中国の政府系研究機関、中国社会科学院の日本研究所長を務めた国際問題研究家、何方氏が、中国の専門誌『社会科学論壇』(3月上期号)に、「歴史認識問題を両国関係の基礎にすべきではない」という趣旨の見解をインタビューに答える形で表明した。何氏の主張の要点は「歴史問題を国家関係の基礎とするのは非現実的で不適当である。歴史に決着をつけようとすれば、どんな国家と隣国の関係も大国同士の関係もうまくいかない」「日中関係の基礎を歴史問題での共通認識に置いても、実現は難しいだろう。歴史の決着を優先すれば、両国関係は絶え間ない悪循環に陥る。それは我が国の戦略的利益にかなうのか」という、極めて理にかなったものである。
何氏は、外務省弁公庁副主任、国務院国際問題研究センター副総幹事も務めた元政府幹部である。そういう人物が、歴史問題偏重の対日政策を批判したという点では注目される。しかし、中国のような独裁国家に関しては、誰の発言がどれだけ実際に政策決定に寄与しているかなどといったことは、素人目には全く判然としない。日本の報道では「中国国内で論議を招く可能性」といった論調がほとんどだが、それは言論の自由の保障された民主国家の国民の発想であって、中国に当てはまるのか疑問に思わないでもない。そういうわけで「中国にもそんなことを言う人がいるのだな」といった参考程度に読んでいただければと思ってご紹介している。
変化球というか観測気球を打ち上げて日本側の出方を見るつもりなのか、あるいは時々偶発的に政府の方針に反する見解が発表されるものなのか…。もし前者であれば、やはり、靖国参拝を中国の批判を撥ね付けて強行した効果があったといえるのかもしれない。いずれにしても「たとえ一つや二つの意見対立があっても、中国、韓国との関係は友好的に発展させていきたいと思っている」という小泉首相の言葉を大前提に日中関係を展開して行くべきである。
(参考記事)
[歴史、日中の基礎でない 中国研究者が異例の論評]
【北京29日共同】中国で1980年代に政府系研究機関、中国社会科学院の日本研究所長を務めた国際問題研究家、何方氏がこのほど、日中間で対立が続く「歴史認識問題」を両国関係の基礎にすべきではないとの見解を表明、異例の論評として注目されている。
小泉純一郎首相が靖国神社参拝を繰り返す中、中国政府は「歴史に対する正しい認識は日中関係の基礎」と強調しており、論評は中国国内で論議を招く可能性もある。
何氏が見解を示したのは、学術誌「社会科学論壇」3月上期号のインタビュー。日中関係について「歴史問題への認識を日中関係の基礎にすれば(関係改善は)極めて困難」と分析。「(歴史問題で)両国関係の悪化を招くことが中国の戦略的利益にかなうだろうか」と懸念を表明している。
(共同通信) - 3月29日7時42分更新
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何氏は、外務省弁公庁副主任、国務院国際問題研究センター副総幹事も務めた元政府幹部である。そういう人物が、歴史問題偏重の対日政策を批判したという点では注目される。しかし、中国のような独裁国家に関しては、誰の発言がどれだけ実際に政策決定に寄与しているかなどといったことは、素人目には全く判然としない。日本の報道では「中国国内で論議を招く可能性」といった論調がほとんどだが、それは言論の自由の保障された民主国家の国民の発想であって、中国に当てはまるのか疑問に思わないでもない。そういうわけで「中国にもそんなことを言う人がいるのだな」といった参考程度に読んでいただければと思ってご紹介している。
変化球というか観測気球を打ち上げて日本側の出方を見るつもりなのか、あるいは時々偶発的に政府の方針に反する見解が発表されるものなのか…。もし前者であれば、やはり、靖国参拝を中国の批判を撥ね付けて強行した効果があったといえるのかもしれない。いずれにしても「たとえ一つや二つの意見対立があっても、中国、韓国との関係は友好的に発展させていきたいと思っている」という小泉首相の言葉を大前提に日中関係を展開して行くべきである。
(参考記事)
[歴史、日中の基礎でない 中国研究者が異例の論評]
【北京29日共同】中国で1980年代に政府系研究機関、中国社会科学院の日本研究所長を務めた国際問題研究家、何方氏がこのほど、日中間で対立が続く「歴史認識問題」を両国関係の基礎にすべきではないとの見解を表明、異例の論評として注目されている。
小泉純一郎首相が靖国神社参拝を繰り返す中、中国政府は「歴史に対する正しい認識は日中関係の基礎」と強調しており、論評は中国国内で論議を招く可能性もある。
何氏が見解を示したのは、学術誌「社会科学論壇」3月上期号のインタビュー。日中関係について「歴史問題への認識を日中関係の基礎にすれば(関係改善は)極めて困難」と分析。「(歴史問題で)両国関係の悪化を招くことが中国の戦略的利益にかなうだろうか」と懸念を表明している。
(共同通信) - 3月29日7時42分更新
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ポイントは「検閲済み」ってことですね。だから、これを巡って「議論が起こるのは必至」という報道はちょっと違うのではないかと感じました。
派閥争いがどうなっているかは、冷戦期のソ連専門家みたいな専門家じゃないと正確なところはわからないんでしょうねぇ。
>PJさま
日本は実際に核武装するかどうかは別にして、それを示唆すること自体がカードになりますもんね。アメリカはその価値を分かっているから、時々「日本も核武装したらどうか」なんて有力者が言ってきますが、本心から実現してほしいと思っているかは疑問が残るところです。しかし、思考実験として、我が国が核武装することを米国が歓迎あるいは容認するような日米同盟の在り方について考えてみることは有益なことだと思います。
でも、新たなプロパガンダも用意しているらしいので、素直に喜べませんね。
胡政権と対日強硬路線の江沢民一派との間で対日政策を巡ってあれこれあるというところなんでしょうね。その意味ではご指摘された効果はあったのだろうと私も思います。