猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

皇室典範改正、自民部会は両論併記―皇室典範の位置づけを明確化せよ

2006-06-07 19:02:24 | 皇位継承問題・皇室
 さる2日に行われた自民党内閣部会の会合において、皇室典範改正に関して、男系継承維持と女系容認の両論を併記した「皇位継承制度の在り方に関する議論の中間的な整理」(素案)が提示された。両論併記の根拠は「(男系・女系両派の)意見の相違は、国家観や歴史観をめぐる考え方や皇位継承に関する国民意識のとらえ方などの相違を背景にしているものとみられ、合意形成は必ずしも容易ではない」ということだが、「部会では圧倒的に男系継承を望む声が多かった」という出席者の疑問の声も大きかったと一部では報じられている。しかし、女系容認の大きな流れは一旦おさまりを見せつつあるのではないかと感じる。そうならば、皇室の伝統を考えると慶賀すべきことである。
 私は、男系による皇位継承を維持すべしとの立場からたびたび意見を述べてきたが、考え方が以前とは一部異なってきた点などもあり、現在の考えをおおまかに記しておきたいと思う。
 まず、旧宮家の方々を皇籍に復帰させるに際しては特別法によるのがよいと考えていたけれども、現在の考えでは、そのような事態も含めて皇室典範に「安全弁」として内包させておくべきだと考える。やはり、特別法によるのと皇室典範自身によるのでは重みが違うし、想定しうる皇位継承の危機をきちんと想定して備えておくのが皇室典範の役割だからである。そこで、皇室典範を改正して、男系の皇族が絶えた場合または絶えることがほぼ明白である場合には、皇室会議の発議と国会の承認により男系の血筋を引く者で皇籍にない者の中から、適切な人数だけ皇籍に入れることができるように改正することを提唱したい。ただし、皇位継承権を有するのは「出生の時に皇族であったもの」という条件をつけるべきであろう。
 次に、皇室典範の位置づけは、他の法律の上位にある準憲法的性格を持つものとして、明確にすべきである。天皇が国家と国民の精神的統合の象徴であり、憲法上は立憲君主であることは、日本の国柄(すなわち国体)である。それゆえ、皇位継承に関する事項や皇族の身分に関する事項を定めた皇室典範は、憲法に準ずるものとして扱って当然である。よって改正手続を硬性化するべきであろう。皇室会議が改正を発議して国会がそれを承認する形にするのがベストである。皇室典範は国家の機関としての天皇及び皇族を規定する規範であると同時に、天皇家という私家(といっては少し語弊があるが)の家督相続の定めでもあるから、皇室会議がイニシアチブをとることは自然なことである。国会が関与することは立憲君主制の下での民主国家として当然のことである。憲法に準じる取り扱いをすべきだといったが、一方で、憲法改正のときのような国民投票は採用してはならない。君主の「直接選挙」になるとまではいえないにせよ、そうしてしまうことは、君主制の枠を外れることだと考えられる。この改正は、憲法改正により実現するのが筋である。現行憲法では「国会の議決した皇室典範」とあるので、その部分を改める必要がある。  最後に、女帝を容認するか否かについては、混乱を招くので男系女子であっても否定的立場をとることにしたいが、やむを得ない事情があるときは認めるしかない。例えば、今回提示している私案で、「出生の時に皇族であった男子」がまだ生まれていない場合である。そうならないように運用するのが筋ではあるが、万が一なってしまったら男系の未婚の女子が即位することは認めるべきである。ただし、女帝が婚姻した場合は、即位するにいたった「やむをえない事由」が消滅した(たとえば皇籍に復帰した宮家に男子が誕生した場合など)ときに、直ちに譲位するものとする。そして、本人と配偶者及び子は皇族の身分にとどまり、それ以降の子孫は皇籍を離脱する。これは、本人や配偶者あるいは子が前天皇やその家族として政治力を振るう事態を防ぐためで、現行の皇室典範で譲位が認められていないのと同じ理由である。
 久しぶりに皇位継承について考えをまとめてみた。以上が現在のところの私の考えである。自民党内の議論がどうなるかまだ分からないが、憲法論議と絡めて考えるのが筋であろうと思う。



(参考記事)
[典範改正 自民部会 両論併記に男系派異論]
 自民党内閣部会(木村勉会長)は2日の会合で、皇室典範改正に関して男系継承維持、女系容認の両論を併記した「皇位継承制度の在り方に関する議論の中間的な整理」(素案)を提示した。素案では「(男系・女系両派の)意見の相違は、国家観や歴史観をめぐる考え方や皇位継承に関する国民意識のとらえ方などの相違を背景にしているものとみられ、合意形成は必ずしも容易ではない」と指摘した。
 そのうえで、「(両派とも)現在の皇室典範に定める皇位継承制度の見直しが必要であると認めており、引き続き党内で検討を進める必要がある」と結論付けている。
 これに対し出席者からは「部会では圧倒的に男系継承を望む声が多かった」「(専門家のヒアリングでは)女系容認の人も『可能ならば男系が一番だ』と言っていたはず」と疑問の声が相次いだ。同部会は国会会期末までに再び会合を開き、正式に中間整理をまとめる。
(産経新聞) - 6月3日3時12分更新


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2 コメント

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もーもーもー大賛成! (PJ)
2006-06-08 13:25:16
両論併記は誰の顔を立てたんでしょう?

最終的に高峰さんの仰る案になればいいですね。

現在の皇室典範論議のあり方は、あまりにも皇室を無視しています。
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ありがとうございます (猫研究員。=高峰康修)
2006-06-09 01:40:12
PJさんに、大賛成されてとても嬉しい限りです!



両論併記が誰かの顔を立てるためだとしたら、あくまでも憶測ですが、総裁の可能性はあるかもしれません。



>現在の皇室典範論議のあり方は、あまりにも皇室を無視しています。



こういう状況を少しでも変えていくために、意見を発信し続けていかなければいけないと思いました。



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