両肩によごれた雪を縋らせているのであなたは道なのでしょう
念入りな描写のなかで燃えている駅ですか、最終回ですか
火の甘さばかりを愛でるおとうとよいっそくまなく食べておしまい
くさはらに雨を降らせているもののちから、おびただしいそのちから
おたがいをこよなく漕いでわたしたちだんだんふるくなる、よわくなる
そしてとてもよいものになる 体から麦のにおいをたちのぼらせて
穀雨です どうしても濡れてゆきたいと言い張るひとの手足がわらう
ひどく黒い旋律をみちびきだして果てる あなたは水のオルガン
野遊びに誘いたかった踝をしゃくしゃく磨く春のひなたへ
塩壺に匙をうずめていましめる(声ばかり手繰ってはいけないよ)