安倍内閣発足

　26日午後衆議院本会議において安倍晋三・自民党総裁が内閣総理大臣に指名され、安倍内閣が発足した。政策の近い人物を適材適所で配置した、奇を衒わない堅実な内閣ができたと思う。大いに期待が持てる。閣僚名簿は以下の通り。

安倍晋三(総理)
菅義偉(総務) | 長勢甚遠(法務) | 麻生太郎(外務) | 尾身幸次(財務)
冬柴鐵三(国土交通) | 若林正俊(環境) | 塩崎恭久(官房・拉致問題)
溝手顕正(国家公安・防災) | 久間章生(防衛)
伊吹文明(文部科学) | 柳澤伯夫(厚生労働) | 松岡利勝(農林水産)
甘利明(経済産業) | 山本有二(金融・再チャレンジ)
佐田玄一郎(規制改革・公務員制度改革・道州制)
高市早苗(沖縄・北方・イノベーション・少子化)
大田弘子(経済財政)

　また、安倍内閣の基本方針の要旨は次の通りである。

１．活力に満ちたオープンな経済社会の構築
再チャレンジ支援策を推進。地方応援プログラムを来年度から実施する。
２．財政再建と行政改革
自治体再建法制の整備を検討。社会保障や少子化に伴う負担増に対応し抜本的な税制改革を推進する。
３．健全で安心できる社会の実現
出産前後や乳幼児期の経済負担の軽減を含めた子育て家庭への総合支援を行う。
４．教育再生
教員免許の更新制や学校の外部評価を導入する。
５．主張する外交への転換
官邸の司令塔機能を、再編、強化。官邸がホワイトハウスと意思疎通できる枠組みを整備する。拉致問題対策本部を設置する。


　注目の麻生太郎外相は大方の予想通り留任した。彼の外交政策は正しい方向性を持っているので、継続されることになり安心である。だいたい、外相というポストは、外交の継続性の観点から目まぐるしく変化させるべきではない。外交・安全保障関係では、久間氏の防衛長官再登板も目を引く。彼は橋本内閣当時普天間基地返還問題で尽力した経験がある。このような重鎮を起用したことは、防衛問題への安倍内閣の取り組みの意欲の表れである。初閣議で「ホワイトハウスと常に意思疎通できる仕組みを整える」と決定したことは、日米同盟重視の姿勢を鮮明にしたものであり大いに賛成できる。また、柳沢伯夫氏の厚生労働大臣は、一見以外だが、社会保障に財政・金融の観点から取り組ませようということだと思われ、私には納得が行った。
　また、首相補佐官を5人体制に拡充したのも大きな特徴である。国家安全保障担当の小池百合子氏、拉致問題担当の中山恭子氏、教育再生担当の山谷えり子氏、いずれも安倍政権の重点課題を象徴する人事であり、閣僚との無駄な権限争いに陥ることなく有意義な働きをしてほしいと思う。
　さて、安倍内閣の閣僚人事に対するマスコミの報道を見ていると、率直に言って実につまらないものが多い。「論功行賞」であるとか「新味がない」とか、そういう批判ばかりである。そういう批判の仕方こそ、それこそ新味がない。論功行賞と言うけれども、政策と志をともにして支援してくれた人々を適切なポストに就けて何が悪いと言うのだ。小泉内閣の最後の内閣改造の時もかなり不評だったが、結果として大変仕事が進んだ。それをきちんと見て評価すればこそ、レームダックにならずに国民の支持率も最後まで高かったのである。マスコミは国民の意識についていっていないのではないかと思う。民主社会にとってマスコミはやはり重要な存在なのだからしっかりしていただきたい。

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