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⚠️百年に一度の大恐慌到来で、日本の対外純資産は全消失の危機に  202310

2023-10-16 22:42:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

⚠️百年に一度の大恐慌到来で、日本の対外純資産は全消失の危機に
  JBPress より 231016   山﨑 養世


⚫︎今の日本は戦後最大の経済危機の入り口にある。

 これから起こる米国株大暴落からの世界大恐慌による日本経済への打撃は、バブルの崩壊やリーマンショックの比ではない。

 経済大国でいられるのか、それとも急激に「超没落国家」になるのかの分かれ目にある。
 日本にとって深刻なのは、「金融巨大災害防止措置」が全く取られていないことだ。
「危機の本質」は「国富の喪失」である。


⚫︎日本の対外純資産419兆円、32年連続世界一
 日本の対外純資産は昨年末で419兆円、32年連続で世界一であり、経済大国日本の力の源泉である。

 新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)とロシアウクライナ戦争から世界にインフレが広がる中で、食料とエネルギーの大半を輸入に頼る日本人のほとんどが生命や飢餓の危険を感じないで済むのも、戦後日本人が営々として溜め込んだ対外純資産という「国富」のおかげだ。

 しかし、「防災措置」がないままに米国株大暴落からの世界大恐慌に突入すれば、「国富」の多くがなくなってしまう。

 福島第一原子力発電所事故では、災害の「想定」が不十分で「対策」が不十分だった。

 しかし、これから起こり得る史上最大級の金融経済災害については、そもそも「想定」が存在せず、したがって「対策」も存在しない。

 しかも、巨大危機が発生した時の「国家体制」が存在しない。深く危惧する。

 至急、国家としての「有事即応体制」をとらなくてはいけない。

 福島原発事故の「失敗の本質」は、西暦869年の貞観地震、つまり「千年に一度」の規模の震災と津波の想定をしなかったことだった。

 多くの地震学者が「そろそろ来る可能性が高い」とした千年に一度の震災と津波がどのような原発事故を起こすのかについては、2011年3月の東日本大震災以前に岩波書店の「科学」の多くの記事が東日本大津波と福島原発事故と同様の危険性を網羅的に指摘していた。

 米国株大暴落から始まる21世紀型大恐慌は「百年に一度」の巨大金融経済災害である。前の大恐慌から100年近くが経過しており、「そろそろ来る可能性が高い」。

 1929年からの世界大恐慌が、「パクスブリタニカ」つまり、西欧の世界植民地支配という「世界システム」の崩壊がその根底にあったように、「パクスアメリカーナ」つまり、米国の世界一極支配を前提した現在の「世界システム」がすでに限界を迎え、崩壊過程に入っていることが、21世紀型大恐慌が起きる根底にある。

 米国株大暴落からの大恐慌はリアルタイムに津波以上の速度で日本に伝わる。

 米国株大暴落のリスクとその影響は、芳賀沼千里氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフストラテジスト)や河野龍太郎氏(BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト)などの専門家が各分野で指摘してきた。

 そうした予測をつなぎ合わせるときに、全体としての世界大恐慌が予見可能となる。

 1929年からの世界大恐慌以来、「百年に一度」の、しかも瞬時に起きて広がる「巨大金融経済災害」を「想定」し、「対策」を立て、「国家体制」を整備しなくてはいけない。

 米国株大暴落から始まる世界大恐慌が日本を直撃する時の被害の中心となるのが、直近の運用資産額が219兆円と世界最大の年金基金であるGPIF(年金管理運用独立行政法人)であり、GPIFが厚生労働省から、厚労省は国民から預かって運用している公的年金(厚生年金+国民年金)である。
 
 世界最大の年金基金であるGPIFの運用方針は、制度的にGPIFに準じた運用が規定されている公務員年金や、同じく「公的資金」とされる300兆円規模の郵政資金、さらには、企業年金、保険、信託など、日本の「長期国民資金」を資産運用する「受託機関」に大きな影響を与えている。

 GPIFは、世界一の「対外純資産大国」日本の「国富」と国力の中心といってよい。

 それだけに、米国株の大暴落からの大恐慌が発生した場合、GPIFが「想定」に基づく「対策」を講じ、経済全体への影響に迅速に対処する「国家体制」を備えていなければ、巨大な「国富喪失」が発生し、国力が大きく低下する。

 これまで、GPIFによる国民の年金資産の運用は、日本史上空前の規模の財政と経済社会への貢献をしてきた。

 2001年に発足したGPIFがこれまで「市場運用」で上げてきた「運用収益」の累積は、直近のディスクロージャーによれば127兆円に達する。

 1年間の日本の歳入合計に等しく、消費税歳入額の5.5年分に当たる。

 この巨大な運用収益がなければ日本の年金も財政もはるかに悪化していただろう。

 特筆すべきは、GPIFは、2008年からのリーマンショックも乗り越えて、日本経済を救う運用成果を出したことだ。

 しかし、今、GPIFと、GPIFに資産運用を「委託」している厚労省、さらには、厚労省に年金運用を「委託」している日本国政府は、変わらなくてはいけない。

「平時」の運用体制から「有事即応体制」に移行しなくてはいけない。

 これまでGPIFが巨大な運用成果を出した要因の9割以上は「基本ポートフォリオ」にあった。

「5年に1度」、GPIFの「基本ポートフォリオ」を決定しているのは、厚労省に任命される経済、金融、資産運用、経営管理などの委員と理事長で構成されるGPIFの「経営委員会」である。

 企業のガバナンス体制に例えれば、株主である厚労省が、取締役会に相当するGPIFの「経営委員会」に「5年に1度」「基本ポートフォリオ」の設定を「委託」している。

 逆に言えば、GPIFの「経営委員会」は「受託者責任」を負っている。

 もちろん、GPIFの株主に相当する厚労省は、国民に対して年金資産運用の「受託者責任」を負っている。

 こうして「経営委員会」によって「5年に1度」決められる「基本ポートフォリオ」の方針に従って、投資銀行出身のCIO(Chief Investment Officer=最高投資責任者)を始めとしたGPIFの「執行部」が、「インデックス投資かアクティブ投資か」「この資産クラスはどの運用事業者に委託するか」といった資産運用実務を執行している。

 つまり、資産運用の基本的な「政策」は、まず厚労省が策定し、「基本ポートフォリオ」などの経営計画をGPIFの経営委員会が決定する。

 GPIFの執行部は、万能の権限を与えられているのではなく、経営委員会が「5年に1度」決定した「基本ポートフォリオ」に沿った資産運用実務の「執行」を行うに過ぎない。

 企業で言えば、取締役会が決定した経営方針を執行部が実行するのに似ている。

⚫︎国民から与えられた年金運用の目標
 それでは、国民は厚労省に年金資産をどのような「目標」に沿って運用することを「委託」しているのだろうか。

 その目標は厚労省の「社会保障審議会」で議論され、国民の年金財政を維持するために「名目賃金上昇率+年率1.7%を長期的に維持する」ことが「目標」とされ、国会審議や予算議決などの民主主義プロセスの中で承認されている。

 つまり、厚労省は、国民から「長期的に名目賃金上昇率+年率1.7%」を上回る資産運用を「受託」し、その受託業務を、今度はGPIFに「委託」しているのだ。

 そして、GPIFの「経営委員会」は、「長期的に名目賃金上昇率+年率1.7%」という与えられた目標を「一定の許容可能なリスクの範囲内」で達成するための「基本ポートフォリオ」を「5年に1度」策定しているのである。

 それでは、どのような方法で「基本ポートフォリオ」は導出されるのだろうか?

「基本ポートフォリオ」を決定する具体的な方法は、ファイナンス理論の中で各資産クラスのリターンとリスクを使用した「2ファクターモデル」による「有効フロンティア」を基本とし、年金財政や少子高齢化などの「マクロ変数」を制限条件として入力して、「基本ポートフォリオ」が導出される。

 もちろん、そこには、国民が受け入れられる保険料や国民が求める年金給付などの政治的要素が考慮される。

 だから、「基本ポートフォリオ」決定の中心要素は、たとえば外国株式という、「資産クラス」の長期的なリターンとリスクの「2ファクター」であるが、注意が必要なのは、各資産クラスごとのリターンとリスクの値としては圧倒的に「長期的期間における実績値」が代入されることだ。

 平たく言えば、過去に高い収益率であったものは、「リスクに対してリターンが高い」と判断されより高い「資産配分」がなされる。

 つまり「順張り」の強い傾向を持つことだ。

 そして、1929年の大恐慌以来の大暴落からの痛手を1941年からの「第2次世界大戦景気」でようやく回復して以来、米国株式は戦後概ね「長期的に高い」リターンを示してきた。

「順張り」は十分にエビデンスを伴う戦略であった。100年ぶりの米国株大暴落からの大恐慌はまだ来ていないからだ。

 一方で、日本株は、1989年に投資した場合にはいまだにマイナスの収益率となる。

「世界の工場」という戦後日本のビジネスモデルが、「米中経済同盟」を中心とした「体制を超えたグローバリゼーション」によって崩壊したからであり、単に不動産バブルが崩壊したからではない。

 だが、GPIFが設立された2001年から見れば、日本株も高い実績リターンを示している。

 だから、こうした「基本ポートフォリオ」の方法論は、2001年のGPIFの設立以来、極めて強力に「累積収益」を生むように作用してきた。

 一方で、「国債至上論者」の言うように「リスクを取るな。すべて国債で運用しろ」というのは「100%リスク」を意味する。

 なぜかと言うと、年金運用の目的は公的年金財政を維持するために「長期的に名目賃金上昇率+年率1.7%」で国民の年金資産を運用をすることだから、過去30年近くゼロ金利が続く国債でしか運用しなければ、少子高齢化により毎年の国民への年金支払が保険料収入を上回るために、GPIFの資産は100%の確率で毎年縮小してしまうからだ。

 そうなってしまえば、政府は国民に対して大幅な「年金保険料引上げ」か「年金給付金切下げ」を要請する事態となり、国民の怒りが政府を転覆させかねない。

 つまり、国債100%運用は、経済的にも政治的にも「リスク100%」なのである。

 だからこそ、GPIFは、「5年に1度」見直される「基本ポートフォリオ」を、当初の「日本債券、そのほとんどが国債、偏重」から「グローバルリスク資産中心の運用」に変えてきた。
 特に、2014年にリスク資産である外国資産と株式資産の割合を大きく増加させることを決定して以来、ここまで一貫して「株式資産」と「外国資産」の割合を増やしてきた。
 そのことが、現在127兆円に上る巨大な「累積収益」を上げることに大きく貢献してきた。

 国債100%ではない「基本ポートフォリオ」に基づくリスク運用による巨大な「累積収益」を背景に、直近の2020年4月に策定された現在の「基本ポートフォリオ」は、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に、それぞれ各4分の1の約25%を固定的に配分しており、実際の資産配分もその割合に極めて近く、個々の資産クラスの運用の中身も、その9割以上が個別の判断を要しないインデックス運用である。

 過去10年の空前の米国株が牽引する外国株式の上昇、そして、直近の米国でのインフレと金利高による米ドル高と円安による外国資産の上昇、そして、日本株の最近の上昇により、GPIFの資産は空前の上昇を示してきた。

 ポートフォリオのグローバリゼーションの恩恵をフルに受けてきたのだ。

 しかし、裏を返せば、株式評価が「グローバリゼーションが永遠に続く」という前提でなければ正当化できない水準まで上昇した米国株と、インフレと金利高が共存しスタグフレーションのリスクが高まるのに評価が急上昇した世界最大の双子の赤字国の通貨米ドル高、という2つの「バブル」に支えられている。

 GPIFの最大のリスクは「5年に1度」しか「基本ポートフォリオ」を見直さないことだ。

 これまではそれでよかった。

「大恐慌になる」と言われた2008年9月からのリーマンショックでさえ、GPIFは株式や外国資産などの「リスク資産」を持ち続け、さらにその資産配分を増加した。そのおかげでここまで巨額の収益を上げてきたからだ。

 だが、その幸運は終わった。

 米国と世界がリーマンショックを克服した結果が、米国内の「分断」と世界の主要国の間の「分断」を急激に加速し、これまでのGPIFの資産運用の最大の成功要因であった「体制を超えたグローバリゼーションにより、米国株は永遠に上がり続ける」という前提が崩壊してしまったからだ。

⚫︎今、GPIFは「想定」を変えなくてはいけない
 2009年1月20日に書き終わった『日本復活の最終シナリオ 太陽経済を主導せよ』(朝日新聞出版)の中で、私は、リーマンショックが「戦前型大恐慌を起こさない理由」や「インフレが来ないわけ」という節を設けて説明した。
 リーマンショックの時には、「米中経済同盟」を中核とするグローバリゼーションが米国内外で機能しており、米国内の統治機構は、FRBもホワイトハウスも議会も超党派で一致してリーマンショックから大恐慌となる危機を克服した。

 国際的には、米中も、米欧日も最大限の国際協力をして経済危機を克服した。

 このため、リーマンショックは大恐慌にならなかったに過ぎない。

 つまり、リーマンショックが襲来した時には、米国中心の世界平和と繁栄を可能にした戦後の「世界システム」である「パクスアメリカーナ」は機能していたから、大恐慌の危機を米国も世界も克服できた。

 そして、「米国の繁栄」や「GAMFAやAIの成長は永遠」という神話を世界の人が信じるようにもなった。
 しかし、「パクスアメリカーナ」はすでに崩壊している。

 一つには、リーマンショックからほとんど無傷であった中国の台頭が、米国の「中産階級」の中心だった内陸部の工業地帯の経済を破壊する一方、独占的な収益を上げるGAMFAや政府に救済してもらってから巨額の収益と報酬を謳歌するグローバル金融機関への「99%の国民」の怒りを買い、 その怒りが2016年のドナルド・トランプ大統領を生んだ。

 2024年の米大統領選挙ではトランプ、ジョー・バイデンの2人の大統領経験者が、「グローバリゼーション」をかなぐり捨てて「アメリカファースト」を連呼することが確定している。

 米中の軍事的緊張も両国民の敵意に拍車をかけている。

 だから、世界の「インフレが来ない」原動力であった「体制を超えて一番安いところで生産する」という「グローバリゼーション」は過去のものであり、「インフレはすでに来ている」。

 インフレ→高金利→リスク資産の大暴落→大不況、というサイクルは始まっているのだ。

 国際的にも「パクスアメリカーナ」は崩壊している。

 第2次世界大戦後の世界の平和と繁栄の中核にあったのは、米国の最強の敵国であった日独両国を戦後の米国の軍事経済両面の最大の同盟国としたことだった。

 その方針を開戦前に決めていたフランクリン・ルーズベルト大統領の世界への遺産だった。
 
 しかし、ソ連との「冷戦に勝利」し、「歴史は終わった」と浮かれていた1990年代初頭の米国は、「敗戦国」と決めつけたロシアを軍事でも経済でも同盟国にはしなかった。

 それどころか、対ソ連の「冷戦戦略」を作り上げたジョージ・ケナンをはじめとした米国の多くの専門家が「そんなことをしたらロシアとの戦争になる」と強く警告した「NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大」を欧州各国と進め、核保有国の軍事同盟であるNATOがロシアへの「包囲網」を形成した。

 そして「ウクライナがNATOに加盟するようなら軍事行動を起こす」というロシアのウラジーミル・プーチン大統領の警告は、2019年に登場したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による「NATO加盟」の方針の表明、そして、2022年からのロシアのウクライナ侵攻により現実のものとなった。

 ロシアのプーチン大統領をヒトラーにたとえる人もいる。

 しかし、第1次世界大戦後の条約締結のための英国代表であった経済学者のジョン・メイナード・ケインズは、フランスが中心となって敗戦国ドイツに過酷な条件を課した「ベルサイユ体制」がドイツの反発を招き、「次のドイツとの戦争を招く」と警告した。
 ケインズの警告はヒトラー率いるナチスドイツの欧州侵略の形で現実となり、大陸欧州諸国を制圧した。

 1941年8月、ナチスドイツの英国侵略を前にして英国救済のための米国の対独参戦を懇願するウィンストン・チャーチル英首相に対して、ルーズベルト米大統領が「自由貿易」と「植民地解放」を条件にし、チャーチル首相がその条件を呑んだためにルーズベルト大統領は第2次世界大戦への米国参戦に踏み切った。
「パクスブリタニカ」が「パクスアメリカーナ」に変わった瞬間だった。

「敵国を同盟国にすることで米国も世界も繁栄する」

 この素晴らしいルーズベルトの成功体験を応用して、冷戦終了時にブッシュ(父)政権が、ソ連崩壊後のロシアに対して、米国の軍事と経済両面の同盟国にすることはなかった。

 そして、経済崩壊による国民の塗炭の苦しみの時を経た21世紀初頭のロシアでは、KGB出身で「敵との戦争も辞さない」と公言してきたプーチン大統領が国民の多数の支持を得て登場し、以来20年以上の超長期政権を維持してきた。

 この30年前の米国の失敗が、2022年からのロシアウクライナ戦争として「顕在化」した。

 米国並みに核兵器を保有するロシアがウクライナに敗戦すると想定するのは楽観に過ぎるだろう。戦争は終わらないと想定すべきだ。
 
 こうしてみると、今までの米国株の上昇を支えてきた「平和な世界、体制を超えた国際分業、労働と資源の最低コストでの調達、ゼロ・インフレ、米国グローバル企業の永続的成長」の大前提であり、リーマンショック当時には存在していた「グローバリゼーション」、その根底にあって、米国と世界が立場や体制を超えて協力してリーマンショックが世界大恐慌になるのを防いだ、戦後世界の「パクスアメリカーナ」という「世界システム」が崩壊したことは明らかだ。
 
 それなのに、米国株は史上最高値圏にあり、米ドルも近来にない高値圏だ。崩壊と大暴落が近い。

 それがGPIFの「危機の本質」である。

 そうなると、GPIFが厚生省から預かっている国民資金の運用は「5年に1度の見直し」による「基本ポートフォリオ」に忠実な「執行」から、「必要ならいつでもリスクオフする有事即応体制」に移行しなくてはいけない。

 具体的には、世界の国家ファンドや巨大年金の多くが導入している、資産全体の「戦略的アセットアロケーション」をGPIFが行える体制に移行することだ。

 GPIFにとっての「戦略的アセットアロケーション」とは、資産暴落の危険性が高いと判断される時に、5年に1度変更される「基本ポートフォリオ」で許容されている変更範囲(乖離幅という)を超えて、「リスクオフ」することだ。

 具体的には、米国株などの株式資産や外国資産のリスクを除くために、リスク資産を「一時的に売却」あるいは、先物市場や相対取引で「ヘッジ」することだ。

 こうした一時的な売却やヘッジそのものは、巨大な投資銀行やファンドでは、クリスマス休暇を控えた「期末」などの時期には例年行うことであり、そうした巨大金融機関のポートフォリオも「総額」ではGPIFと同様に数百兆円のサイズになるから、「平時」であればGPIFでも実行可能である。

 ただ、いったん大暴落が始まると瞬時に売り一色になり、ヘッジの相手方が消えてしまう。

 しかも、相対取引の場合、契約した相手方が消滅してしまい、ヘッジ契約も消えてしまうリスクが高い。

 そうなると、リスク資産が150兆円を超えるGPIFの運用資産の「リスクオフ」のためには、「リスク資産の一時的売却とリスクもリターンもない短期日本国債などへの避難」が主体となるだろう。

 もちろん、売りが遅くなるほど損失は拡大する。

「戦略的アセットアロケーション」には副作用も大きい。

「リスクオフ」をしている場合には、「安全資産」である短期日本国債などの「運用収益」はゼロに近く、「長期的に名目賃金上昇率+1.7%」というGPIFの運用目標に対してはマイナスになってしまうからだ。

「リスクオフ」期間が長引くほど、年金財政の損失は拡大する。

 したがって、「非常事態」である「戦略的アセットアロケーション」を的確に行うには、優れた情報収集、判断能力、そして果断な決断力と実行力を持った人材とチームが必要となる。

 現在のGPIFのCIO以下の運用執行チームは日本の年金運営機関としては最高度の人材を揃えているはずだが、「戦略的アセットアロケーション」の専門チームを至急組織する必要が出てくる。

 今の日本で参考になる組織は、「5年に1度」ではなく、「年に8回」は開かれている日銀の金融政策決定会合だろう。

 日銀と民間の各分野の専門家が膨大な内外情勢の情報と、日銀の政策決定が日本の金融と経済社会に及ぼす影響を多角的に検討し、世界有数のセントラルバンカーである植田和夫総裁を中心として、金融政策を決定している。

 しかも、リーマンショックなどの緊急事態が発生した時には、日銀は世界の通貨当局者との協議と情報収集を行い、早い時には世界的な情勢変化の翌日には「緊急金融政策決定会合」を開いて対応を協議する。

 GPIFにおける「基本ポートフォリオ」とGPIFの資産運用方針との連動性が高い他の「長期国民資金」に対して、米国株の大暴落からの大恐慌が及ぼす数百兆円規模の影響を考えれば、これからは、GPIFにおける「戦略的アセットアロケーション」については、日銀の金融政策決定に近い「有事即応体制」が必要になるだろう。

「買いは技術、売りは芸術」と言われるほど「売り」は難しい。
 特に、米国株市場のように高い「レバレッジ」つまり、借金しての買いが巨額の市場では、下げが一定の閾値(thresholds)を超えると強制的な「アンワインディング」と呼ばれる「手仕舞い売り」により、瞬時に暴落が市場全体を覆う。

 15年間積み上げてきたゲインが3日でなくなりうる。普通の波の速さと1日で地球の裏から到達する津波との速度の違いと言ってもいい。

 だからこそ、GPIFの「戦略的アセットアロケーション」の責任者には、世界的なレベルでの判断力、決断力と実行力、そして、実績が求められるはずだ。
 だが、いまのGPIFは、こうした「戦略的アセットアロケーション」を行うことが、そもそも制度的に不可能である。

 まず、「戦略的アセットアロケーション」をGPIFが行うためには、GPIFに「5年に1度」の「基本ポートフォリオ」の作成を義務付け、その「基本ポートフォリオ」に忠実な資産運用の「執行」しか認めない方針での資産運用を「委託」している厚労省の「政策変更」が必要になる。

 単なる「受託者」であるGPIFにはそのような重要な「政策変更」を行う権限はないからだ。

 そうした重要な「公的年金資産運用の政策変更」は、医療健康や社会福祉や労働を主な業務とする厚労省だけでなく、政府各部門や日銀、さらに、民間などから、本当に物事の本質をよく分かった精鋭を集めた「タスクフォース」を至急組織して、厚労省をサポートすべきだ。

 その際には「省益争い」や「党派争い」は厳禁だ。

 さらには、GPIFの運用資産、それに連動する他の年金や保険などの国民資産が大暴落した時の日本経済や財政への影響に対して、政府や日銀での「金融経済巨大災害対策」が必要となる。

 今からすぐに、GPIFの「戦略的アセットアロケーション」を起点とする「日本国民の国富を守る」ための最短最善の「有事即応体制」の構築とトップ以下の人選を「ワンチーム」で行わなければ、戦後営々と築き上げてきた「経済大国日本」は消えてなくなるだろう。
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🎥 『翔んで埼玉』映画第2弾の舞台がもう埼玉じゃなくなっている理由 202310

2023-10-16 22:03:00 | スカパー 放送予定控 & 映画 予定 &TV 予定

「好きにどうぞと丸投げしちゃった」『翔んで埼玉』映画第2弾の舞台がもう埼玉じゃなくなっている理由
「週刊文春エンタ!」編集部 より231016


 30年前に描いたマンガ『翔んで埼玉』が再単行本化でベストセラーになった漫画家・魔夜峰央氏。2019年には実写映画化もされて大ヒットしたが、11月にはその映画第2弾の公開も予定されている。
 ただ、その最新作のタイトルは『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』。
2作目にして舞台が埼玉を離れることになった本作について、原作者・魔夜氏に話を聞いた。

漫画家・魔夜峰央氏
◆◆◆

⚫︎じつは大阪にも縁があった!
ーー今回は『翔んで埼玉』コラボの田んぼアートを見に行田までご一緒する予定でしたが、台風で中止となり、残念です!

魔夜峰央氏(以下、魔夜) いやー、「埼玉」だからねー(笑)。私は別に行きたくなかったんですよ。車で2時間近くかかるし、ヘリでもチャーターしてくれたら行ってもいいんだけど。

ーーいずれにしても無事続編を観ることができて感無量です。

魔夜 いろいろありましたからね。2021年の夏にクランクインしたものの、GACKTさんの体調不良などもあって撮影が中断して。私自身もその年の年末に倒れたから……。一時はたいへんでしたが無事回復できたし、これは今年公開するための巡り合わせだったんだなと思ってます。

ーー今回は関西が舞台。もはや原作とは無縁の大風呂敷が広げられてます。

魔夜 前作の時点でなんでも好きにやってくださいと丸投げしちゃったので、関西ぐらいは想定内ですよ。それに私、埼玉だけでなく大阪にも住んでましたからね。まだデビューする前、大阪芸大に2年ほどいたの。

ーーなんと、大阪ともご縁が! 

魔夜 住んでたのは富田林だけどね。畑と田んぼだらけの田舎で、当時は駅も所沢みたいに木造の小さい駅でした。

ーー埼玉臭漂う場所だったんですね。記憶に残っていることはありますか?

魔夜 天王寺に「高濃度の酸素が充満してる」というのが売りの酸素喫茶っていうのがあって。当時タバコを吸ってたので、タバコを吸おうと火を付けたら、火柱がボワーッ!って上がってびっくりしましたね。

ーー先生のマンガみたいです(笑)。

⚫︎関西人には魔夜DNAが組み込まれている!?
魔夜 あと大阪では、テレビをつけるといつでもお笑い番組をやってて、文化の違いに驚きましたね。私は落語が好きなんだけど当時、米朝師匠(三代目 桂米朝)がよくテレビに出ていて。やっぱり関西は生活の中に笑いが根付いているし、笑いに対する受容性も高いんですね。

ーー私も関西出身なんですが、関西では『パタリロ!』のアニメがしょっちゅう再放送されていました。

魔夜 そうそう、『パタリロ!』は初回放送から関西のほうが強くて。関東の視聴率が8%だったのに対して関西では20%で、関西のほうが認知度が高いの。

ーーそういう意味では多くの関西人のDNAには、すでに魔夜DNAが組み込まれている。今回舞台が関西になったのも必然ですね。

魔夜 そうだったらいいんだけどね。『翔んで埼玉』も今回は関西人が当事者になるわけだから。ご愁傷様です。

◆◆◆

好評発売中の『週刊文春エンタ+』には、魔夜峰央先生の知られざる顔が暴かれるアシスタントさんとの対談も! さらに、主演のGACKTさんのインタビュー&グラビアも掲載されています。

◆◆◆

<プロフィール>
​まや・みねお
1953年生まれ、新潟県出身。現在は、横浜在住。1973年、「デラックスマーガレット」(集英社)でデビュー。1978年、「花とゆめ」(白泉社)にて代表作『パタリロ! 』の連載を開始。2015年、『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』が復刊大ヒット。2019年には、映画化を果たす。

◆◆◆

🎥映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』
 埼玉を徹底的にディスった衝撃のストーリーながら、日本中で埼玉ブーム起こした壮大な茶番劇『翔んで埼玉』がスケールアップして帰ってくる! 麻実麗(GACKT)率いる埼玉解放戦線は、さらなる自由と平和を求め、関西へと向かう。そこで発覚した恐るべき大阪の陰謀は、やがて日本全土を巻き込む東西対決へと発展する!

2023年11月23日(木・祝)全国公開/
    配給:東映/©︎2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

(「週刊文春エンタ!」編集部/ノンフィクション出版)
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👫〜祇園四条…四条三条。🚶三条…七条 231016

2023-10-16 20:06:00 | 📖 日記
👫…🚉〜祇園四条…<四条通>四条大橋…高島屋👀…ノムラテーラ…<東洞院通>…チャコット…<三条通>三条名店街…鳴門鯛焼🥮…三条大橋(妻先,帰宅)🚶…<鴨川左岸堤防道沿>…正面橋↕︎…七条大橋東詰北…七条〜🚉…>
🚶11218歩10F2kg

 買物同伴
流石に三条〜七条間左岸堤防道は人出少なく

☀️夏日

🌡️ベランダ29°〜15°






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🏢京都高島屋に「まんだらけ」「ニンテンドー」 ほか オープン 20231017

2023-10-16 02:16:00 | 〽️ 行事・新案内等 控え

京都高島屋に「まんだらけ」がオープン、出店の狙いやマニアが注目するポイントは?
 デイリースポーツ より 231016


「京都高島屋S.C.」T8の「カオスパーク」をテーマにした4階フロアに誕生した「まんだらけ京都店」
 漫画・アニメに関するグッズや書籍、トイなどをあつかう専門店「まんだらけ」の新店が、10月17日に開業する「京都高島屋S.C.」(京都市下京区)内の専門店ゾーン「T8」にオープン。
 百貨店に出店するということでSNSでも大いに話題となっているが、京都店はどういった特徴があるのか、担当者に話を聞いた。

 サブカルチャーに特化した専門店としてマニアから知られる「まんだらけ」。
今回の出店に際し、担当者は「従来のまんだらけユーザーに加え、百貨店の顧客や国内外からの観光客、エンタメやサブカルチャーを求めるファンなど、幅広いユーザーを迎えたい」と狙いを話す。

 気になる品揃えだが、既存の店舗と同じく書籍やグッズの販売・買取をおこなうほか、DVDやCDなど映像関連のソフトや雑誌、ヴィンテージムック本やアート&サブカル関連書籍、各種トイやドール、アンティークおもちゃやホーロー看板、企業ノベルティグッズなどがショーケースにずらりと並んでいる。

 担当者によると、オープン前からカード・シール類への注目度が高かったといい、これまでオンライン上でしか扱わなかった商品を実店舗で確認できるのも同店ならではの特徴だという。さらに、古都の歴史とサブカルチャーを融合させるというコンセプトを込め、店内には京都らしい鳥居のオブジェクトが設置され、高島屋内で異色を放っている。

■ 「高島屋の新たな挑戦」カオスパークがテーマの4階同店がオープンする4階は、フロア全体が「まんだらけ」の企業カラーであるビビッドな「赤」で統一され、「カオスパーク」がテーマに。これまでの高島屋では扱わなかった「アート&サブカルチャー」や「趣味を通じた交流」にフォーカスした店舗選びを意識しているといい、「まんだらけ」を筆頭にレコードショップ「フェイスレコード」やクリエイターの作品を扱う「ヌーヌ KYOTO」など、独自路線の店舗が集結した。

 高島屋の村田善郎社長は12日におこなわれたプレス内覧会にて、「現代アートやサブカルチャーに特化したテナントを強化することも『京都高島屋S.C.』の新たな取り組み。趣味を語り合うなど『買いもの』以外の楽しみを提供する狙いがある」とコメント。4階こそが、「新しい高島屋の挑戦を肌で感じていただきたい」という村田社長の言葉を象徴するフロアとなっている。

「京都高島屋S.C.」は10月17日にオープン。
アクセスは、阪急電鉄「京都河原町駅」の中央改札口直結。

取材・文・写真/つちだ四郎


※※※※※※※※※※※  繊研新聞 より 231016 ※※※※※※※※※※※ 追補

◆◆ 京都高島屋SCがあすオープン 百貨店・専門店の対比鮮やか
 髙島屋京都店と新設の専門店ゾーン「T8」で構成する京都高島屋SCが10月17日オープンする。
 T8は地下1階~地上7階、営業面積約1万3000平方メートルで、全フロアが百貨店とシームレスに連結、一体化したSCにした。
 T8に百貨店とは違う機能・業態を集積することで「千客万来」の「京都のシンボルとなるようなSC」(村田善郎高島屋社長)を目指す。

(吉田勧)

 T8は4~7階をアート&カルチャーのフロアにした。
▶︎4階はマンガ、玩具、ゲームなどの販売、買い取りの「まんだらけ京都店」(店舗面積548平方メートル)や中古レコードの販売・買い取りの「フェイスレコード」など、
▶︎5、6階は高島屋グループとカルチュア・コンビニエンス・クラブの共同出資会社TCCライフスタイルが運営する「京都蔦屋書店」(約2250平方メートル)が入った。「シェアラウンジ」のほか九つのアートスペースを設けて、現代アートを中心に年間60以上の展覧会を開く。
▶︎7階の「ニンテンドーキョウト」は国内3店目の直営公式ストアで、1階と屋上にフォトスポットも設けた。

▶︎地下1階は食物販とイートイン、1階には「ミュシャ」「cfg京都」「ジュエッテL/(エル)」など手土産やギフト需要を見込んだコスメや雑貨、食物販を配した。
▶︎2、3階は「スーパーAマーケット」「エブール」「ヒロタカ」「ミーツストア」「サタデーズニューヨークシティ」「コトパクシ京都」などファッションや服飾雑貨が中心で、各階とも京都初、関西初などのテナントを揃えた。
「(百貨店と専門店ゾーンの)対比が際立つSCに仕上がった。新客の獲得に期待している。今後の都心における百貨店核のSCの一つのモデルケースと考えている」(倉本真祐東神開発社長)とする。

 髙島屋京都店もこの間、婦人靴売り場を約1.5倍に、化粧品を約1.2倍に拡大し、ゴルフギアなどを強化してきた。また、T8との回遊性向上などを狙い期間限定店スペースを倍増の31カ所に増やした。11月に「エルメス」「カルティエ」を拡大する。

 高島屋京都店の23年度売上高は前年比14.4%増の961億円(22年度は13.6%増の840億円)を見込む。京都高島屋SC(売り場面積約6万5000平方メートル)としての売上高、入店客数目標は非公表。
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東北大が世界初、液晶状態の水を発見した 202310

2023-10-16 02:09:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

東北大が世界初、液晶状態の水を発見した
 ニュースイッチ by 日刊工業新聞 20231016


 東北大学の新家寛正助教と北海道大学の木村勇気教授らは11日、高圧氷と水との界面に新しい水の相を発見したと発表した。
 高圧氷の表面に液膜が形成され、通常の水と相分離して波模様を生じさせた。模様を分析すると液晶と推定された。
 液晶状態の水の発見は世界初。
氷でできた星の地質現象や化学反応などに知見を提供していく。

 4372気圧、マイナス10度Cの高圧低温環境で生じる氷の表面を観察した。
この条件では水分子は高圧氷Vという単斜晶を作る。
 圧力を上下させて氷を成長・融解させると、氷の表面に液滴や波模様の液膜が生じた。周囲の水と相分離し、通常の水よりも密度が高い液相と考えられる。

 波模様を分析すると波の周期に異方性があった。これは単斜晶の異方性を反映し、高密度液相は液晶と推定される。水は身近な物質だが未解明な部分も多い。
 高圧低温下での液晶発見は、氷天体の地殻変動や液晶中で起きる化学反応などの理解につながる。
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