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六根・六境に六識を加えた、人間が認識できる18の領域「十八界」すべてが「ない」と述べた意味とは?【般若心経】202201

2022-01-28 23:21:00 | 📗 この本

六根・六境に六識を加えた、人間が認識できる18の領域「十八界」すべてが「ない」と述べた意味とは?【般若心経】
  ラブすぽ  より 220128


⚫︎無眼界乃至無意識界(むげんかい ないしむいしきかい)
 ここまで述べた〈私〉の根拠としての十二処は,「眼・耳・鼻・舌・身・意」の六根(六つの感覚)、及び「色・声・香・味・触・法」の六境(感覚の対象)でした。実は、諸法の研究者たちが〈私〉の根拠としたものには、さらに六つの要素がありました。

 それは、「六根が六境を認識する作用」で、「六識(ろくしき)」と呼ばれます。六根・六境の十二処に、六識を加えたものを「十八界(じゅうはちかい)」といいます。「界」も「処」と同じく、原語に照らすと「〈私〉の根拠」を意味する言葉です。般若心経は、この六識にも言及しています。

⚫︎人間の感覚など遥かに超えた境地がある
 六識とは「眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識」の六つです。十八界としてとらえるときには、六根・六境の十二処を含め、すべてに「界」をつけて表します。    要は人間の感覚とその対象、認識作用は、次のように列挙できるわけです。
「眼界・耳界・鼻界・舌界・身界・意界・色界・声界・香界・味界・触界・法界・眼識界・耳識界・鼻識界・舌識界・身識界・意識界」

 般若心経のこの部分は、右の「十八界」がわかっている前提で述べられています。「乃至」とは「間のものを省略する」という意味の言葉です。つまり、右に列挙した「眼界から(間のものを含めた)意識界まで」、すべてが「ない」と述べているわけです。前項で述べたとおり、感覚のないつまらない世界という意味ではなく、人間の感覚など遥かに超えた境地があることを語っているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊
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ベゾス氏は3000基、マスク氏は4万基…大富豪はなぜ小型衛星をバンバン打ち上げるのか

2022-01-28 23:11:00 | 気になる モノ・コト

ベゾス氏は3000基、マスク氏は4万基…大富豪はなぜ小型衛星をバンバン打ち上げるのか
  プレジデント onlain より 220128  知野 恵子


⚫︎ピンポン玉サイズの「超超小型衛星」でもOK
いま世界の富豪が、千や万単位の膨大な数の小型衛星を打ち上げる「小型衛星コンステレーション」というビジネスに相次いで参入している。

 2022年の宇宙開発は、7日、イーロン・マスク氏が率いる米スペースXが小型衛星49基を一気に打ち上げるところから始まった。
 これまでも一度に最大60基の小型衛星を発射しており、19日にも49基を打ち上げた。事業開始から3年ほどで打ち上げ総数は2000基を超えた。そのすべてが機能しているわけではないが、すごい数と打ち上げペースだ。
 しかしマスク氏は満足しない。目標は1万2000基、長期的には最大4万2000基を想定しているという。

 アマゾン創業者で昨年夏に、自身が保有する企業の宇宙船で約10分の宇宙旅行を体験したジェフ・ベゾス氏も、3000基以上の小型衛星の計画を進めている。

 実業家の堀江貴文さんが出資するロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ」の子会社「アワースターズ」(社長・堀江氏)は、小型衛星よりも小さいピンポン玉サイズの「超超小型衛星」数千基や、超小型衛星の打ち上げを目指している。
 東京・江東区のベンチャー「シンスペクティブ」は小型衛星を23年までに6基、20年代後半には30基を目標にしている。東大発ベンチャー「アクセルスペース」も超小型衛星の打ち上げを進めている。

⚫︎なぜこんなにたくさん打ち上げるのか?
 日本のベンチャーの衛星計画はまだ小規模だが、海外の勢いはすごい。米国のベンチャー「プラネット」はすでに約200基近くの小型衛星を打ち上げ、カナダのベンチャー「ケプラー」は約11万5000基の計画を持つ。ほかにも多数のベンチャー企業が取り組んでいる。 
 中国も取り組みを開始し、1万基超の計画を持つと言われている。アフリカのルワンダ政府は、約33万基という信じられない数の計画を持つ。

 国連宇宙部によると、これまで宇宙に打ち上げられた1万2000基の衛星が登録されており、その数は毎年1000基以上増加している。小型衛星の群れが、計画通り打ち上げられれば、衛星の数は何倍にも膨れ上がることになる。
 小型衛星が打ち上げられるのは主に400~1000キロメートル前後の「低軌道」。広大な宇宙とはいえ、いずれ低軌道に小さい衛星の群れが、わらわらとひしめきあう時代になるのだろうか。

 それにしても、なぜ、こんなにたくさん衛星を打ち上げるのか。

⚫︎ベンチャーも参入しやすいネット通信と写真撮影
 富豪やベンチャー企業が、ターゲットにしているビジネスは、小型衛星を使った「通信」や「写真撮影」だ。
 これまでもそうした機能を持つ衛星は多数打ち上げられている。だが、衛星が大型で、価格も高く、作るのにも時間がかかる。このため国や大企業しか衛星を作ったり、利用したりすることができず、新たな産業や利用が生まれない悪循環に陥っていた。

 そこに「ゲームチェンジ」を持ち込もうというのが、小型衛星コンステレーションだ。地球を覆うように小型衛星をたくさん配備し、安く早く、大型衛星に匹敵する能力を実現させるのが目標だ。
 マスク氏やベゾス氏は、地上のどこからでも高速でインターネットに接続できる通信事業を目指している。

「衛星写真」に取り組むベンチャー企業は、衛星が撮影した写真を使って、災害対策、農作物の生育状況観察、漁業探索など、さまざまな新ビジネスを実現しようとしている。
 1月15日に南太平洋のトンガ付近で起きた大規模な海底噴火の様子や噴火前後の写真が新聞やネットで公開されたが、その中にはベンチャー企業の衛星が撮影したものも含まれている。

⚫︎投資マネーがどんどん宇宙になだれ込んでいる
 国の防衛に利用しようという動きも進んでいる。米国防総省がミサイル監視や情報収集などのための小型衛星コンステレーション構築に取り組んでいる。日本の防衛省も、極超音速滑空兵器の探知・追尾などの研究開発を進めようとしている。日米共同で宇宙に小型衛星の群れを配備しようという構想もある。

 世界の宇宙産業市場は拡大しており、2016年の約37兆円から50年に約200兆円になると予測されている。衛星コンステレーションはその重要な柱のひとつだ。そうした期待や世界的なカネ余りもあり、投資マネーが宇宙ベンチャーになだれ込む。小型衛星の群れに取り組むベンチャー企業が次々と登場している。

だが、思わぬ「落とし穴」がある。

⚫︎中国政府が「危ない」とスペースXに苦情
 昨年12月、中国政府が、国連宇宙部に苦情を通知した。スペースXの小型衛星が7月と10月の2回にわたって中国の宇宙ステーションに接近し、衝突の恐れがあったためだ。ステーションに滞在する宇宙飛行士の安全確保のために、中国はステーションを回避させざるを得なくなったという。
 宇宙条約では、民間企業の打ち上げた衛星でも、その企業が属する国の責任になる。中国が国連に申し立てたのも、スペースXを批判したいというだけでなく、激しさを増す米中の宇宙覇権争いの一端だと見られる。

 小型衛星の群れが配備される低軌道は、中国の宇宙ステーションや国際宇宙ステーション(ISS)に近い。これからも各国の宇宙飛行士をリスクにさらす危険がある。日本の宇宙ベンチャーも同じような問題を起こしてしまう恐れがある。

 小型衛星が多くなるとトラブルも生む。膨大な数の衛星が宇宙に配備されれば,衛星同士の衝突リスクが高くなる。衝突破片がばらまかれれば,宇宙空間に漂うゴミ(デブリ)になる。
 現在でも宇宙には10センチ以上のゴミが2万個、小さいものを合わせると1億個以上あるという。それらのゴミが猛スピードで飛び回り、宇宙飛行士、宇宙ステーション、宇宙旅行客、他の衛星などを危険にさらす。

 天文学者からは天体観測に与える悪影響が指摘されている。専門家だけでなく、一般の人からも地球環境問題を念頭に、宇宙の持続的利用を脅かすという批判の声が上がる。

⚫︎各国で宇宙の「場所取り」が行われている
 小型衛星コンステレーション事業は、国内外を問わず走り出したばかりだ。技術や資金不足で頓挫する懸念がある。実際、2020年に英国の小型コンステレーション企業「ワンウェブ」の経営が破綻し、英政府とインドの企業で再生策を講じているという。

 故障や寿命切れで不要になった衛星は、他の衛星の邪魔にならないように、軌道から離脱させたり、大気圏に再突入させて燃やしたりする。だが、計画の頓挫で、そのまま放置されれば、衝突や宇宙ゴミ化のリスクはいっそう増す。頓挫しなくても使用済みの衛星を軌道に捨てておく事態も考えられる。

 衛星コンステレーション計画の中には、宇宙の低軌道の場所取りが目的と見られるものもある。場所を確保して悪用する懸念がある。国連のITU(国際電気通信連合)の会議で何度も問題になってきた。ITUは規制ルールを2019年に作ったが、各国の利害が衝突した結果、その気になれば通り抜ける道もある、緩いものになっている。

「ダボス会議」で知られるスイスの非営利団体「世界経済フォーラム」が1月11日に発表した「グローバルリスク報告書2022年版」では、宇宙空間での民間活動と公共活動が増加し、宇宙空間が新たなリスク領域になっていることや、宇宙活動の増加によって衛星同士の衝突リスクがあることなどを指摘した。

⚫︎課題を見ないまま競争に爆進しているが…
 米国が低軌道での商用利用や防衛利用を推進していることもあり、これからますます低軌道は混みあう。小型衛星の群れの登場以前から、衛星の増加によって通信に使う周波数が逼迫し、国際調整が繰り返されてきた。
 こうした技術調整だけにとどまらず、人類が将来にわたって安定的に低軌道の宇宙空間を利用できるようにするための検討を開始すべきだろう。

 その際に必要なのは、小型衛星の群れが今どういう状態にあるか、将来どうなるかの見通しなどの全体像を国際社会が共同して明らかにし、対策を練ることだ。「ゲームチェンジ」は重要だが、現状は各国政府も企業も自分たちの計画に集中し、さまざまな課題や不都合な現実を見ようとしないまま、爆進している。

 このままいけば、防衛目的の小型衛星コンステレーションを構築しても、投じた資金に見合うような安定して安全保障に使えるものになるのか、という疑問が沸く。一般の人々にも宇宙開発に対する不安や懸念を与える。

 小型衛星コンステレーションは日本の宇宙政策の目玉でもある。昨年12月28日に開かれた政府の宇宙開発戦略本部(本部長・岸田首相)で、岸田首相がまず言及したのも小型衛星コンステレーションだった。国際調整も含め、日本も宇宙を安定して使っていくために何が必要か知恵を絞り、未来に向けての役割を果たすべきだろう。



//知野 恵子  ジャーナリスト
東京大学文学部心理学科卒業後、読売新聞入社。婦人部(現・生活部)、政治部、経済部、科学部、解説部の各部記者、解説部次長、編集委員を務めた。約35年にわたり、宇宙開発、科学技術、ICTなどを取材・執筆している。1990年代末のパソコンブームを受けて読売新聞が発刊したパソコン雑誌「YOMIURI PC」の初代編集長も務めた。
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がん免疫治療薬『オプジーボ』を巡り対峙した"本庶氏と小野薬品"裁判を通じて伝えたかった本庶氏の「次世代研究者への思い」 202201

2022-01-28 22:35:00 | なるほど  ふぅ〜ん

がん免疫治療薬『オプジーボ』を巡り対峙した"本庶氏と小野薬品"裁判を通じて伝えたかった本庶氏の「次世代研究者への思い」
  MBSニュース より 220128


 がん免疫治療薬「オプジーボ」を発見し、ノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授。オプジーボの正当な発明の対価を求め、大阪の製薬会社「小野薬品工業」に対して訴訟を起こしていましたが、去年11月に和解が成立しました。
 和解の内容は「小野薬品が本庶さんと京都大学に寄付も含めて280億円を支払う」というものでした。この裁判で本庶さんが訴えたかったこと、それは「次世代の研究者への思い」でした。

 去年9月、大阪地裁で行われた裁判。原告席には、京都大学特別教授の本庶佑さん(80)。被告席には「小野薬品工業」の相良暁社長、上場企業のトップとノーベル賞受賞者が法廷で対峙しました。

 2018年,本庶さんが受賞した「ノーベル医学生理学賞」。日本で26人目の受賞でした。
 きっかけとなったのはがん免疫治療薬「オプジーボ」の発見です。

 がん細胞は免疫細胞の働きにブレーキをかけて攻撃から逃れていますが、オプジーボはブレーキを解除する効果があり、免疫細胞が攻撃できるようになるのです。
 従来にない治療薬で肺、胃、食道など、さまざまながんで承認されています。

 ノーベル賞の受賞が決まった時、本庶さんが真っ先に口にしたことは次の言葉でした。
(京都大学特別教授・本庶佑さん 2018年10月)
「基礎研究にかかわる多くの研究者を勇気づけることになれば、私としてはまさに“望外の喜び”でございます」

 オプジーボの製造に関わる重要な特許は小野薬品と本庶さんが取得しました。「大学の研究で得られた発見の成果は大学に還元すべき」と本庶さんは考えていましたが、当時、そのノウハウがなかったといいます。

 2006年には小野薬品が本庶さんの特許権を独占的に使用する代わりに、「売り上げの0.5%と特許で得られたロイヤリティ料の1%を支払う契約」を交わします。後にこの数字が国際的に低いと分かり、それぞれ2%と10%に引き上げる交渉が続いていましたが合意には至っていませんでした。
 そんな中、オプジーボと似た薬の販売をアメリカの大手製薬会社が開始し、特許権侵害の国際裁判が始まったのです。
 国際裁判で開発者の本庶さんの協力が欠かせません。2014年9月、小野薬品の相良社長が本庶さんの元を訪れます。
(京都大学特別教授・本庶佑さん 2020年1月)
「『トップの交渉』だと。これは重要だと思って(メモに)書きましたね」
 相良社長は本庶さんに国際裁判の協力を求めると共に、解決した場合、「得られたロイヤリティ料の40%を支払う」と話しました。

 その後、国際裁判は和解が成立。事実上、勝訴といえる内容でしたが、本庶さんに支払われた金額は40%分ではなかったのです。
 おととし、本庶さんは小野薬品に対して40%分の支払いを求めて提訴。請求金額は200億円を超えました。

 巨額の対価を求めた裁判は過去にもありました。「青色発光ダイオード」の発明の対価を求めて、かつての勤務先を訴えた中村修二さん。2014年に中村さんは「ノーベル物理学賞」を受賞しました。
 2004年、東京地裁は「発明の特許は企業に帰属する」としながらも、発明の対価を600億円と認定。中村さんが求めていた報酬額である200億円の支払いを命じました。しかし2005年に東京高裁は一転し、発明の対価を6億円と認定して和解を勧告、裁判は終結しました。
(カルフォルニア大学・教授 中村修二さん 2005年)

「これはもうどうしようもない。司法制度の問題ですわ。日本の司法制度は腐っていますよ。こういう和解の状況に追い込まれた、裁判所に。6億円がどこから来たかなんて、何の根拠もないですよ」
 東京地裁で当時最高額と言われた200億円の支払いを命じた三村量一裁判官は今、知的財産を専門とする弁護士です。発明と対価について話を聞きました。
(三村量一弁護士)
「中村博士の場合はですね、やはりノーベル賞を取ったことで、単なる強欲な人ではなくちゃんとした発明をしたから対価を請求していたという見方をする人が増えた。(中村さんのような)職務発明の処遇の当時の仕方と、今回みたいに大学発のものを発展させて、実用化させてそれを売りましょうというのは別の話だと思いますので。大学発のものであれだけもめているのは、やはり企業側にもそれなりに問題があったのではないかと」

 オプジーボの裁判で小野薬品の相良社長は、「本庶さんに示した特許料率引き上げの提案はさらに上乗せを求められたため合意していない」などと主張してきました。

 【去年9月に開かれた裁判での発言】
(小野薬品工業 相良暁社長)
「提案は拒否された、ブレイクだと。当時、がんと免疫は信用されず努力して汗かいてやってきた」
(京都大学・特別教授 本庶佑さん)
「学者として言ったことには責任をもってきた。上場企業のトップが依頼して、なかったことにするのはありえないと思った」

 尋問で双方は真っ向から対立。しかし2か月後の去年11月、裁判所の勧めで和解が成立。双方の貢献を互いに評価して小野薬品が京都大学に230億円寄付し、解決金として本庶さんに50億円支払うという内容でした。
(小野薬品工業 相良暁社長 去年11月)
「本庶先生との諸問題を全面解決できたことを心から喜んでいます。また、和解の内容についても満足するものとなっています」

 そして去年12月、「小野薬品・本庶記念研究基金」が設立されました。230億円を原資に若い基礎研究者の支援などに運用され、産学連携の新たな形と期待されています。

 基金設立の翌日、本庶さんは初めて今回の和解について思いを語りました。
(京都大学・特別教授 本庶佑さん 去年12月)
「こういう大きな実用化した、製品化した発見の成果やアカデミアの貢献が正しく評価されて、次の世代の育成に役立つようなポジティブサイクルが描けたことが大変良かったと思っています。僕が生きているうちに若い人にアカデミアの資産を引き継ぐ」
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CFRPの炭素繊維・樹脂を再利用するスゴい技術の仕組み  202201

2022-01-28 22:22:00 | 気になる モノ・コト

CFRPの炭素繊維・樹脂を再利用するスゴい技術の仕組み
 ニュースイッチ by 日刊工業新聞 より 220128


⚫︎CFRPの炭素繊維・樹脂を回収・再利用
 エポキシ樹脂が溶出中のCFRP。上層が水系溶媒でグルタチオンが溶けていてエポキシ樹脂を分解。下層が油系溶媒で分解されたエポキシ樹脂が集まる(物材機構提供)

 物質・材料研究機構(物材機構)と新構造材料技術研究組合(東京都千代田区)は熱硬化性のエポキシ樹脂を還元してリサイクルする技術を開発した。
 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の炭素繊維とエポキシ樹脂を分離し、それぞれ回収し再利用するプロセスを提案する。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標12の5「2030年までに廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用によって廃棄物の発生を大幅に削減する」に貢献する。

「グルタチオンはサプリメントにもなっている。身近なペプチド(アミノ酸の集合体)で循環型社会を実現したい」と物材機構の内藤昌信グループリーダーは力を込める。
 エポキシ樹脂をグルタチオンで洗うと、エポキシ樹脂がバラバラになり溶けて回収されるリサイクル技術を開発した。エポキシ樹脂は接着剤や塗料、CFRPなどに広く使われる。グルタチオンは体内では抗酸化物質として働くペプチドだ。グルタチオンのチオール基は相手の分子を還元する効果がある。


⚫︎回収した炭素繊維(物材機構提供)
 リサイクル実現のポイントは、硫黄原子が二つつながったジスルフィド結合の入ったエポキシ樹脂でCFRPを作ったことだ。このジスルフィド結合をグルタチオンが還元して分解する。グルタチオンは水に溶け、分解されたエポキシ樹脂は油に溶ける原理を利用してグルタチオンとエポキシ樹脂を分ける。ジスルフィド結合は髪の毛のパーマやゴムの架橋にも利用される。身近な化学反応でリサイクルが難しかったCFRPを再利用する。

 CFRPは軽くて強い構造材料だが、鉄やアルミなどの金属に比べてリサイクルが難しかった。自動車などでは軽量化で燃費を改善する効果も、資源を再利用できないとなると、環境負荷の面では本末転倒になりかねない。だが炭素繊維と樹脂を再利用できれば突破口になる。

 内藤リーダーは「仕組みは単純。CFRPに限らずさまざまな材料に応用したい」という。さまざまな樹脂製品がリサイクルを前提に作られる時代に向け、社会を支える技術になる。
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⚠️ 数学だけじゃない! 日本のエリートに足りない三つの能力【佐藤優】 202201

2022-01-28 21:38:00 | なるほど  ふぅ〜ん

数学だけじゃない! 日本のエリートに足りない三つの能力【佐藤優】


  青春online より 220128    佐藤優:作家

 高校1年生の15歳で東欧を一人旅し、その後外務省に入ってからはロンドン、モスクワに勤務して世界のエリートと対峙してきた作家の佐藤優氏。最近は若い世代の教育にも力を入れていますが、日本を担う若い世代の人たちには決定的に足りない要素が三つあると言います。それは一体どのような力なのでしょうか?

⚫︎ますます高まっていく数学力の重要性
 これからの時代にはどのような能力が求められ、どんな能力が評価されるでしょうか。グローバル化は止まらないでしょうから、これからの若い世代は諸外国のエリートといろいろな局面で戦わなければならない時代になるでしょう。
 もし、将来彼らと伍して仕事をしたいのなら、英語などの語学力をもっていることは当たり前で、必要になるのは数学の力だと考えています。日本の場合は高校など早い段階で数学と縁がなくなるケースが多くあります。
 ところが諸外国のエリート教育では、文系でも数Ⅲの理解がないと試験に合格して卒業することができません。

 以前、外務省で研修指導官をしていたころ、入省した優秀な研修生たちを選りすぐり、モスクワ国立大学の地理学部と、高等経済大学というエコノミスト養成の大学にそれぞれ送りました。いずれも難関国立大学や一流私立大学出身の優秀な若者でしたが、全員が成績不良で退学を余儀なくされたのです。
 一体どういうことなのか? モスクワに行ったときに直接理由を尋ねました。先方の担当者がいうには、日本の留学生のロシア語に関してはまったく問題がなかったものの、その他に問題が三つあったというのです。

 その一つは数学の力。彼らは偏微分が出てくる経済学の最先端の本をまったく理解できなかったというのです。日本の高校数学に偏微分は出てきません。それから、線形代数に弱いので統計処理ができないということでした。
 さすがに、このレベルの数学の知識を文科系の学生に求めるのは酷かもしれません。しかし、世界のエリート教育の最先端ではその能力が当然のように求められ、学生たちはそれをクリアしている。グローバル化が進めば、そんなとてつもない知性を備えたエリートと競争していかなければならないのです。

 日本の文系学生の場合は、数Ⅲまで理解していれば教養課程の数学には十分ついていくことが可能です。そうすれば経済学などの論文も理解することが可能になる。国際社会でも十分に渡り合うことができます。

⚫︎論理学を知らないと世界のエリートとは戦えない
 もう一つの問題は「論理学」の知識がほとんどなかったこと。論理学といっても幅が広く、集合論などとつながった記号論理学と、記号を使わない言語での論理の構成を分析した学問まで、幅広い概念を含んでいます。

 モスクワ大学で取り上げられていた論理学は数学的な記号論理学でしたが、言語表現の論理学も含めて、論理的な思考をするには欠かせない学問です。それは結局のところ現代文の理解力につながっていくものです。

 野矢茂樹さんという東大の先生が書いた『論理学』は論理記号を使った解説書ですが、論理学とはどういうものかを知りたい初心者、文科系の人には参考になる一冊です。
 同じく野矢さんの本に『論理トレーニング101題』があります。これは記号を使わず言葉だけで説明した本で、論理学の練習問題が101題取り上げられています。その一部を紹介してみましょう。

「テングタケは毒キノコだ。だから食べられない」

 この文章のおかしなところはどこでしょう。一見すると毒キノコであれば食べられないと納得しそうです。ただし、もしかすると煮たり焼いたりして加熱したら食べられるかもしれません。そうだとすると右の文章は完全には誤っていないにしても、不完全な表記だということになります。正しく記述するとしたら、

「テングタケは毒キノコだ。だから焼いたり煮たり、加熱調理しないと食べられない」

となります。では次の文章はどうでしょうか。

「吠える犬は弱虫だ。うちのポチはよく吠える。だからポチは弱虫だ」

 こちらも一見する限りおかしなところはないように思います。しかしポチが犬かどうかは書かれていません。ポチはもしかするとトラやライオンかもしれない。だとすると弱虫とは言い切れません。
 重箱の隅をつつくような指摘だと思うかもしれませんが、論理的に正確な記述という観点からは妥当な指摘なのです。実は私たちの日常でも、このような不正確な言い回しや記述に、つい騙されたり誤解したりしているケースが多々あります。

 相手のロジックの破綻を見抜いたり、相手のウソを見破ったりするには、論理力を高めることが欠かせません。外交やインテリジェンスの現場では特に論理性が求められますが、一般のビジネスシーンでもそれは同様でしょう。
 残念ながら、日本のエリートでも論理学を修得している人は、他の先進諸国に比べて非常に少ない。これから少しでも論理学を学び、ロジカルな思考力を身につけたいと考えている人には、『論理的に考え、書く力』もおすすめします。

⚫︎哲学とは思考の「鋳型」である
 モスクワの大学の担当者が指摘した、日本人エリートの足りない能力の三つ目が、哲学に関する基礎知識でした。日本の教育では倫理に当たります。日本の高校教科書をあらためて読むと、そのレベルは実はかなり高い。

 たとえば倫理の教科書には『啓蒙の弁証法』の著者であるテオドール・アドルノや、マックス・ホルクハイマーといった哲学者が顔を出しています。

 ホルクハイマーとアドルノは啓蒙の弁証法という考え方を提唱しました。簡単に説明すると、最初は啓蒙のために有効だった理性もやがて道具化し、画一的な価値観をもたらすものに変化する。つまり自由を得るための理性が、今度は逆に思考停止や判断停止をもたらし、自由を縛るものに変化するのです。

 たとえば、人類が啓蒙の時代を経て近代化を遂げ、理性の時代になったにもかかわらず、なぜナチスのような思想や動きが生まれたのか。
 こうしたプロセスを解き明かし、この弊害から逃れるための方法を提示したのが『啓蒙の弁証法』なのですが、これをしっかり説明できれば、十分大学院の修士レベルになります。ですから高校の倫理の教科書をしっかり勉強すれば、哲学の基礎知識は十分につけることができるのです。

 ところが、残念ながら日本の高校生で倫理自体を積極的に学ぶ学生は少ない。いまの時代、哲学というと実社会には役に立たないものというイメージが強く、それなら法学や経済学など将来つぶしのきく学問を学びたいという人が多いのです。

 しかし、世界のエリートたちは哲学をよく学んでいます。そして、それが役に立たない学問どころか、さまざまな場面で非常に重要な要素であることも知っているのです。

 思考にはそれぞれ「鋳型」があり、哲学史を学ぶことで、その鋳型にどんなものがあるのかを知ることができる。誰かと議論したとき、何か世界で問題が起きているとき、いったいどういう考え方とどういう考え方の違いがぶつかり合って問題が起きているのか、思考の鋳型を知っていればその本質が見えてくるのです。

 国際情勢の動きも、思考の鋳型を通して見ればそのカラクリや原因が見えてくるようになります。また個人的な人間関係においても、相手の考え方の基礎にどんな思想的な背景があるのか、価値基準はどこから由来しているのかがわかれば、相手をより理解し判断できるようになります。



⚫︎PROFILE    佐藤優 1960年東京都生まれ。
 85年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア日本国大使館勤務を経て、95年、同省国際情報局分析第一課主任分析官。2002年、背任及び偽計業務妨害容疑で逮捕。09年、背任及び偽計業務妨害の有罪確定で外務省を失職。13年、執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失う。捜査の内幕を描いた『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)が05年に出版されると大反響を呼ぶ。『自壊する帝国』(新潮社)で第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
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