石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

無縁死3万2千人という衝撃!

2010-05-03 23:26:09 | 雑記
無縁社会」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

私が初めてその言葉に接したのは、割と最近のことだったと思います。今年の3月初め頃、NHKが放映した「無縁社会」という番組のことを知り、「ぜひ観てみたい」と興味を惹かれたのが最初でした。その後、週刊ダイヤモンドの4月3日号でも「無縁社会~おひとりさまの行く末」という特集が組まれましたが、その内容も十分に衝撃的な内容で、ますますこの問題に対する関心が深まりました。

そして、昨日ようやく、先日再放送された時に録画してあったこの番組を観ることができたので、その感想を書いてみます。

番組に描かれた「無縁社会」は、まさに現代の日本社会を象徴していて、決して「他人事でない」、誰にでも起こり得ることだと感じました。と同時に、無縁死(亡くなっても、誰も弔ってくれない)を迎える人が今や年間3万2千人を数える社会とは、「なんて恐い社会なんだろう」とも・・・。

アパートの自室でひっそりと亡くなっているところを発見をされたお年寄りが、名前も身元も分からずに「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」とされてしまった話(結局、よくよく調べると名前や出身地が判明するのですが)などは、「恐ろしい」と言うしか表現のしようがなかったのです。

無縁化は、血縁(家族)とか、地縁(近所・地域コミュニティー)、社縁(会社・職場)といった、これまで私たちに大切な「つながり」を提供してくれていた伝統的な「縁」が薄れていくことで進行しています。NHKの番組やダイヤモンドの特集を総合すると、無縁化の要因をいくつか挙げることができます:

(1)核家族化の進行(1980年代に7割だった高齢者との同居率は、今や4割台)
(2)都心への人口集中(地方の過疎化)と近所付き合い&田舎との交流の希薄化
(3)晩婚化・非婚化・少子化の進行(家族、子どもを持たない人の増加)
(4)リストラや非正規雇用の増大(会社・同僚というつながりの喪失、貧困化)
(5)生活スタイルの多様化(他人との交流の希薄化)

などでしょうか。

そして、この中でも一番の問題は、やはり非婚化・少子化ではないかと思います。私たちが最後に頼るのは、やはり自分の家族だろうと思うのですが、非婚化や少子化によって、そういう最も大切な「縁」を提供してくれる家族(配偶者や子ども)をそもそも持たない人が増加しているわけです。国立社会保障・人口問題研究所は、2030年の生涯未婚者は女性で4人に一人、男性で3人に一人だと予測し、2025年には1,824万世帯が単身者世帯になると推計していますが、このまま行けば今後ますます無縁化が進み、無縁死が増加していくことになります。

また、「無縁社会」というのは高齢者だけの問題ではありません。若年層に広がる雇用の不安定化(フリーター問題など)、その結果として起こっているネットカフェ難民やホームレス化などは、まさに若年層にも無縁社会が広がっていることを表しています。そして、いわゆる「パラサイト・シングル(=学卒後もなお親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者のこと)」の増加も、親との別離がそのまま無縁化につながってしまうケースの増加を意味しているんですね。

このような幅広いレベルでの「無縁化」の進行に対して「国や行政、そして私たちは何をすべきか?」という疑問が投げかけられています。また、週刊ダイヤモンドの記事では:

    • 「シェア住宅」や「コレクティブハウス」
    • 地域の「孤独死ゼロプロジェクト」や「高齢者見守り支援ネットワーク」
    • 「ITの活用によるつながりの確保」

など、すでに実際に行われているいくつかの取り組み事例が紹介されています。ポイントは、私たちみんなが、社会の中における「無縁化」が他人事ではなく、私たちみんなに影響する問題なんだと認識すること、そして、いかにしてこれ以上の「無縁化」を抑えて、社会の中に「つながり」をつくっていくかを考えることでしょう。

最後に、ダイヤモンドの特集で指摘されていた介護保険制度の問題点も気になったので、ちょっと触れておきたいと思います。介護保険制度の導入によって「公的な高齢者向けの福祉施策は縮小し、介護保険が優先され、保険制度に集約されてきている」(明治学院大・河合教授)というのです。つまり、介護保険の保障対象の外側にある問題を抱えている高齢者が置き去りにされている、と。これこそまさに、公の責任として、介護保険制度の改善などによる対応を図っていくべき課題でしょう。

社会の中で「つながり」や「ささえあい」を提供していくれていた伝統的な「縁」が薄れたとき、政治の役割はその代わりの「縁」を社会の中でしっかりと育てていくことだと思います。私も引き続き、政治が何を為すべきかをしっかりと考え、提案して行きます。