「江戸の誘惑」肉筆浮世絵展で葛飾応為の「三曲合奏図」を観た。北斎の娘。北斎に「オーイ」と呼ばれるので画号にしたと言われる。三人の女が合奏している。琴を弾く女は後ろ姿である。三人三様の楽器を奏で服装も身分を表して三人とも異なる。楽曲や女たちの歌う声が聞こえてきそうな見事な構図である。「応為坦坦録」はお栄(葛飾応為)を描いた作品である。「三曲合奏図」に触発されて20年ぶりに読み返した。面白い。面白いというのにぴったりの作品である。作者は江戸ものといわれる作品を次々書いた。中でも「江戸役者異聞」には感服した。その他「映画化された「居酒屋ゆうれい」。三島由紀夫賞受賞「緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道」と続く。この作者について思い出すことが二つある。一つは多分二十歳そこそこだったろう。なぜか頭を丸刈りにしていた。雑誌のインタビュー記事だったと思う。「小説なんてもう書きませんよ。世の中には小説以外にも楽しいことがあるんですから」うろ覚えだがそんな意味のことを言っていた。だが、彼女は書き続ける。
もう一つは編集者に「こんなのを書いて下さい」と言われて、宿題を出され生徒のように書く。
とにかく書くものは向こうからやって来る。それを具体化するのは作家の本能のようなものだと思う。無名で40年近く書いてきても同じ。それを置き去りにして、楽しい事へと走れない。そのさがが無性に悲しい時もある。
もう一つは編集者に「こんなのを書いて下さい」と言われて、宿題を出され生徒のように書く。
とにかく書くものは向こうからやって来る。それを具体化するのは作家の本能のようなものだと思う。無名で40年近く書いてきても同じ。それを置き去りにして、楽しい事へと走れない。そのさがが無性に悲しい時もある。
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