傷
恐がりの私は滅多に怪我をしないのに、スライス器(正しくはなんて言うのだろう。キュウリをスライスしたり、山芋をすり下ろしたりする調理器具)で親指の先を切ってしまった。血が出て痛かった。テープを貼ると少しましになった。二日目テープを取るとまだ血が出た。痛みもある。四日目には直っていた。傷跡もなかった。私の傷を治したのは私の中にある命だと思う。生命の営みだと思う。私の中で無数の命が動いている。命が私をつくっている。私はうずくまり、私の中で起こっていることを感じようとする。目を閉じると、無数の命が見える。無数の命を感じる。生きているのが怖い。
恐がりの私は滅多に怪我をしないのに、スライス器(正しくはなんて言うのだろう。キュウリをスライスしたり、山芋をすり下ろしたりする調理器具)で親指の先を切ってしまった。血が出て痛かった。テープを貼ると少しましになった。二日目テープを取るとまだ血が出た。痛みもある。四日目には直っていた。傷跡もなかった。私の傷を治したのは私の中にある命だと思う。生命の営みだと思う。私の中で無数の命が動いている。命が私をつくっている。私はうずくまり、私の中で起こっていることを感じようとする。目を閉じると、無数の命が見える。無数の命を感じる。生きているのが怖い。