夏目漱石「こころ」読書ノート4
「さきほど先生のいわれた、人間は誰でもいざという間際に悪人になるんだという意味ですね。あれはどういう意味ですか」
「意味といって、深い意味もありません。――つまり事実なんですよ。理窟(りくつ)じゃないんだ」
「事実で差支(さしつかえ)ありませんが、私の伺いたいのは、いざという間際という意味なんです。一体どんな場合を指すのですか」
先生は笑い出した。あたかも時機の過ぎた今、もう熱心に説明する張合(はりあい)がないといった風(ふう)に。
「金さ君。金を見ると、どんな君子でもすぐ悪人になるのさ」→夏目漱石「こころ」先生の遺書(二十九)
読書ノート4
先生の遺書(二十七)〜(二十九)は「人と金」がテーマになっています。
「金」という世俗的な事柄が文学と馴染まないという意見もあるでしょうが、漱石は重要なテーマにしています。
これは他の作品でも度々取り扱っています。
最後の先生の科白は説得力があります。
「金さ君。金を見ると、どんな君子でもすぐ悪人になるのさ」
「さきほど先生のいわれた、人間は誰でもいざという間際に悪人になるんだという意味ですね。あれはどういう意味ですか」
「意味といって、深い意味もありません。――つまり事実なんですよ。理窟(りくつ)じゃないんだ」
「事実で差支(さしつかえ)ありませんが、私の伺いたいのは、いざという間際という意味なんです。一体どんな場合を指すのですか」
先生は笑い出した。あたかも時機の過ぎた今、もう熱心に説明する張合(はりあい)がないといった風(ふう)に。
「金さ君。金を見ると、どんな君子でもすぐ悪人になるのさ」→夏目漱石「こころ」先生の遺書(二十九)
読書ノート4
先生の遺書(二十七)〜(二十九)は「人と金」がテーマになっています。
「金」という世俗的な事柄が文学と馴染まないという意見もあるでしょうが、漱石は重要なテーマにしています。
これは他の作品でも度々取り扱っています。
最後の先生の科白は説得力があります。
「金さ君。金を見ると、どんな君子でもすぐ悪人になるのさ」
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