えていないが)試合は対戦形式で、
二人の選手が滑り、キスクラに二人が同時に座り、
ジャッジの判定を聞くという形式だった。





だからヤグディンとプルシェンコがキスクラに隣同士で座っているのだ。
当時は二人はバチバチだったはず。
その二人が何食わぬ顔をして握手をしていたり、
なかなか懐かしい映像だ。

判定の結果、プルシェンコが勝利した。
ヤグディンは2度目の4回転でステップアウトしたので、その差かな。


人間性はどうだか知らないが、全盛期のヤグディンはかくも凄かった。
嫌いだとは言ったが、事実は事実。
不世出のスケーターの一人であることは間違いない。
羽生選手の「ミーティア」にどの部分が活かされているか?、
それも見もの。






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