創作日記&作品集

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連載小説「Q」17

2020-04-25 06:46:26 | 小説
連載小説「Q」17
順平は団塊の世代の一つ年上だ。
提灯の真ん中より一つだけ年長である。
だが、いつも競争をしていた気がする。
その上、一年浪人をしたから、もろに最も人数の多い年代に落下した。
その時は、長い人生でたった一年じゃないかと思った。
親も教師もそう言った。
だが、その一年は思った以上に重かった。
大学では年下の同級生が順平を呼び捨てにした。
クラブに入れば同い年の奴に使われる。
卓球部では学年が一年上の同い年の先輩が順平を奴隷扱いした。
先輩は早生まれだったから、実際には二歳年下だった。
就職してもそうだった。
一年早違えば先輩だ。
年功序列の社会での一年遅れは取り返せなかった。
一歩の足踏みが最後まで響いた。
順平を一瞬にして追い越し、薬局長になったのは、同期で公立大出の福井のHだった。
彼も一つ年下で早生まれだった。
連載小説「Q」#1-#10をまとめました。

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