ほめられて草にまみれるいきものが今日もあたらしい息を吐く
てっぺんがあかるい(あれはなんという木ですか(あかるいね、てっぺんが
粛々とふるびるこころ持ち寄って木蓮がきれいに錆びている
ゆうぐれの水ならば敬いなさい 父さんの硯に海がある
そのようにくるしかったか練色のシフォンを脱いで白湯をのむひと
はつなつの風に縫い目をほどかれてひらたくなった ししむら しずか
そのひとがわたしを清くしてしまう夢の浅瀬ですこしだけ泣く
おおよそを撓めて川に触れたがる柳のことをかなしみましょう
あまい火が底をとろとろうながして生まれかわれるなら白粥に
どこへでも行ってきなさい何度でも帰っておいで 夏毛の獣