中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

修辞による文の推敲: 文につながりを持たせる(2)

2010年12月02日 | 中国語

 文につながりや一貫性を持たせる(“連貫”という)ための修辞技法として、前回は前後の文のつながりに注目しました。
 今回は続いて、文の組み立てをはっきりさせること、先ず列挙し、それを受け継ぐ論述方法、補足説明の挿入について、述べていきたいと思います。

(二) 文の組立てがはっきりしていること(“層次清楚”)

 文の組立て(階層)がはっきりしていることは、文の意味がつながる重要な要素である。文の組立てが妥当かどうかは、主に分句や語句の序列や配置が妥当かどうかということである。どの分句が先に来て、どの分句が後か;どの分句とどの分句を隣接させるかは、文の意味の表現と語気のつながりに影響する。ここでは、話劇《豹子湾戦斗》の中の対話の一節の元の原稿と修正された原稿との比較から、語句の配列の良し悪しの、文の組立て(階層)をはっきりさせることの重要性を見ていく。

   (8) 〔豹子的吼声継続伝来,突然従遠処伝从几声槍響。〕
   排長上。
     丁勇:怎麼回事?
     排長:我們到処点了火,豹子転移到七連去了。這是七連打豹子呢。

   (9) 〔豹子的吼声継続伝来,突然従遠処伝从几声槍響。〕
   排長上。
     丁勇:怎麼回事?
     排長:這是七連打豹子呢。我們到処点了火,豹子転移到七連去了。
        七連這一打,恐怕豹子要乱闖呢。

 例(8)は元の原稿で、“排長”は直接“丁勇”の問いに答えず、いきなり“点火”の状況を話し出したので、文がつながっていない。例(9)は修正後の原稿で、語句の順序を調整し、先ず“丁勇”の問いに答え、それに続いて七連で銃を発砲している原因を述べているので、文脈がつながり、文の組立てが明確である。

 時に修飾語や挿入句の配置が適当でないため、文のつながりに影響し、文の組立てが乱れることがある。

   (10) 雖然我們現在所学的一些専業課過去没有接触過,学起来比較吃力,
    但是只要下苦功,我相信,在老師的幇助下,是一定能够gou4学好的

 この転換複文(“雖然~但是”の構造の文)は多重複文である。転換複文の正句(“只要”以下の文)はまた条件複文である。この条件複文の偏句(“只要下苦功”)と正句(“是一定能够gou4学好的”)の距離が離れていて、中間に挿入されている成分(“我相信,在老師的幇助下”)が長い。この挿入成分を前に置いて、条件複文の偏句と正句を隣接させることで、文の構造がはっきりする。修正後の文は:

       雖然我們現在所学的一些専業課過去没有接触過,学起来比較吃力,  
    但是我相信,在老師的幇助下,只要下苦功,是一定能够gou4学好的

 もちろん、こうした状況は、分句と分句の間の順序の配置の上で現れるだけでなく、時には詞組の順序の配置の上でも現れる。例えば:

   (11) 来村里野営訓練的解放軍某部四連指戦員,剛放下背包,
    聴到大雨即将来臨的広播,就像躍出戦壕衝鋒的勇士一様
    不顧一天行軍的疲労,立即組成助民搶収隊,和社員們一起投入戦斗

・指戦員 zhi3zhan4yuan2 指揮官と戦闘員の総称
・戦壕 zhan4hao2 塹壕
・衝鋒 chong1feng1 突撃する
・搶収 qiang1shou1

 農作物を大急ぎで取り入れる “就像躍出戦壕衝鋒的勇士一様”は“指戦員”を“投入戦斗”する時の情景を表しているが、前に置いたことで、文の組立てが分かりにくくなってしまっている。次のように改めるべきである:

       来村里野営訓練的解放軍某部四連指戦員,剛放下背包,
    聴到大雨即将来臨的広播,不顧一天行軍的疲労,立即組成
    助民搶収隊,就像躍出戦壕衝鋒的勇士一様,和社員們一起投入戦斗。

 見たところ、文の構造がはっきりしているかどうかは、先ず自分の考えがはっきりしているかどうかにあり、また同時にことばでの表現が適当かどうかにある。ここで、茅盾の《白楊礼賛》の中の一節から分析してみよう:

   (12) 那是力争上遊的一種樹,筆直的幹,筆直的枝。它的幹通常是
   丈把高,像加過人工似的,一丈以内絶無旁枝。它所有的丫ya1枝一律
   向上,而且緊緊靠攏,也像加過人工似的,成為一束,絶不旁逸斜出。
   它的寛大的叶子也是片片向上,几乎没有斜生的,更不用説倒垂了。
   它的皮光滑而有銀色的暈圈,微微泛出淡青色。這是雖在北方風雪的
   圧迫下却保持着倔強挺立的一種樹。哪怕只有碗那様粗細,它却努力
   向上発展,高到丈許,両丈,参天聳立,不折不撓,対抗着西北風。

・白楊 “毛白楊”ともいう。モウハクヨウというポプラの一種。
・旁枝 pang2zhi1 横枝
・丫ya1枝 ふたまたになった枝
・靠攏 kao4long3 接近する。密集する
・倔強 jue2jiang4 強情である
・粗細 (細長いものの)太さ

 この段落は全部で七つの文から成る。第一の文に全段の中心となる意味が記されている。第二、三、四、五の四句は、幹、枝、叶、皮の四つから白楊樹の“筆直”(まっすぐに)、“力争上遊”(てっぺんを目指す)という外観が描写されている。第六、七の両句は白楊樹の外部の劣悪な環境と格闘するイメージを通じ、その戦闘的な容姿を表現している。先ず全体を提起し、後に個々の説明をしている。樹木本体から環境へ、外観の容姿から精神へ、組立てがはっきりしており、秩序立っている(“井井有条”)。

(三) 先ず列挙してそれを受け継ぐ(“列挙分承”)

 人々は同じような観念や事物を表現する時、先ず列挙し、その後それを受け継ぐという方法を採ることがある。話題が鎖のように密接につながり、一層ずつ深化し、受け継がれた各項目、列挙された各項目が互いに呼応する。こうした表現は文につながりを持たせ、文の構造が明確になり、文章が過不足なくがっちりと組みたてられる。

 通常は解説文などで見られる。例えば:
   (13) 我們青年応該実事求是的模範,又是具有遠見卓識的模範。
   因為只有実事求是,才能完成確定的任務;只有遠見卓識,才能不失
   前進的方向。

 このように筋道を立てて細かく分析する(“条分縷析”)ことで、道理の論述がより明確になる。

  作者によっては、わざと二つの矛盾対立する概念を持ち出し、この見たところ矛盾対立するように見える概念の存在の合理性を説明するため、しばしばこの前で挙げた語句を後ろで受け継ぐという方式を使って説明を加える。例えば:

   (14) 听了這些消息,李自成的心中有喜有憂喜的是,几年来在
   陝西各地同他們作戦的比較精鋭的官軍差不多全要調往北京勤王,
   今后活動起来就不再那麼困難了。憂的是,謡伝桂英已経死了,真的?
   假的?説是死在靠近河南辺界,按方向不是很対頭麼?

 あるものは叙述的である。叙述文では、語句を前後で受け継ぐだけでなく、意味の上で前の内容を受け継ぐことがある。これは意味の上でのつながりに着眼しているのである。後のいくつかの文はそれぞれ前の個別の文を受け継いでいる。多くが文の受け継ぎだが、語句を受け継いでいるものもある。

   (15) 大地
       江河
       須深埋
       勤灌漑
       総理英霊育新苗,
       久煉必成棟梁材。

   (16) 当天夜里,党支部忽然伝達中央関于和国民党政府進行
   和平談判的通知,人們思想上説什麼也転不過弯来,何况是毛主席
   要親自去重慶!当時心里像圧上一塊石頭,点着一把,又沈重
   焦急,通夜不能入睡。

 例(15)と例(16)は何れも重複して前から受け継いでいる語句は無く、意味の上で互いに関連があり、これは叙述文ではよく見られることである。例(15)で“深埋”は“土”を受け継ぎ、“灌漑”は“水”を受け継いでいる。例(16)では、“沈重”、“焦急”はそれぞれ“石頭”、“火”を受け継いでいる。文全体が一貫してつながり、秩序だっており、読んでみるとリズミカルで力強い。

  先ず列挙してそれを受け継ぐ形式はたいへん多い。あるものは段落や章、節の単位で受け継いでいる。例えば毛沢東《中国革命戦争的戦略問題》は最初に“戦争的規律”、“革命戦争的規律”、“中国革命戦争的規律”を研究しなければならないと提起し、以下でそれぞれこの三つの問題を受け継いで説明を加えている。あるものは文を何層にもわたって受け継いでいる。例えば蒋光慈の《莫斯科吟》では:

   (17) 莫斯科的雪花白,
       莫斯科的旗幟紅;
       旗幟如鮮艶濃酔的朝霞,
       雪花把莫斯科装成為水晶宮。
       我臥在朝霞中,
       我漫遊在水晶宮里,
       我要歌就高歌
       我要夢就長夢。

 ここでは鎖のように一句一句が連続し、詩歌のぐるぐると何度も繰り返す音楽美を形成している。

(四) 補足説明が適当であること(“挿説適当”)

 ここで言うのは、一つの完全な文を分解し、文を構成する以外の成分を挿入する表現方式である。例えば:

   (18) 虎姑娘一向,她暁得,不這様打扮。

   (19) 姑娘,你的手為労作磨得粗,
       你的両頬為風霜吹得憔悴,
       但你笑声却更其清脆,
       你的眼珠也更加英偉,
       你很配,姑娘,扯che3着大旗前進!

 このような表現方式はしばしば話の途中で使われる。時にはこれを用いて人物の心理状態を描写することもある。書面語でもこれを使って話者の動作や心理状態を反映させることがある。例えば、柳青《王家賦》では:

   (20) “同志,”我很不満意地説,“你太過分了吧?難道就没別的辧法
   解决這個問題嗎?要愛護牲口,也要愛護人啊!”

 この表現方式は見たところ語気を中断させているように見えるが、実際は人物の生き生きとした語調と心理状態まで表現することができ、文のつながりに影響を与えていない。

 しかし中には全く関係のないものを取って付けたように挿入している場合があり、それは文の流れの中で余計なものであるので、削除しなければならない。例えば:

   (21) 這天上午要進进好几項比賽,可是因為我在担任服務工作,要給
   運動員準備茶水什麼的,不能“擅離職守”呀,只看到了男子四百米接力賽
   和男子三千米決賽。
・擅離職守 shan4li2zhi2shou3 勝手に職場を離れる

   (22) 那時,我国受帝国主義的残酷圧迫,国内則是清朝的腐敗統治。
   中国人民為了尋求救国救民的出路,発動了戊戌政变、義和団運動
   和辛亥革命。許多同志都曾参加過辛亥革命。可是這些運動和革命,
   都没有什麼結果。

 例(21)の“不能‘擅離職守’呀”や例(22)の“許多同志都曾参加過辛亥革命”を削除するか、ここからはずして他の場所に置くことにより、これらの文は一つにつながり、文の流れがなめらかになる。


【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社 1995年


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