中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

中国語の表現: 簡潔な文で如何に表現を豊かにするか

2010年12月10日 | 中国語

 今回のテーマは“簡練”jian3lian4。耳慣れないことばですが、文章が簡潔で、構造や言葉遣いがよくこなれていることを指します。
 如何に無駄なことばを省いて、文が冗長になるのを防ぐか。簡潔な表現の中で、如何に意志を伝えていくか。これは非常に大切なことだと思います。是非書いた文章は何度も読み返し、不用なことばはできるだけ省き、わかりやすい語句を使うことを励行してください。

                  三 簡練 (簡潔で練れていること)

 文の“錘煉”(鍛え磨く)というのは、簡潔な表現で豊かな内容であることを追い求めることを言う。“言簡意賅”yan2jian3yi4gai1(言葉は簡潔であるが意は尽くされている)を求めることである。
 
 魯迅は早くからこう言っていた。
 “写完后至少看両遍,竭jie2力将可有可無的字、句、段刪shan1去,毫不可惜。”
(文を書き終ったら少なくとも二回は読み返し、極力有っても無くてもよい字、文、段落を削除して、少しも惜しまない。)
(魯迅《答北斗雑誌社問》) 

 毛沢東は《反対党八股》の中で魯迅の話を引用し、こう指摘している。
  “我看重要的文章不妨看它十多遍,認真地加以刪改,然后発表。”
(私は重要な文章は何十遍読み返しても良いと思っている。真剣に添削し、それから発表する。)

 またこう言った。
  “句法有長到四五十個字一句,其中堆満了‘誰也不懂dong3的形容詞之類’。許多口口声声擁護魯迅的人們,却正是違背魯迅的啊!”
(一つの文が長いものは四五十字にも達し、しかもその中には誰にも理解できない形容詞の類が大量に使われている。多くの口々に魯迅の考えを擁護している人たちが、実は魯迅に背いているのだ。)

 彼は皆にこう要求した。
  “写得短些,写得精粹些。”
(文はできるだけ短く、練れて無駄がないようにするべきだ。)

 文が簡潔でよく練れて無駄がないようにするには、以下の四つのことができていなければならない。

(一) 冗長(冗贅rong3zhui4)にならないようにする

 文の冗長には以下の三つの情況がある。
1.語句の重複
   (1) 我們技術革新小組,在新廠長的幇助下,花了十五元買了一些器材,
    苦戦了四十天,我們小組終于制成了自動分揀包装机。

   (2) 這次下郷調査是向広大貧下中農学習的一個極好的机会。

 例(1)では“我們技術革新小組”と“我們小組”は重複している。後ろの“我們小組”を削除するべきである。例(2)は“個”と“一個”が重複しており、どちらか一方を削除すべきである。

2.意味の重複
   (3) 他満臉雅気,天真爛漫,手里在下棋,眼睛却朝四周 東張西望地看熱閙。
・東張西望 [成語]きょろきょろ見回す

   (4) 中秋節的夜晩,月亮分外的圓,分外的大,分外的明亮皎潔
・皎潔 jiao3jie2 (月が)白く光っているさま

 例(3)の“東張西望”には“朝四周”の意味が含まれている。“朝四周”は削除するべきである。例(4)では“明亮”と“皎潔”の意味が重複している。どちらか一方を削除すべきである。

3.余分な語句がある
   (5) 夜晩臨睡覚時,林紅脱下穿在身上的一件玫瑰色的毛背心逓給道静:
    小林,你身体很壊,把這件背心穿在身上吧。

   (6) 這些新農具経過有関部門技術鑑定后,大部分都在全省内進行推広。

 例(5)では、“穿在身上的一件”と後ろの“在身”は何れも削除することができる。例(6)の“進行”は削除することができる。

 語句が冗長になる原因は、主に以下の通りである。
 一、美辞麗句を並べ(“堆砌詞藻”dui1qi4ci2zao3)たがる。人によっては文を書く時にいつも同義語を並べ、意味の上の重複を作ってしまっている。

 二、ある種の語句を濫用し、文に既に述語があるのに、その上に“進行”、“発生”などの語句を追加し、文にくどい感じを与えてしまっている。

 三、文を書く時にすばやく書きあげ(“一揮而就”という成語がある)、書いた後にほとんどチェックをしないため、余計な語句が削除できていない。

 四、いくつかの語句の運用で習慣ができてしまい、“用手去拿東西”、“用眼去看他”、“用脚去踢球”という言い方をしがちである。しかし“拿東西”は当然“手”を用いるのは人々の共通の常識であるので、わざわざ“用手去拿東西”と言う必要はない。
 こうした用法は、成語で言う“習非成是”、つまり間違ったことが習慣となって、間違いとは認められなくなっている。しかし、厳格に言えば、冗長現象である。

 冗長を防ぐには、文を書く時、語句の使用、文の組み立てを周到に考えないといけない。文を書いた後は、魯迅の言うように“至少看両遍,竭jie2力将可有可無的字、句、段刪shan1去,毫不可惜。”とするべきである。

(二) 長い文を短く縮める (化長為短)

 冗長な語句では、しばしば“句法長到四五十個字一句”という状況が見られ、その中には形容語句の類の、中国語で言う“大肚子”(身重や大食感でお腹がふくらんでいること)な語句が大量に使われている。こうした“大肚子”な文は、主に修飾語が長すぎ、読むのに苦労するし、話しづらい。例えば:
   (7) 張小玲是我初中時期的,后来一塊儿在内蒙插隊,現在又在同一個
     工廠工作的同学

 この文の問題は“我初中時期的”と“同学”の間に二つの分句を長い修飾語として挿入してしまったことで、それをやめて、三つの短い分句に分けてしまうとわかりやすくなる。つまり:
      張小玲是我初中時期的同学,我們后来一塊儿在内蒙插隊,現在又在
    同一個工廠工作。
とすると、流れが自然になる。

 一方、適度に語句を重複させるのも、長い文を引き締める効果を持つ。例えば:

   (8) 我也許写得太簡単,我并没有充分写出我的感情,甚至在帝国主義的
    鉄蹄践踏着上海土地的時候甚至在英国“三道頭”命令我挙起双手等候
    検査的時候甚至在法国守兵声叱罵不許我走過兵営正門前的時候
    甚至在日本海軍路戦隊兵士封鎖虹口馬路禁止通行的時候甚至在英美
    水手喝酔酒在大街上擲酒瓶打人、侮辱婦女的時候甚至在日本侵略軍
    包囲租界進行大搜捕的時候甚至在美国吉普車在馬路中横衝直撞輾死
    行人、美国兵坐車不給銭打死三輪車夫的時候,我仍然充満信心地反復
    念着:上海,美麗的土地,我們的!

・三道頭 昔の上海の租界の外国人の警察の署長。制服の腕章に三本の横棒の印があったのでこう呼ばれた。

 これは二百字近い長文であるが、“甚至……的時候”という分句を繰り返し並列させる構造を取ることにより、散漫なようで実は全体が整っており、長いようで一つ一つの短い分句はリズムがあり、読んでみても決して苦痛ではない。

 また、提示成分を使って文が冗長になるのを防ぐことができる。例えば:
   (9) 那些拿起槍来献身革命斗争的工農子弟,那些用先進思想武装起来的
    戦士們,我感到他們是最可愛的人。

 例(9)では、二つの名詞性の詞組、“工農子弟”、“戦士們”を先に提示し、その後で代詞“他們”によってこれらに代えることにより、文の中心を突出させ、しかも文の構造が冗長になるのを防いでいる。

(三) 構造を凝縮する

 文の構造を凝縮するのは、文を簡潔にする良い方法である。ここでは主に分句や詞組の中の重複する語句を削除し、“連合詞組”を作って文に組み込む。これにより、文は簡潔で洗練され、明快で力強くなる。例えば:
   (10) 在把農村経験運用到城市中来的時候,必須考慮城市企業的特点,
    不応該也不可能照搬農村的具体做法。

 上の文で“不応該”、“不可能”を分けると二つの分句になる。(“不応該照搬農村的具体做法,也不可能照搬農村的具体做法。”)二つの分句にすると、読んでみた時にだらだらしてしまりがない感じがする。“不応該也不可能”という連合詞組にして文に組み込めば、文はまとまり、洗練され、簡潔で力強くなり、ことばの勢いを強める作用がある。

   (11) 但是文藝作品中反応出来的生活却可以而且応該比普通的実際生活
    更高,更強烈,更有集中性,更典型、更理想,因此就更帯普遍性。

   (12) 運動戦的特点之一,是其流動性,不但許可而且要求野戦軍的大踏歩
    的前進和后退。

   (13) 他没法,也不会,把自己的話有頭有尾的説給大家聴。

 このような文の様式では、関連語句がことばの勢いを強める機能をする。通常用いられる関連語句は、“也”、“和”、“或”、“而且”、“并且”、“不但……而且……”などで、連合詞組の中は、通常、並列、選択、受け渡しなどの関係になっている。

  このような文の様式は、五四運動による文藝近代化により、外国語の文の様式の有用なものが吸収され、先ず書面語の中で発展してきた。適切な形で連合詞組として採用され、表現の上では緻密さと周到さを得ることができ、言語的にも簡潔で洗練され、力強い。

(四) 文意を引き出す (“提煉句意”)

・提煉 ti2lian4 (化学的、物理的な方法を使って化合物や混合物から)取り出す。抽出する。

 文意を引き出し、強調する方法はたいへん多いが、ここでは主に二つを取り上げる。

1.反義構造を利用し、深い思想内容を表現する
 反義構造を利用し深い思想内容を表現するというのは、字面から見ると矛盾しており、相互に排斥し合うようであるが、細かく噛み砕いて味わってみると、実はつじつまが合い、合理的である。例えば:
   (14) 上級把一切早都規劃好咯。我們主動搬出大本営,誘敵深入。這様,
    一方面便于我們集中兵力在運動中各個殲滅敵人;一方面使面臨的戦場
    成為一個戦略鉗qian2制地,拖住敵人几十万机動兵力。是的,我軍退出
    大本営是為了保衛大本営

・殲滅 jian1mie4 殲滅する。全滅させる。
・鉗制 qian2zhi4 制圧する

   (15) 経過内心斗争,経過痛心的自我批評,林道静終于提起自己的行李,
    走出了那間給了她幸福又使她無限痛苦的公寓房間。

 以上の二つの例は、反義語より成る反義構造を使って複雑な思想内容を表している。この様式は、ことばは簡単であるが意を尽くしており([成語]言簡意賅yan2jian3yi4gai1)、深く考えさせられる([成語]発人深省fa1ren2shen1xing3)。例(14)の“退出”と“保衛”、例(15)の“幸福”と“痛苦”がそうで、何れも豊かな内容を表し、意味深長([成語]“耐人尋味”nai4ren2xun2wei4)である。

   (16) 深滬不是戦場也是戦場。几百年来,呻吟于虐政和沙魔之下的人民,
    満懐美好的想望,前仆后継,同人禍天災進行了勇猛頑強的搏斗。

・深滬 shen1hu4 福建省南部の泉州市の東南に位置する晋江市に属する人口5万人弱の町で、東南アジア華僑の主な出身地のひとつ。
・呻吟 shen1yin2 苦しみうめく。
・前仆后継 qian2pu1hou4ji4 [成語]前の者が倒れたら後の者が続いていく。先人の屍を乗り越えていく。
・人禍 ren2huo4 人為的な災害。人災。
・搏斗 bo2dou4 格闘する

   (17) 這些奇異的信其実并不奇異。它只不過記録了両個偶然相識的
    中国孩子絶非偶然的命運。

 上記の二つの例では、否定副詞により構成される反義構造を用いて、複雑な思想内容を表現している。

2.否定副詞を利用し思想の深化や躍進を反映する

 ここでは否定副詞を用いて既に述べた対象を否定し、その後、新たな表現対象を提起する。新たな表現対象は、先に述べた対象に比べ、意味の上で深化、躍進している。

   (18) 假若你看到我們的戦士,用自己的双手不,用自己的意志創造的
    “地下長城”,你才更加驚訝呢。
・驚訝 jing1ya2 事の意外さに驚く。

   (19) 在這“森林”的周囲,還疏疏落落地立着几株棕櫚。它們雖然是生長
    在盆里,年紀軽,叶子修長而柔嫩,但是亭亭玉立,清麗動人,一看到
    它們你就不禁要想起它們的故郷――南海之濱。不,你還似乎聴到
    那儿的浪涛声和随着這浪涛声音一起飄来的漁歌;……

・疏落 shu1luo4 まばらである。ちらほら
・亭亭 ting2ting2 (樹木が)まっすぐに伸びているさま
・玉立 yu4li4 姿が美しいたとえ/亭亭玉立:ほっそりとして美しい姿

 上の二つの例は、否定副詞を用いて二つの文、或いは文の中の二つの成分をつなぎ合わせ、意味が次第に深化するのを表したり、意味の躍進を表したりしている。このような表現方式は、文の長短にかかわらず、変化に富ませ、簡潔明快で、文章を活発で生き生きとさせる。

   (20) 我有好几天不,一個多月,不到他那儿去了。

   (21) 林道静不,路芳 ―― 我総叫不慣你這個新名字,所以惹了禍。

 前のことばが口をついて出た([成語]“脱口而出”)ので、後ろですぐさま訂正している。意味の深化や躍進は表わさないが、描写が生き生きと真に迫り([成語]“活霊活現”)、人物の表情や態度が目に浮かぶようである。


【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年


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