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法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(5) - 役者を揃える

2023-12-03 19:44:35 | 会議設計
ここでは「日常業務にどう会議設計を活かすか」をお話していますが *****以下の文章は。以前ご紹介したコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

さて、1:1の会議の場合を除き、シナリオにはゴール達成の応援団となるべき登場人物(役者)がいるはずです。

例えば、営業の説明を補足してくれるエンジニアや予め仕込んでおいて「なるほど」と言ってくれる顧客側の役者。

打合せには受け身なものもありますが、自分が能動的に仕掛けた打ち合わせは、シナリオのある劇です。

先週も使ったお父さんの小遣い値上げの話に子供させて、

「お父さんがかわいそう」と言ってもらってはどうでしょう。

奥さんも軟化するかもしれません。

「子供を巻き込むな」と怒鳴られるかもしれませんが。

*********************************************************************************************************************************************************
「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。



シナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。

さて、ビル管理の事例について考えます。

この事例では、顧客から打診があった翌週に顧客V社と打ち合わせを行います。目的はRFPへの参加の可否決定に必要な当該案件の詳細情報の収集および参加する場合の戦略立案に必要な情報の収集です。

前々回の記事に書いたように、

Step2の打ち合わせで調査・確認しなければならないのは、
・案件の内容:最初のV社からの電話で、大まかには聞いているでしょうが、RFPの対象となる物件、業務範囲など案件の内容を確認
・スケジュール:RFPの資料の入手から提出、受注した場合の業務実施時期の確認
・RFPの条件:三社見積りか、競合はどこか

「もっと重要なこと」は、
・V社が現在のベンダーに満足しているか
・満足していないとしたらどんな点か
・満足している場合、ベンダーを変更させることができるか
といった点を確認することです。



さて、V社との打ち合わせでは、V社の担当者だけがいいのか、上司にも出ていただいた方がいいのか、どちらが詳細情報を聞き出せるか、営業の判断が求められます。
もちろん、こちら側も日ごろ接している営業だけがいいのか、上司や他の部署の人も出席すべきか、などゴールを達成するための「役者」を考える必要があります。

ちなみに、上記のような調査項目のうち「もっと重要なこと」についてメールで聞いても、回答してこないでしょう。証拠が残るようなことはしたくないからです。

新型コロナ騒動の中、面談は難しいかもしれません。最低でも電話会議を行い、ゴールを達成できるように「会議設計シート」を用いて準備しましょう。

次回は、「相手の期待を予想する」です。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(4) - シナリオを考える

2023-11-26 20:35:47 | 会議設計
ここでは日常業務にどう会議設計を活かすか、をお話していますが *****以下の文章はコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

先週の記事でゴール設定の一例として

・社内プレゼンで課長に提案を承認させる(最大のゴール)
・提案内容を課長に理解させ(理解していただき)、更なる検討の了解を得る(最小のゴール)

を上げましたが、このゴールを達成するための道筋を考えるプロセスが「シナリオ作成」です。

日常業務ではありませんが、分かりやすい事例として、これも先週あげた

・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、認めさせる。(最大のゴール)
・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、3千円は認めさせる。(最小のゴール)

について考えてみましょう。

唐突に「小遣い1万円上げてくれよ」と言っても、「馬鹿じゃないの。今朝の新聞見てないの。物価が上がってこっちだって大変なのよ・・・・・」と十倍返し。

やはりタイミングとストーリーが必要。じっくりシナリオを考えてみよう。例えば、

1.カミさんの得意料理が出たときに、「やっぱりこれ旨いな」とほめる。カミさん、にっこり。
2.「昼飯はコンビニ弁当ばかりだしな」というと「そうねコンビニ弁当ばかりだと体に良くないわ」とカミさん。
3.「せめて定食屋で食べれたらなぁ」とオレ。「定食屋だといくらぐらいかかるの」とカミさん・
4.「800円から1000円」とオレ。「コンビニ弁当とは大分違うね」とカミさん。
5.「小遣い少し上げてくれない?」とオレ。「少しっていくら」とカミさん。
6.「一万円」とオレ。「あなたに体を壊されたら困るかいいわ」とカミさん。

先週言った「給料が上がらないのに何故、小遣いを上げなければならないのか」の理由として健康問題を上げたが果たして・・・・6の通りに行くか。

7.6でカミさんが無言の場合は「三千円でもだめ?」と弱気なオレ。

やはり、「馬鹿じゃないの。今朝の新聞見てないの。物価が上がってこっちだって大変なのよ・・・・・」に戻りそう。

営業の値上げ交渉より難しそうですね。

いずれにしても大事な打ち合わや交渉の際は、あらかじめシナリオを考え、刺さる一言や質問を考えておくことが大切です。

小遣い値上げで刺さる一言があったら教えてください。

*********************************************
正月明けの一週間は結構、仕事の密度の濃い5日間になりました。

支援先に外資系企業が多いため、クリスマスの前あたりから顧客の反応がスローになり、年末は少し楽になりました。しかし、逆に年始、海外の企業は2日から始まっているので、メールも溜まっていますし、エンジン全開の人もいます。こちらも年始の挨拶もそこそこにほぼエンジン全開でした。

この三連休はありがたい。旧正月、早く来てくれ(アジア地域の会社が休みになるところが多いので)。

さて、会議設計に戻ります。

「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。

ここでは、客先に行く前の「事前打ち合わせのたたき台」として、営業の稲田さんにシナリオを考えてもらいます。



私:稲田さん、できるだけ具体的にお願いします。不足している情報や社内で検討すべき点も挙げてください。
稲田:場所は、品川電子開発部会議室、縦長に2列テーブルが並んだ会議室か、それともロの字に並んだ会議室か、先輩に確認する必要がありますね。プロジェクターは設置されていると思うが、これも確認し、使用許可をもらいます。
全体の流れは、名刺交換、仙川部長に口火を切ってもらって業界の話で場を和らげたところで、本題の歩留まり改善方法のプレゼン、デモ提案、デモ日程の検討・決定の順。最後に、競合他社の状況を確認。議事進行は齋藤課長。
私:山形事業所で先月起きたトラブルの件は、品川電子の方も気にされていると思います。この会議で状況を説明しますか。
稲田:1か月前に起きた山形事業所でのトラブルの件は、故障解析も終わり、対策を打ったことを説明する予定です。どのタイミングで言うべきか、言わざるべきか、事前打ち合わせで検討します。
私:御社からの出席者と席順は?
稲田:席順はプロジェクターに一番近いところが営業の稲田、そこから営業課長の齋藤、営業部長の仙川、プレゼンを行うアプリケーションの高井、そして装置を開発した課長の柴崎。
私:絶対に出席して欲しい品川電子の方はどなたですか?
稲田:品川電子に出席を依頼したのは歩留まり改善を急いでいる開発部渋谷部長、目黒課長、大崎主任。渋谷部長に決定権があるらしいので渋谷部長は必須です。
私:他には?
稲田:・・・・
私:デモを行うかどうかは渋谷部長が決めるようですが、デモはどのように行うのですか。
稲田:あ、そうだ、デモが決まった場合、サンプルが必要になるので生産技術部の出席が必要ですが、誰かきてくれるかな
私:誰か来てくれるかではなく、必要な人を出席させる。誰を?それが重要です。

稲田さん、課長に電話。即決させるためには生産技術部の原宿部長の出席が必須だということになりました。

私:競合情報を聞き出せそうな人はいますか?
稲田:購買の山田主任なら少し教えてくれると思います。会議には声をかけておいて、情報収集は席を変えての方がよさそうです。
私:では、会議設計シートに、今話した内容を記入してください。



まずまず埋まったようですね。事前打合せまでは、少し時間があるので、宿題も解決し、シートの内容も更に詳細なものになるでしょう。



まずシナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。前述の会話例では、曖昧な点もありますが、開発部部長、生産技術部部長の二人が必須出席者になります。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。
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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(3) - ゴールは二つ用意する!?

2023-11-19 21:44:27 | 会議設計
ここでは日常業務にどう会議設計を活かすか、を話していますが *****以下の文章はコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

先週の記事でゴール設定の一例として

・社内プレゼンで課長に提案を承認させる

を上げましたが、「承認させる」ことがでれば最高ですが、最低限でも達成したいゴールとして、

・提案内容を課長に理解させ(理解していただき)、更なる検討の了解を得る

といったゴールを設定してはどうでしょうか。

つまり、以下の記事でいうところの「最大のゴール」と「最小のゴール」の設定です。

日常生活でも、二つのゴール設定をすると生活が楽しくなります。

・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、認めさせる。(最大のゴール)
・カミさんに小遣い1万円値上げを申請し、3千円は認めさせる。(最小のゴール)

「給料が上がらないのに何故、小遣いを上げなければならないのか」と反論があり、最小のゴールも達成できず、
ということがないように、予想される質問・反論に備えることが大切です。

なんてね。

*********************************************************************
私は、営業支援の一環として、営業に同行し、顧客を訪問します。そして、営業支援の初期段階では、営業に以下のような質問します。

私:来週の訪問の目的は
営業:新製品のデモへの勧誘です
私:誰がキーパーソンですか
営業:開発部の渋谷部長のようです
私:他には
営業:生産技術部の原宿部長だと聞いています
私:担当者には、決定権はないでしょうけど、影響力はないのですか
営業:担当の大崎さんは細かい人で、皆から嫌われているようです
私:来週の会議に出てくるのは誰ですか
営業:大崎さんにお願いして関係者を呼ぶようにお願いしてあります
私:・・・・・・・・     
   
さて、入社3年目の営業の稲田さん、会議の目的は、「新製品のデモへの勧誘」と明確ですが、キーパーソンが誰かは少々自信なさそうです。また、キーパーソンと思われる渋谷部長や原宿部長が会議に出席してくれるかどうかも不明確です。キーパーソンの招集を皆から嫌われている担当者任せで良いのでしょうか。

結構、あいまいなまま会議を行おうとしている、これが営業現場の実情です。もっとしっかり会議の準備をし、必ず営業ステップを前へ進めるようにしましょう。

では本題に入ります。添付は会議設計シートの最初のページです。



会議を行う場合は、先ずゴールを明確にしましょう。ゴールは、「情報を集める」、「顧客と良好な関係を築く」といった抽象的な目標では不十分です。もちろん、情報収集や顧客との関係構築は重要ですが、これらはすべての会議の基礎部分であたりまえのことです。

『理詰めの営業』では、「次の営業ステップ」へ進めることがゴールになります。先程の会話の例ように、次の営業ステップがデモを行うことであるなら、「いつ、どのように、デモを行うかを決定する」がゴールとなります。

また、『理詰めの営業』では、会議設計シートにあるように、「最大のゴール」と「最小のゴール」を決めることにしており、前記の場合であれば「デモの日程・内容を決定」が「最大のゴール」であり、「デモを行うことは決定。日程・デモ内容については次の会議に持ち越し」が「最小のゴール」となります。つまり、最低でもここまで営業プロセスを進めることを「最小のゴール」とします。

今回の事例の営業ステップをもう一度見てみましょう。



ステップ2は、「顧客V社と打ち合わせ(案件内容・スケジュール把握)」で、そのための会議設計です。V社からお声がかかったので、ステップ3で「RFPに参加させていただきます」とV社に伝えれば、前へ進んでいくことは確実です。

ステップ2番の打ち合わせで調査・確認しなければならないのは、
・案件の内容:最初のV社からの電話で、大まかには聞いているでしょうが、RFPの対象となる物件、業務範囲など案件の内容を確認
・スケジュール:RFPの資料の入手から提出、受注した場合の業務実施時期の確認
・RFPの条件:三社見積りか、競合はどこか

入手したスケジュールに沿ってRFPに回答できるか、受注した場合に人的リソースも含め対応できるかといった点を検討しなければなりません。大手の会社であれば問題なくできることでも、中小企業ではリソースに限界があるため、信用を無くさないためにも十分検討すべきことです。特に、人手不足な昨今、無理な受注は自分の首を絞めることになります。

しかし、もっと重要なことは、
・V社が現在のベンダーに満足しているか
・満足していないとしたらどんな点か
・満足している場合、ベンダーを変更させることができるか
といった点を確認することです。

V社が現在のベンダーに満足しており、ベンダーを変更する予定も可能性もない場合、このRFPに参加する意味はあるのか、つまり当て馬として参加する意味はあるのか、判断が必要です。

当て馬として参加する場合でも、V社で管理すべき設備の内容が分かり次回のRFPまでの戦略が立てやすい、三社見積もりが必要なV社の担当者に恩を売ることができる、最終的に2次ベンダーとして入り込める可能性がある、などメリットも考えられます。

V社が現在のベンダーに満足していなければ、不満な点を明確にし対策を練ることで受注の可能性は高まります。

このように、このビル管理の事例の場合は、初回の打ち合わせでの調査が大変重要になります。

さて、できる営業は、会議のゴールを達成するまでのシナリオが頭の中にできています。次のステップは、そのシナリオ作成です。できるだけ、映画のようにイメージを頭の中に作っていきます。これにより問題点も見つけることができ、顧客からだけでなく自社からも出席してもらう必要がある役者も見えてきます。自分の案件で考えてみてください。
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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(2) - ゴールを設定し、実行する

2023-11-12 10:10:12 | 会議設計
*****以下の文章はコンプレックス営業を対象にした会議設計の記事です。

その中にNPO法人訪問時の事例があります。

日常業務に関しては、これが参考になるかもしれません。

いずれにしても、会議に出席する場合は、自分なりにゴールを設定してみましょう。

先ずは、気楽に、

・最低三回は質問する。
・自社としての意見を述べる。
・社内プレゼンで課長に提案を承認させる

など、会議の中で自分の意思を反映させる行動を取ってみましょう。

意外と会議後、気持ちがいいです・・・・・

<よっしゃー>

***************************************************************************************************
会議設計ツールの詳細を紹介する前に、会議設計の考え方をお話しします。

営業活動は「顧客の購買意思決定を支援・誘導して顧客の購買による問題解決を支援すること」です。各購買段階での顧客支援と誘導を戦略的に行い、営業ステップを進めるツールが『理詰めの営業』です。

『理詰めの営業』は、営業ステップ(営業プロセス)マネジメント・ツールです。「営業ステップを定義」し、「顧客基礎情報分析」、「問題・課題・ニーズ分析」、「関係顧客分析」、「競合分析」、「自社分析」の5つの分析ツールと「会議設計」ツールを使い、営業ステップを進め、顧客を自社に誘導する戦略・戦術を考えます。

特に、節目、節目で重要となるのが、顧客との会議です。会議こそ上記の戦略・戦術を実現する場です。この会議を有効に活用するためのツールが「会議設計」です。会議設計で検討するポイントおよび作業は以下のとおりです。

① ゴールの設定
② シナリオの作成
③ 必須出席者と理由
④ 出席者の期待の予測
⑤ 自社のポジション
⑥ ゴールを達成するために提示する情報と理由
⑦ 質問設計
⑧ 議題の設計
⑨ 最終シナリオ



ゴールは、次の営業ステップへ進むこと、あるいは、特定のボトルネックになっている課題や問題の解決などになります。

営業はそのゴールを達成するためにはどうすべきか、「会議のシナリオ」をゴールから逆算して考えます。

・サービス業の事例

私が所属するNPOが行っている「障がい者によるお墓掃除」の事業をある施設の責任者に依頼する事例です。

ある福祉施設の施設長さんから紹介を受け、別の施設(F園)の施設長さんに事業を紹介にいくことになりました。この活動の背景には、多くの福祉施設で、そこに通う障がい者(利用者様といいます)の工賃が極めて低く、それを向上させる必要があるという事情があります。工賃は、サラリーマンの月給と考えていただければよいです。利用者様は、施設でクッキー作りや組み立て作業などを行い、代価として工賃を貰いますが、全国平均で月に1万2千円程度。とても自立できる金額ではありません。

会議のゴールをF園施設長さんのこの墓掃除事業への参加の同意です。
そのためには、施設長さんに「よしウチも参加しよう」と言ってもらうための資料や質問の準備が必要です。
そのためには、具体的に利用者さん、一人当たりどれくらいの工賃向上になるか試算し説明
そのためには、墓掃除の料金体系案を説明
そのためには、墓掃除の作業方法を説明し、F園でも実施が容易であることを理解していただく
そのためには、工賃向上の重要性を認識していただく
そのためには、障がい者の自立の必要性を認識していただく
そのためには、F園の作業内容を理解し、共感を示す
そのためには、会議の前に作業現場を見学
・・・・・・

このようにゴールから逆算してシナリオを作ります。


・製造業(生産財)の事例

メーカー(生産財)の場合の事例です。例えば、ゴールが「製品Aのデモを実施すること」だとします。

そのためには、「意思決定者のMさんからデモ実施の同意を得る」
そのためには、「よし、デモして確認しよう」と顧客に言わせるための質問を準備
(質問については「質問設計」で詳述)
そのためには、「推定される生産量と歩留まりでの年間推定損失額の計算」
そのためには、「Mさんがもっとも心配している歩留まり改善の実現方法を説明」
そのためには、「Mさんに必ず出席してもらう」
そのためには、「Mさんに信頼されている部下のSさんから出席依頼」
そのためには、「・・・・・・・・・・・・・・・・」

といったように、ゴールから逆算して「シナリオ」を作ります。

また、シナリオができたら、会議の開始から終わりまでを頭の中でシュミレーションしてみます。たとえば、

「Mさんが入室。初めて訪問する事業部長と名刺交換。最近の業界のトピックスなどをネタに雰囲気を和らげる。議題の説明。歩留まり改善のプレゼン。デモの承認を得るための質問。承認。デモ実施の詳細検討。お礼。」

といったことを映画のように頭の中にイメージします。

それを社内の関係者を集めて検討し、当日の顧客の出席者、社内からの出席者、議題、会議での質問内容等も含めて決めます。

つまり、営業の作成したシナリオを皆で検討し、更に詳細で良いシナリオに仕上げていきます。

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会議設計 - 営業以外の日常業務に活かす(1) - 「成功した会議」とは

2023-11-04 23:08:29 | 会議設計
最近、会議が多くて疲れ気味。Outlookで確認してみると会議の回数は平均週20回。その内訳は、

・契約先A社との会議:1回
・A社のクライアントB社との会議: 7回
・B社のクライアントC社との会議:12回

何か分かりにくいかもしれませんが、発注元のC社、C社のある業務を受託したB社、その業務の一部を受託したA社、その業務をまるまる請け負っている「私」という構造。

私から見るとすべて顧客。B社からは社員にならないかというオファーもありましたが、今更、サラリーマンは面倒。

ご存知のとおり『理詰めの営業』の重要ツールの一つとして『会議設計』を開発しましたが、営業活動以外の日常業務の中の会議でも役立てています。

もちろん週20件もある会議のすべてに『会議設計』のツールを使って準備はできませんが、必ず2つのことを事前に準備して望んでいます。

① 会議のゴールを設定する
  例えば、週末の作業の承認を得る。発注の承認を得る。来年度の予算の承認を得る。問題解決方法とその実施の了承を得る。
② ゴール達成に必要な資料を準備する
  パワーポイントの資料や図面、手順書など必要に応じて準備。
  実は、私の場合は外資系の企業が相手で、出席者も外国人が多く、英語で説明する必要があるため英文の「セリフ」を用意しています。
  英語が極めて堪能であれば不要な部分もあります。
  しかし、大事な質問(『質問設計』)や「殺し文句」(表現が悪いですが)は、日本人相手でも準備しておく必要があります。

どれだけ用意周到にやるかは、もちろん会議の需要度によります。

「成功した会議」とは、ゴールが達成できた会議です。そのためにはシュートを打たないと・・・違うな。

*********以下の記事は、『理詰めの営業』のための記事ですが、来週からは日常業務で『会議設計』や『質問設計』を活かす方法を考えていきます。



*****************************************************************************************************************************
営業ステップを進めるためには、会議を有効に活用することが必要です。そのための準備として会議の設計を行います。『理詰めの営業』では、会議の成功・不成功を以下のように捉えています。

「成功した会議」と言える会議の例は、以下のとおりです。
① 具体的な課題が判明:
競争が激しい業界ほど、情報のリークを恐れ、自社の抱えている課題を簡単には教えてくれません。信頼関係を築き、それを教えてもらえたら営業的には大きな前進です。具体的な課題が分かって初めて具体的なソリューションの検討・提供が可能になります。
② 詳細な投資計画を入手:
上場企業であればある程度の投資計画は、各種メディアから入手できるかもしれません。しかし、具体的で詳細な投資計画となると難しい場合が多いものです。購買から見積り依頼が来てから競争に参加するのでは遅すぎます。投資計画をどこよりも早く知り、計画立案段階からインサイドサプライヤーとして顧客を支援することが重要なのです。
③ 競合情報の入手:
その投資に絡んでくる競争相手の情報です。スポーツの試合と同じで相手のチームの研究は必須です。相手が分かれば対応策も立てられます。既存顧客であればある程度予想はつきますが、全くの新規顧客の場合は、詳細な調査が必要です。

以上の例ように、「成功した会議」は、「必要な情報や貴重な情報を入手できた会議」です。

さらに、次のような会議も「成功した会議」と言えます。
④ デモに来ていただく
顧客の担当者や上司が、費用と時間を掛けてデモに来ることを会議で約束してくれれば、これは本気で購入を検討していることの証明になります。
⑤ デモ用のサンプルを提供していただく
デモ用のサンプル作成も顧客の費用と時間がかかることです。サンプルの提供も本気度の証明といえます。
⑥ 本社あるいは関係施設を訪問していただく
これも④と同じで、顧客の費用と時間を使うもので、前向きなシグナルと考えられます。
⑦ 更に上位の意志決定者と面会の約束
提案を担当者に説明し、納得していただき、更にその上司への紹介の約束を取り付けることができれば、これも一歩前進です。
⑧ 予算の追加
顧客の課題を解決するためには今の予算では不足、追加の予算が必要とお願いしたところ了承していただいた場合です。価格の安い会社に流れるのではなく、ソリューションの内容を評価していただいた結果です。
⑨ 購入の決定
営業プロセスの最後の方以外ではめったにないことですが、購入の決定を聴ければ最高です。

このように、「具体的な顧客の行動や出費を伴う結果が出た会議」は、成功したと言えます。
逆に、失敗した会議とは、「すばらしいプレゼン」「よさそうなサービス(あるいは製品)」などポジティブなコメントや「いつもアクションが早いね」等のお世辞はもらえたものの営業ステップが全く進んでいない場合が相当します。

小型の案件では、打ち合わせの場で受注あるいは不成立が明確になる場合が多いのですが、大型の案件の場合は、何回か打ち合わせを繰り返した結果、受注となるのが一般的です。このため、受注というゴールに向かう営業ステップを進めることができた会議は、成功した会議といえます。



「理詰めの営業」では、「次の営業ステップに進むことが確約できた」会議を成功した会議として、そのために会議を営業が能動的に、戦略的にプランします。
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営業研究に活用していたサイト「Sales Hacker」が再出発!

2023-08-06 16:43:33 | お知らせ
営業の研究に活用していた米国のサイト「Sales Hacker」が創業者のファンドに買収され再出発。

営業を科学するサイトは少ない。これからが更に楽しみに!

Hey nobuyuki,

It’s an exciting and bittersweet day. Sales Hacker has been acquired by GTMfund.

For those of you who don’t know, Sales Hacker was founded by Max Altschuler and GTMfund is his new company.

So what does this mean for you? We will be pouring more resources into building the best educational media company for all things sales and go-to-market.

We believe that Sales is no longer siloed.The past decade of technological and generational advancements have led to a new way to build, sell, and market. A connected way. An integrated way.

We have some truly massive initiatives in the works and we’ll be sharing articles, podcasts, newsletters, and videos on some of the most cutting-edge topics when it comes to generating revenue.

We’ll stay focused on producing super high quality content showcasing the on-going innovation industry-wide. You’ll receive less emails from us, but super detailed weekly newsletters with actionable content right inside of them.

Our network of GTM leaders is unparalleled and we are experimenting with proven playbooks across our 100+ portfolio companies daily. I’m excited to bring you the results and the play by plays so you can do it too.

The new site will go live on August 15th under GTMnow.com. In the meantime, check out our most recent GTMpodcast episodes HERE.

As part of the rebrand, The Sales Hacker newsletter will now be known as The GTM Newsletter so keep an eye out for the first one dropping into your inbox on launch day.

It’s been an amazing 10-year run for Sales Hacker. I’ve had some incredible memories running the business for 9 of those years both independently and as part of Outreach.

If you have a fond memory of Sales Hacker on how it’s helped you in your career, I’d love for you to post it on LinkedIn and tag me.

Looking forward to seeing you around GTMnow!


Max Altschuler

Sales Hacker powered by GTMfund, 18094 N 98th Way, Scottsdale, AZ 85255, United States

<営業研究は私のライフワーク>

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『理詰めの営業』- マーケティング3.0とコンプレックスセールス3.0

2023-07-09 09:04:17 | マーケティングと理詰めの営業
先週のブログで書いたように私はエンジニアからエンジニアとしてのバックグラウンドを活かせるプロダクト・マーケティングに転身し、その後、(実際には並行して)営業を行いました。

営業として「マーケティングから営業のやるべきこと」を学ぶことは大切です。この学びが『理詰めの営業』の一番の基礎となっています。

マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは、『マーケティング3.0』の中で、

・マーケティング1.0:製品中心のマーケティング
・マーケティング2.0:顧客中心のマーケティング
・マーケティング3.0:人間中心のマーケティング


という大きな流れを示しました。

これらに対応する営業を考えてみました。

マーケティング1.0「製品中心のマーケティング」は、日本の場合、高度成長期から半導体や自動車などのモノづくりで世界市場を席巻した1980年代までのマーケティングです。

これに対応する日本の営業は、営業1.0「根性・気力・気合の営業」でしょう。
「日本の営業」としたのは、海外の営業はもう少し洗練されていて、日本ほど体育会系ではないからです。
この体育会系営業で、日本を経済大国に押し上げました。時代にマッチしていたのです。

マーケティング2.0「顧客中心のマーケティング」は、バブル崩壊後の成熟市場でのマーケティングです。

顧客が何を欲しているか分からない、顧客自身も何を欲しているか分からない、そんな時代のマーケティングでした。
CRM(Customer Relationship Management)など顧客情報の活用が盛んに叫ばれました。
この時代の営業を、営業2.0「顧客情報活用営業」あるいは顧客のニーズに基づく「提案営業」または「ソリューション営業」と呼びます。

マーケティング3.0「人間中心のマーケティング」は、どうでしょうか。
マーケティング3.0は、顧客を単なる購買者としてではなく、マインドとハートと精神(スピリット)を備えた全人的な存在として捉えるべきだと主張しています。

顧客をマスあるいはセグメントで括るのではなく、個人個人のニーズをとらえるべくマーケティングするのが3.0です。
実際、インターネットを活用し、個人個人をターゲットにしたマーケティングツールは整えられつつあります。
例えば、アマゾンのお勧め機能などは、個人を対象にしたマーケティングの成功例といえます。AIはその精度を更に高めます。

コンプレックスセールスのBtoBの営業を考えた場合、案件の関係者、個々人の心理面にフォーカスすることが、「人間中心のマーケティング」に通じると考えます。
問題・課題が複雑化するにつれて、意思決定に関わる人が増えるため、営業は参加者個々の求めているものを理解し、参加者間の利害調整を行う必要があります。


次回からコンプレックスセールスの「マーケティングと営業」を深掘りしていきましょう。

営業に疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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Coffee Break:営業はいらない、あるいは、消えていく運命

2023-07-02 07:49:40 | 営業コラム
経営学の大家ピーター・ドラッカーは、

「マーケティングの目的は、売り込みの必要をなくすことだ。顧客をよく知り深く理解することにより、商品やサービスが顧客に最適なものになり、自然に売れるようになることが、マーケティングの目的である」

と語っています。

松下電器(現、パナソニック)の副社長で、松下寿電子産業の社長であった稲井隆義氏は「いいものを造れば営業はいらない」として松下寿に営業部隊をおきませんでした。

(余談ですが、稲井氏(故人)は、故松下幸之助氏の運転手を務めたこともあり、幸之助氏を支える大番頭の1人で、赤外線こたつの考案により、松下寿を発展させました。運転手を社長にする松下幸之助の人材育成・人材の選定がすごい!!)。

さて、はたして営業はいらない、あるいは、消えていく運命なのでしょうか。

マーケティング・ツールに置き換え可能なのでしょうか。

AIは営業職を消滅させるテクノロジーでしょうか。

私は顧客の誘導に戦略が必要なコンプレックスセールスの営業は生き残ると考えています。

また、経済的な価値がないものの営業、例えば、美術品なども営業力・戦略・戦術が必要であり、生き残ると思います。

しかし、そうでない営業は、すでに現実になっているように、ネットやマーケティング・ツールに取って変わられると予想します。

毎日の営業活動で体力・気力を消耗しているかとは思いますが、自分のいる業界、業種、製品・サービスに本当に営業が必要なのか、「隙間時間」に考えてみましょう。寝る前に考えると不安で寝られなくなるかもしれないので止めましょう。

<「2021年の気になるデータ」の一部。「C」のつく人とは、CEO、CFO、COO、CTOなどの肩書を持つ人のこと)>


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Coffee Break:何故、安易に値引きするのか。価格競争の土俵に乗らないで勝負するには。

2023-06-25 04:50:13 | 営業コラム
当たり前のことですが、企業の利益は、

利益=価格×販売数量-コスト

です。

この式から、営業の価格交渉での踏ん張りが、会社の利益に直結することがわかります。

コストに関しては、日本企業、特に、製造業は、JITや小集団活動、現場の努力で厳しく管理しています。

一方、価格はどうでしょうか。外資系の営業をしていた私からすると、日本企業は、随分「おおらか」、言葉を代えて言えば「軽視」していると感じます。

競合相手であった日本企業の値引き攻勢や、日本企業から転職してくる営業の価格に対する考え方からしばしばそう感じました。

確かに値下げをすれば顧客も喜び売りやすくなり、営業のストレスも軽減されます。しかし、そこを頑張るのが真の営業。

自分たちの持っている製品やサービスの付加価値を営業はどう考えているのでしょうか。そんなに安いものなのでしょうか。

私だったら5割高く売れるであろう卓越した競合日本企業の製品も多々ありました。

なぜ日本企業の営業は安易に価格競争に走るのでしょうか。それは、利益ではなくシェアを追求する日本企業だからです。

私はいつも価格競争の土俵に乗らないで勝負するにはどうしたらよいかを考えてきました。

それを考えるツールが、『理詰めの営業』です。

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Coffee Break:少々気になった、とあるホームページの議論「理詰めの提案」

2023-06-17 23:08:38 | 営業コラム
以下はとあるホームページの抜粋です。

「理詰めの提案」とはどのようなものなのでしょうか。同じ「理詰め」という言葉を使っているものとして気になりました。

私が開発した『理詰めの営業』は、顧客情報等を整理・分析して、営業プロセスを論理的に進め、受注を獲得する手法です。

関係顧客分析には、顧客との信頼関係の強度分析もあり、信頼関係の薄い顧客に関しては、どう良好な関係を構築するか検討します。

交渉がうまくいくかどうかは顧客との信頼関係が大事であることはいうまでもありません。それをどう構築するか戦略を考えることが必要なのです。

呑み会やゴルフで構築できる時代ではないのです。

<『理詰めの営業』体系図>


<「会議設計」体系図>


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交渉がうまくいくかどうかは「理詰め」ではなく「信頼」

効率重視の世の中です。費用効率、時間効率、生産効率……とにかく無駄を省いて結果に反映させることが求められています。しかし、ビジネスが人と人との間で成り立っている以上、効率の追求だけでは解決しないことも多く、もっと言えば効率重視が逆効果になることもあります。たとえば交渉事に効率を持ち込むと、相手の「イエス」を引き出すまでにかえって時間がかかるか、最悪は交渉決裂で終わることがあります。

交渉の目的を“白か黒か”だけで考える人は決着を急ぐ傾向にあるようです。結論は二者択一なのだから、あいまいな話し合いを重ねるより議論を交し合って着地点を目指すほうが合理的、という発想でしょう。若い営業マンによく見られるパターンだと思います。ところが、人や社会にもまれある程度経験を積むと、理屈だけで白黒を決めるやり方は交渉に向いていないと気づくようです。

「理詰めの提案」は一見もっともらしく思えますが、相手に納得してもらうには至りません。関係の薄い相手から聞く理屈は、反発の材料にはなっても説得の肥やしにはならないからです。これに気づかず理詰めの交渉を進め、“落ちない”落とし所を提案する営業マンはいつまでも堂々巡りの交渉を続けることになります。初めての交渉相手ならなおのこと、こちらがいくら有利な提案をしても本当に約束が守られるのか確信を持ってもらえないうちは、相手から「イエス」を引き出すのは難しいものです。
逆に気心が知れた間柄では、多くを説明しなくてもスムーズに交渉が進むことは経験的にご存知でしょう。交渉は必ずしも正論の理屈が良い結果に結びつくとは限りません。むしろ、信頼関係の大小が大きく影響します。交渉は決着を急がず、お互いを知ることに時間をかける。イソップ物語の「北風と太陽」ですね。
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Coffee Break:インターネット時代の営業、競争相手は顧客

2023-06-11 09:49:34 | 営業コラム
顧客がソリューションを探すとき、その道の専門家であるはずのサプライヤーにアドバイスを求めます。求められたサプライヤーの営業は、早い段階から顧客の課題解決に貢献することで優位に商談を進めることができます。すなわち、知識・経験の乏しい顧客に最初に情報を与える存在になることが重要なのです。

はたして今もそうでしょうか。

先日、私自身、顧問先からUPS(無停電電源装置)の選定・購入を頼まれました。UPSの基礎知識はありましたが、自分で購入するのは初めてでした。どうすれば適切な仕様の機種が選べるか、それは、あるメーカーのWebページに出ていました。そこには機種選定に必要な情報は何か、しっかり書かれていました。それらの情報を調査し、入力することにより、購入すべきUPSの容量(kVA)、UPSのタイプ、当該メーカーでの具体的なモデルが決まりました。

当該サプライヤーの機種の仕様をもとに、他のサプライヤーのWebページを調べて、類似の機種を選び、複数のサプライヤーのWebページから一斉に見積り依頼をかけ、見積りを入手し、仕様と価格の比較表を作成しました。

これらの情報の他にサービスサポート体制、ネット上での評判などを調査・評価し、3社に絞り込んで、営業に電話しました。結果、購入に当たって的確なアドバイスをくれたサプライヤーに発注することにしました。

これは私が経験したコンプレックスセールスではない簡単な案件事例ですが、今日、かなり複雑な課題や問題でも顧客は豊富な情報を持っています。

顧客がサプライヤーに問い合わせる時点ですでに、解決すべき問題が整理され、利用可能なソリューションや妥当な価格範囲を顧客自身が認識しています。

インターネット時代の営業は、豊富な情報を持つ顧客の課題・問題に関して、卓越した洞察力で、顧客に挑戦し、画期的なソリューションを提案するような、独創的で適応力のある営業にならなければありません。今や、営業の敵は、競合会社の営業ではなく、顧客の情報収集能力や学習能力です。これらの顧客の能力と競争するためには、教える能力、すなわち顧客以上の見識を持ち、顧客が見落としていた新たな重要情報を提示できる能力が求められます。

先ほどのUPSの事例では、3社中1社の営業が、私が検討していなかったUPSを組み込む先のラックの仕様について貴重なアドバイスをくれました。あやうく大失敗するところでした。もちろんそちらに発注しました。見積金額はもっとも高額でしたが。

他の2社はどうであったか?Webページに出ている本社の営業に電話すると「代理店に電話して」との冷たい対応、営業窓口とは思えない対応でした。Webページには10社以上の代理店があり、どこも私の顧問先とは取引関係なし。都内の代理店に電話してみましたが、「見積書を作るだけ」で技術的な質問には答えられないとのこと。

どちらも日本を代表する電気メーカーだっただけに残念。

Web Siteを作っておけば大丈夫と思っているのでは。これでは大企業といえどもいずれ衰退しますね。



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Coffee Break:ちょっと言い方を変えるだけで、営業のやる気が出る!!

2023-06-04 10:34:45 | 営業コラム
昔の東洋経済オンラインの記事『なぜリクルートの人は卒業後活躍できるのか「どこでも通用する人」に変わる3つの口ぐせ』(高橋 厚人 :リクルート85年入社同期会代表幹事)から。

リクルートではなぜ、普通の若者たちが、「どこでも通用する人材」へと成長できるのか。その秘密が、リクルートの社内を飛び交う数多くの「口ぐせ」にあり、社内を飛び交う口ぐせの一つひとつに、ビジネスパーソンとして成長するための「学び」が隠されているのだそうです。

紹介されていた3つの口ぐせの一つが、部下を持つ営業マネージャーに役立つと思い掲載。

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ツライ目標を確実に達成するための口ぐせ

リクルートは、目標を達成することに非常に強いこだわりがある会社です。目標とは「できたらいいよね」という願望ではなく、なんとしてでも成し遂げなければならないものでした。そこで、苦しい目標を確実に達成するために、リクルートでは「ある工夫」をしていました。それは、つねに「あと1歩」の状況をつくり出すことです。

たとえば、ある営業チームが月間の売り上げ目標金額を500万円に設定したとします。一般的には、「500万円を達成しよう!」を合い言葉に1カ月間頑張ると思うのですが、リクルートでは違いました。

2週間を過ぎて200万円を売り上げたとしたら「あと2週間で200万円!」、3週間を過ぎて300万円を売り上げたら「あと1週間で100万円!」というように、チームで共有する目標を必ず「残数字」で追いかけていたのです

「目標金額を目指す」という行為自体は変わらないのですが、人間の心理として、追いかける数字が固定されているよりも、少しずつ減っていったほうが、「目標達成まで、あと1歩! もうひとふんばり頑張ってみよう!」という気持ちに自然となれるものです。ささいなことのようですが、期限が迫り、苦しい状況に置かれているときこそ、「あと1歩」という言葉が大きな力になります。

目標達成できる人とできない人というのは、能力に差があるのではなく、「あと1歩」を乗り越えることに対するこだわりに差があるとリクルートでは考えられていました。リクルート出身者には、“粘り強い人材”が多いとよく言われますが、「あと1歩」の状況を自分で作りだして、高いハードルをうまく乗り越えている人が多いのかもしれません
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ちょっとした発想の転換ですが、「なるほど」ですね。



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Coffee Break:アンチに対する対応

2023-05-27 15:43:56 | 営業コラム
顧客の中には、貴社の製品あるいはサービスを絶対買いたくないと主張している、いわゆる、アンチxxxがいる場合があります。

例えば私がいたIBMに対するアンチIBM。あるいはKLAに対するアンチKLA。

アンチxxxがいると周りに同調者がでてきるので、早急にマインドを変えていただく必要があります。

何故、アンチxxxなのでしょうか。

その理由をとことん突き詰めていくことが必要です。

例えば、貴社の製品の故障が原因で忙しい思いをしたのであれば、まずは正攻法で「その後の品質改善の成果」などをしっかり説明する必要があります。

貴社が嫌いなのではなく、貴社を推薦している同僚が嫌いなので、アンチの態度を取っていることもあります。

つまり顧客内に人間関係です。

それを整理するのが、『理詰めの営業』の「関係顧客分析」です。





「関係顧客分析」の個人の目標をかなえる、達成するお手伝いをすることもソリューションの一つです。

個人的な目標が「出世」と切に願っている人に対してはどう対応すればよいでしょうか。

Be Creative!しっかり考えてみてください。

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Coffee Break : グローバルな営業が陥る罠(わな)

2023-05-20 21:35:19 | 営業コラム
Aさんから「さいとうさん、今、山田さんからメールが来たけどこれ分かる?」とチャットあり。Aさんは来たメールにすぐに回答しないと落ち着かない性質(たち)なのだそうです。Outlookをオンにしておくとメールが来るたびにディスプレの右下にメール到着が数秒表示されます。Aさん、それにすぐ反応するようです。

朝、出社して最初にチェックするのは、メール。いやもっとすごい人は、朝、トイレの中、携帯でメールをチェック。通勤の電車の中でチェック。仕事中は勿論ですが、帰宅後も夕食後にチェック、寝る前にワインを飲みながらチェック、と寝るまでメールのチェックを行い続ける人もいます。

(常識のある人は)電話であれば帰宅後の時間、ましてや寝ているかもしれない時間にかけることありません。しかし、メールは時間を選びません。書く人の都合でいつでも送信できます。すぐに回答をしてくれるとは期待していなくても、すぐに回答が来れば仕事がはかどりますし、書く方はメールを出したことにより仕事の区切りがつきます。場合によっては、それが達成感になります。また、すぐに回答した人の信頼度と評価は上がります。「やっぱりアイツはいい」と。

グローバル企業では、日本の勤務時間が終わっても、東南アジアの社員が働いており、続いて、中近東、ヨーロッパや米国の社員が働き始めます。そしてまた日本の朝がやってきます。例えば、一つのソフトウェアの開発をグローバルにチームを組んで行えば、24時間休みなく開発が続けられます。これが、グローバル企業の強みと昔聞きました。

インターネットが普及し、会社はもちろん、出張先のホテルなど、どこでも使用できるようになりました。もちろん、自宅でも。我が家も2002年にはLANを引いていました。

さらに、スマホの普及によりメールやWeb会議、PowerPointなどの資料の閲覧が容易になり、パソコンがなくても会社の情報にいつでもどこでもアクセスできるようになりました。

まさに、いつでも、どこでも、24時間常時接続です。この状態に人間の方が慣らされてしまい、メールに常に反応する人間、すなわち、「常時接続人間」になっています。冒頭のAさんもその予備軍でしょう。

メールによりコミュニケーションの速さが増し、情報量も増えました。頻繁にメールをチェックし、回答。それが、社内や顧客から評価されます。逆になんらかの原因でメールがチェックできないと不安になり強いストレスを感じてしまう、そういう「常時接続人間」になってしまうのはいかがなものでしょうか。特に、グローバルビジネスに携わっていると、この罠に陥る可能性が高くなります。

「常時接続人間」になると、長時間集中して物事に取り組めなくなります。例えば、スキルアップのための勉強。次のステップを目指してやらなければならないことを実行できず、会社のために消耗してしまう、気が付いた時には「終わっています」。

そうならないためには、

「ご近所の評判」的な評価は気にせずに、長期的な視点から自分の人生を設計し、それに向かって邁進することです。


<伝送人間、ガス人間、液体人間そして「常時接続人間」 ちょっと遊びすぎかな>
  

メールチェックに疲れたら武蔵野散歩(『武蔵野』リイド社、斎藤潤一郎著)>
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Coffee Break:値上げの要求はのんでもらい、値下げの要求はのまない!

2023-05-14 09:55:13 | 営業コラム
顧客から値下げ要求があった場合、どう対応すればよいでしょうか。

「理詰めの営業」の理論で言えば、販売しようとしている製品やサービスの付加価値に見合った合理的な価格であれば値下げの必要なしということになります。 

「理詰めの営業」の競合分析のシートにはROIの項目があり、投資が回収できることも数字で証明しています。

とはいえ装置やサービスを正しく評価できない購入側の能力の問題もあります。あるいは、予め XX % 下げてくれと言ってくる企業もあります。また、高額商品は社長決裁で、それまでに4回値下げしなければならないといったルールの企業もあります(5回目は社長が直接交渉)。

当たり前ですが、値下げがMUSTの会社では、予め価格を高く見積もり、値下げをします。こういう会社は価格交渉のプロセスが形骸化していて実際の値下げ圧力は強くないのです。つまり、乾いた雑巾を絞るような厳しさはないのです。楽な会社。

では、そうでない会社はどうするか。「理詰めの営業」でしっかり顧客を分析し、戦略を立ててアプローチをします。価格交渉の際も「理詰めの営業」の会議設計シートで戦略を立てて値下げ要求に屈しない質問も設計します。

しかし、それでも何かしらのアクションが必要とされる場合はどうしましょうか。

例えばこのような対応はいかがでしょうか。

価格は下げずに、

・無償保証期間を延ばす。
・ユーティリティソフトを追加する。
などです。製品やサービスによって様々な方法がありますね。

更に、どうしても価格を下げなければならない事態になった場合は、

・1年以内にもう一台購入することのコミットを得る
・支払条件をよりよいものに変更してもらい
・保守契約に入ってもらう

など、何らかの条件をつけるべきでしょう。それなしで下げたのでは「最初から下げろよ」ということになりますね。

要するに「簡単に値下げするな、もっと知恵を使え」ということです。

Be Creative!

営業には繰り返し同じことを言っています。


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