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反意語の使い方
反意語を使った修辞は奥が深い。特に、反語の使い方は難しい。表現力に幅を持たせる修辞技法という観点から、反意語を勉強していきたいと思う。
(一)反意語の性質と範囲
言語中の語彙の意味で、相互に矛盾、対立することばが、反意語(“反義詞”)である。反意語は、意味の上で常に相互に排斥し、相互に対立する。例えば:
大―小 長―短 高―低 好―壊
浪費―節約 吝嗇lin4se4―慷慨kang1kai3 擁護―反対
痛苦―快楽 謙虚―驕傲 平坦―崎嶇qi2qu1
反意語の存在は、客観事物の矛盾、対立の反映である。しかし、反意語は一種の言語現象であり、一切の矛盾、対立の事物、概念が皆反意語を通じて表現されるわけではない。反意語の成立は、言語習慣の基礎に基づかねばならない。したがって、“晴天”と“雨天”、“飛機”と“高射砲”といった意味の上で相対立することばは反意語ではない。一方、いくつかのことばは、意味では別に厳格な矛盾対立関係は無いが、言語中では常に並べて対比され(“併挙対比”)、反意語に属する。例えば、“春”と“秋”、“黒”と“白”がそうである。これは、言語の習慣より決定されたものである。
(二)反意語の文中での作用
反意語が表すのは対を為す相互に矛盾対立する概念で、常により鮮明に矛盾する事物の二つの対立面を明らかにし、よりはっきりと矛盾する事物の対立性を暴きだすので、言語表現上、常に特殊な修辞機能を有する。
文章中で、反意語は常に修辞上、対比させ、引き立てあう(“映襯”)手法が用いられ、それにより文章により鮮明な色彩を加え、より強烈な説得力を持つようになる。
例えば:
◆ 虚心使人進歩,驕傲使人落后,我們応当永遠記住這個真理。
◆ 一切只顧個人不顧社会,只顧局部不顧全体,只顧眼前不顧将来,只顧権利不顧義務,只顧消費不顧生産的観点和行為,都是必須反対的。
◆ 我們的癰疽,是它們的宝貝,那麼,它们的敵人,当然是我们的朋友了。
・癰疽 yong1ju1 悪性の腫れもの
◆ 真的、善的、美的東西総是同假的、悪的、丑的東西相比較而存在,相斗争而発展的。
◆ 事物的発展規律総是由小到大,由低级到高级,由普及到提高。
◆ 旧社会把人逼成鬼,新社会将鬼変成人。
これらは、反意語を利用して対比を構成し、それにより述べている真理をよりはっきりさせ、明確にし、より説得力を持たせている。ことわざや格言の中でも、しばしば反意語、或いは反意の語素を用いてそれを表現手段にしている。例えば:
◆ 失敗為成功之母。
◆ 満招損,謙受益。
◆ 学如逆水行舟,不進則退。
◆ 人無遠慮,必有近憂。
次に、文中で、反意語を続けて使うことで、しばしば表面上は矛盾しているが、実際はより深刻な哲理を含んでいる語句を構成することができる。このような語句は、より含蓄を持つとともに、より訴求力が強まる。例えば:
◆ 世界上最快而又最慢,最久而又最短,最易被人忽視而又最易令人后悔的,就是時間。
◆ 后方的前線 (本などの題名)
◆ 平凡的偉大 (本などの題名)
◆ 典型形象―熟悉的陌生人 (本などの題名)
次に、反意語現象の存在により、特定の言語環境の中では、類推(“類比”)を利用し一つの反意語を新たに作り、一種の特殊な修辞手法を構成することが許される。この種の表現方法は、しばしばユーモアやからかいの意味を帯びる。例えば:
◆ 読者定会覚得這是一条新聞吧,其実却是一条旧聞。
最後に、反意語現象の存在により、文章中でその意味の矛盾、対立を利用し、「反語」(“反話”)的な修辞手段を構成することができる。例えば、貶義を含んだ反意語を元々の相応する褒義詞に代え使用することで、しばしばより親しみのある、或いは深刻な感情の意味合いを表現することができる。例えば、“薄情”、“可憎”を用いて愛人(“情人”)のことを呼んだり、“小丫ya1頭”、“小鬼頭”を用いて子供のことを呼ぶことで、“多情”、“可愛”、“小宝貝”と言うよりもっと意味に表情を持たせることができる。反対に、褒義を含んだ反意語を貶義詞に代えて用いることにより、より深刻な否定的で皮肉な感情的意味合いを持たせる。例えば:
◆ 請問那些仁慈的打手們,可否把你們的拿手好戯当衆再表演一番呢?
◆ 也有解散辮子,盤得平的,除下帽来,油光可鑑,宛如小姑娘的髪髻一般,還要将脖子扭几扭。実在標致極了。
ここで、“仁慈”、“標致”の二語は、実際はこれらの反対の意味のことばに代えて置かれた。このように構成される「反語」は、明らかにより深刻な意味を含み、より生き生きとした、鮮明な表現力を備えている。
(三)反意語の成語の中での作用
反意語が成語の中で連用されると、意味合いはしばしば単独で用いられる時より豊かになる。例えば:
深入浅出 棄暗投明 取長補短 厚今薄古
此起彼伏 悲歓離合 無独有偶 苦尽甘来
・深入浅出 shen1ru4qian3chu1 (文章や言論の)内容は奥深いが、表現はごくわかりやすい
・棄暗投明 qi4an4tou2ming2 暗きを捨て明るきに投じる。反動集団から離れて革命組織に参加すること
・取長補短 qu3chang2bu3duan3 長を取り短を補う。長所を取り入れ短所を補う
・厚今薄古 hou4jin1bo2gu3 (学術研究などで)現代を重視して古い時代を軽視する傾向
・此起彼伏 ci3qi3bi3fu2 一方が下火になれば他方が盛り上がる。ひっきりなしに起こるさま
・悲歓離合 bei1huan1li2he2 別れ・めぐり会いなど世の中の喜びや悲しみ。人生の常ならぬ移り変わり。変転浮沈
・無独有偶 wu2du2you3ou3 単独ではなく同じものがもう一つある。同じ事が他にもある(よくない事柄について言うことが多い)
・苦尽甘来 ku3jin4gan1lai2 苦が尽きて楽が来る。苦労をし尽くして楽な生活が始まる
成語の中には、反意語と同義語が交叉複合して構成されるものがあり、意味は豊かで、生き生きとしている。例えば:
横衝直撞 生離死別 東揺西擺 長吁短嘆
博古通今 争長論短 瞻前顧后 天昏地暗
・横衝直撞 heng2chong1zhi2zhuang4 しゃにむに走り回る。縦横無尽に突き進む
・生離死別 sheng1li2si3bie2 生き別れと死に別れ。再び会えない永遠の別れ
・東揺西擺 dong1yao2xi1bai3 歩みが安定していない。動揺しやすい
・長吁短嘆 chang2xu1duan3tan4 しきりに溜息をつく
・博古通今 bo2gu3tong1jin1 古今の事柄に精通する
・争長論短 zheng1chang2lun4duan3 あまり重要でない事物をあれこれ比較すること
・瞻前顧后 zhan1qian2gu4hou4 ①後先をよく考える。事に当って慎重である。②優柔不断である
・天昏地暗 tian1hun1di4an4 ①天地ともに暗くなる。②政治が腐敗し、社会が混乱する
【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年
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