中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

中国語の修辞: 誇張と反復

2010年12月21日 | 中国語
 今回取り上げる修辞技法は、文意を強調するための表現で、誇張と反復の二つです。数字を使った成語も誇張表現に含まれます。

                 四 生動 (表現を生き生きさせる)

(二) 強調

 一つの事物を強調しようと思うと、人々はしばしば誇張の手法を用いる。つまり客観的な事実を超えたことばを使ってその事物を大げさに表現し、読む人に突出した印象を与えるようにする。

 通常見られるのは程度の誇張である。例えば:
   (15) 龍江人常説,這里的土,插根筷kuai4子都会発芽

   (16) 這后生平時不声不響,只是蒙着頭工作。可是火起来也有股子牛脾气,
    不会転弯,説的話能衝倒墻

・后生 若者
・不声不響 声をたてずに黙って。こっそりと。
・蒙 meng1 ぼうっとする
・股子 [量詞]力や臭気などを形容する
・牛脾气 頑固で強情な性質

   (17) 一個人要是自私,処処考慮個人的利害,個人的得失,個人的生死,
    那他就会前怕狼,后怕虎,樹叶掉下来也怕砸za2了脳袋,永遠也不会
    変成英雄。

・砸za2 (重いものが他のものの上に)落ちる。当たる。

   (18) 車廂里凡是插得下一根針的地方,都擠満了人,就連過道、
    門旮旯ga1la2、厠所,以致于行李架上也都塞満了人。

・擠 ji3 (人や物が)ぎっしり詰まる。込み合う
・旮旯 ga1la2 隅

 程度の誇張はある側面から別の事物へ拡大、或いは縮小する。或いは事物を極度に強、大、高、長の方向に話をする。或いは逆に事物を極度に弱、小、低、短の方向に話をする。

  ある事物の程度を大げさに誇張するため、数詞を利用して表現する場合がある。中国語では、数詞は実際の数を表さない場合があり、“三”以上はしばしば数の多いことを表し、“三”以下はしばしば数の少ないことを表す。いくつかの成語はこのよう構成されている。
 例えば、“三思而行”、“四通八達”、“十悪不赦”、“百煉成鋼”、“千言万語”は数のたいへん多いことを言う。逆に“略知一二”、“一毛不抜”、“一星半点”は数のたいへん少ないことを言う。

・三思而行 三思ののちに行う。熟考の上実行する
・四通八達 道が四方八方に通じている
・十悪不赦 shi2e4bu4she4 極悪非道で許すことができない
・百煉成鋼 百度鍛えて鋼になる。鍛錬に鍛錬を重ねてりっぱな人になる譬え。
・千言万語 非常に多くの言葉の形容。口を酸っぱくして。

・略知一二 多少は知っている
・一毛不抜 yi1mao2bu4ba2 髪の毛一本抜くのさえ惜しむ。ひどくけちである譬え。
・一星半点 ほんのわずかばかり。ちょっぴり。

例えば:
   (19) 真把人困死了。将来勝利回国,我非睡它個八天八夜不行!

   (20) 但這回她没考工廠回来,当天只従竇堡鎮北面五里的関村走到家,
    她渾身没二両勁了。

 前例の“八天八夜”は何日も寝ないでがんばらないといけない、と数の多いことを言い、後者の“二両勁”は全身の力をさして使うことなく、と数の少ないことを言い、何れも程度の上での誇張をしている。

 もうひとつは、時間の上での誇張である。これは主にふたつの事物の関係を表す。生活の中で前後に起こった二つの事物について、後に起こった事物をわざと先に起こった事物の前に言い、読む人の印象を深める。こうした誇張を“超前誇張”と呼ぶ場合がある。例えば:
   (21) 還没喝到嘴里心就酔了

   (22) “放心,回頭見!”劉鉄柱話音還在人已不見

 当然先に酒を飲んだ後酔っぱらうのだが、ここでは酒を飲む前に酔っぱらったと言っている。話声が止んでから人はいなくなるのに、ここでは話声はまだするのに人がいなくなったと言っている。このように書くことで、読む人の印象は鮮明になる。

 誇張された文は文学作品の中でよく用いられる。これは、普通に描写するよりも読む人の印象が強く鮮明になるからで、人々の想像力を駆り立て、芸術的に感化する。 誇張は必ず真実を基礎とし、事物の本質を把握してそれを突出させなければならないが、現実の生活から離脱して、ひたすら奇怪さや荒唐無稽を追い求めてはならない。“大躍進”時期(1958年から数年間)の“民歌”は豊作の情景を描写する時、芸術的な誇張を低俗な大風呂敷に変質させてしまい、たいへん悪い影響をもたらした。

 魯迅は、誇張は“誠実”でなければならないとし、こう語った。
 “要確切地掲示事物或人物的姿態,也就是精神。”
(的確に事物や人物の姿形、つまり精神を取り出して見せなければならない。)[①] 
 そうしてこそ、私たちは誇張を使って文を磨き鍛える際に、“夸而有節,飾而不誣”(誇張しても節度があり、飾っても事実無根では無い)[②]ようにすることができるのである。

注①: 魯迅《漫談“漫画”》
注②: 劉勰《文心雕龍・夸飾》

 時には、文や文中のある成分を反復させることで、強調の目的を果たすことができる場合がある。

 一般的に言うと、文章を書く時は簡潔を追求し、重複を避けなければならない。しかし、一定の条件の元では、ある事物を強調突出させるため、その事物を重複して叙述し、ことばの表現効果を強める必要がある場合がある。例えば:
   (23) 已経聴得拉過回声。我派了人在那里看着,専等船靠了碼頭,
    就進報告。頂多再等五分鐘五分鐘

   (24) 她警覚地望望左右行人,放低了声音。“你是個共産党嗎?”
       “不是。”道静的声音更低了。她倒不是因為害怕,而是因為痛苦。
    “如果我能是個是個這様的人,我想,我会変成世界上最幸福、
    最快楽的人。可是,我不是……“
       “你会是的!”暁燕回過頭来厳粛地望着道静愁悶的臉色。
    “你会是的!我覚得你将来一定会是的

 上の例は何れも肯定の口ぶりを強調している。人々は話をする時、重点的なところは、相手が聞き洩らさないよう、たいてい反復して何度か話すことで、強調し、聞く者の印象を強める。

 強調の他、反復は人物のその時の情態を表すことができる。例えば、例(24)の“是個,是個”はこの人物が話をしている際の激昂する心情を表している。更に、別の例では:
   (25) 因為他喊的声音太大,吓得艾艾哆嗦suo了一下,一骨碌爬起来,
    瞪着眼問:“什麼事什麼事?”

・哆嗦 duo1suo 震える
・骨碌 gu1lu ごろりと転ぶ

   (26) 二諸葛一夜没有睡,一遍一遍念:“大怎麼還不回来
    大怎麼還不回来?”

 例(25)の反復は、艾艾が大声のため眠りを破られ、極度に緊張した様子を表す。例(26)の反復は、二諸葛が、小二黒が捕まった後、緊張してどきどきしている様子を表す。

 反復は音節を延長するので、長く続いて絶えない様子を表すことができる。例えば:
   (27) 他雖然和我們永別了,但是他永遠活着!他的事業,他的人品,
    他的詩句,永遠遠活在億万人的記憶中,永遠永遠

   (28) 殺敵勇士就這様拿起綉花針,変成了綉花姑娘。綉呵綉呵
    両条綉花手絹終于綉成了。

 このような文は深い感銘を与え、一語一語が人々に心の琴線に響く。

 この技法を更に拡大させて文章に活用し、文芸作品の中には、反復を利用して読者の印象を深め、人物の性格を描くのに使っているものがある。作者は人物を描く時、しばしば様々な工夫を凝らして最も人物の性格や気質を反映できることばを選択し、何度も反復させ、人物のイメージを鮮明に読者の眼前に出現させている。

 《祝福》の中で、魯迅は祥林嫂に何度も阿毛が狼に食べられた話をさせることにより、彼女が悲しみのあまり感覚が麻痺してしまっている様子や、彼女の心が受けた大きな傷を反映させている。
 《紅旗譜》の中の朱老忠にも、繰り返し“出水才見両腿泥”と言わせることで、中国農民の粘り強い戦いと、不撓不屈の英雄的な性格を表している。

 反復の中には必ずしも独立した言語成分が繰り返されるのではなく、ある語句が何度も出てくることで、強調作用がたいへん明確になっているものがある。例えば:
   (29) 黄河水入龍門,
       打浪飛,
       我将敵包囲,
       将敵粉砕。

   (30) 腰上纏的帕子,臂上纏的帯子,手槍上吊的墜子,大刀上挂的
    袱子,頭上戴的星帽子,前頭還拷得有血紅大旗,一身色,好不
    威風。

 反復の中には、文字の上では重複していないが、同義語を使用することで、意味の上の強調を表すのも、反復と見做すことができる。例えば:
   (31) 小桃蘭跳起来,用手指在臉上羞她:不害羞不臉紅,一个閨女家
    説些啥sha2?


【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年


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