一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

新刊、旧刊とりまぜて
読んだ本の書評をお送りいたします。
活字中毒者のアナタのためのブログです。

第二次世界大戦中の音楽を聴く。

2007-04-30 19:28:10 | CD Review
RICHARD STRAUSS
CAPRICCIO
GUNDULA JANOWITZ
TATIANA TROYANOS・PETER SCHREIER
DIETRICH FISCHER-DISKAU
KARL RIDDERBUSCH・HERMANN PREY
SYMPHONIEORCHESTER
DES BAYERISCHEN RUNDFUNKS
KARL BOHM
(DG 445 347)


世間は連休中ということで、こちらもちょっとお休みです。
手を抜いて、近頃聴いた楽曲で興味深く感じたものを、タイトル+コメントのみ御紹介。

まずは、R. シュトラウスで、オペラ『カプリッチオ』。
1940年から1941年の作曲で、1942年の初演。なんと、日本では昭和17年(10月28日)の作品なんですね。ドイツではスターリングラード攻防戦(1942年6月28日~1943年2月2日)の真っ最中。ウィーンでの初演は1944年で、カール・ベームがウィーン国立歌劇場管弦楽団を指揮しています。

さて、小生が聴いたのは、そのベーム指揮バイエルン放送管弦楽団の演奏。
歌手陣は、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、ディートリッヒ・フィッシャー-ディースカウ、ペーター・シュライアー、ヘルマン・プライなどなど、錚々たるメンバーを集めています。

音楽は『薔薇の騎士』にも似たトロッとしたもので、「通俗への傾斜」「手の込んだ職人的手際の目覚しい音楽」(宮下誠『20世紀音楽 クラシックの運命』)となっています。

その他、マルティヌーの『交響曲第三番』は、「何でこんなに不安感に満ちた音楽が作曲されるの?」という疑問を抱かせる音楽です。
こちらも第二次世界大戦中の音楽で、1944年の作曲。マルチヌーがアメリカ亡命中の作品です。

この時代の不安感は、他の作曲家の楽曲にも聴かれますが、例えばショスタコーヴィッチなどの場合には、行進曲風の部分があったりして、その不安感を異化するものになっていたりする。
ところが、これは、ひたすら不安感に満ち満ちている、という、夜寝る前に聴くと悪夢にうなされそうな楽曲となっています。

不安で怖いものを聴きたい方は、是非どうぞ(!?)。