猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

「強力地中貫通弾」は通常型で―米政権が方針転換、核型は見送り

2006-01-31 01:39:05 | アメリカ
 対テロ戦争においてテロ組織の拠点を攻撃したり、ならず者国家などによる核開発の拠点や独裁者の居所を爆撃するに際しては、軍事技術革命(RMA)の成果の一つであるピンポイント攻撃が軍事的に有効であることは、アフガン戦争やイラク戦争で誰の目にも明らかである。イラクで大統領宮殿などの攻撃に用いられたバンカーバスターなどがとりわけ強力なものである。米国のブッシュ政権は、その破壊力をさらに高めて目標をより一層確実に破壊すべく、新型核「強力地中貫通型核」の開発を目指してきた。しかしながら、米国議会の反対で関連予算の計上が2年連続で阻まれたことにより、これを見送りその代わりに通常爆弾を用いた強力地中貫通弾の研究開発を実現する方向に転換した。
 なるほど、純軍事的に見れば核を用いたほうが効率がよいようにも思われる。しかし、対テロ戦争を遂行したり「ならずもの国家」を攻撃するに際しては、小型核を開発し使用することは両刃の剣である。すなわち、テロリストや独裁者にその技術が流出することにより核拡散を防止するというそもそもの戦争目的に反することになりかねない。したがって、今回の方針転換は、核技術拡散防止の観点から歓迎したい。また、核拡散の防止の目的ならば、できる限り通常兵器を用いる方が国際世論の支持を損なわないのは目に見えている。もちろん、国際世論の反発というコストを上回る軍事的利益を得られるならば開発するほうが理にかなっているということだが、そうではないということだろう。
 ここで、ちょっと憶測を述べてみると、米国は既に対テロ戦争後をにらんでいるのではないだろうか。小型核は対テロ戦争には有効だろうが、大国を抑止するにはあまり役に立たない代物である。対テロ戦争から対中国へと照準を合わせてきたことのあらわれであるように見える。


(参考記事)
[貫通弾、通常型で研究へ 米政権が方針転換]
 【ワシントン19日共同】米議会の反対で関連予算の計上が2年連続で阻まれた新型核「強力地中貫通型核」の研究をブッシュ政権が当面見送り、代替措置として通常爆弾を使った強力貫通弾の実現を目指す方針を決めたことが19日分かった。
 国防総省の助言機関「国防科学委員会」の委員長で、ラムズフェルド国防長官にも近いとされるシュナイダー氏が共同通信に「国防総省は核の選択肢を考える前に、まずは通常弾での研究を行うことを決めた」と言明した。
 ブッシュ政権は、当初目指していた新型核の研究が議会の承認を得にくいことから方針を転換し、通常型の貫通弾の研究を先行して進める必要があると判断したとみられる。
 来月議会に提出する2007会計年度(06年10月-07年9月)予算案でも同貫通型核関連予算は申請しない見通し。
(共同通信) - 1月19日17時39分更新


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