石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

勉強どころではない大学生!?

2010-04-10 22:24:28 | 雑記
私が島根の親元を離れて、東京の私立大学へ入学したのは今から26年前の1984年のことでした。私の覚えている限り、入学当初の仕送り額は8万円ちょうど。下宿は風呂なし・トイレ共同の4畳半で、家賃が月2万2千円でした。それに、電気、ガス、水道、電話代、通学費、銭湯代、コインランドリー代などを加えると、残りは3万円あるかないか位だったと思います。ノート、文具や本などを買った月は本当に苦しくて、食費を削って何とかしのいでいたのを良く覚えています。

そんな昔のことを久しぶりに思い出したのも、先週、こんな新聞記事が目に留まったからでした:

 「『勉強は・・・』私大下宿生の生活費1日1,123円」
   http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100407-OYT1T01160.htm
 (yomiuri online 2010.04.07)

この記事が紹介しているのは、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果です。昨年の5~6月、首都圏でアンケート方式で行われたこの調査によれば、首都圏の私立大学に入学している下宿生への親からの仕送りは、月額93,000円だったそうです。これは、ピークだった1994年度の125,000円から比べると32,000円(約25%)ものマイナスになります。

その結果、首都圏の私立大に昨春入学した下宿生の1日の生活費はおよそ1,123円。これは、調査を始めた1986年度以降で最低だったとのこと。家賃を引いた生活費が月額33,700円だということは、家賃部分がかなりの金額になる訳ですが、これは多分、昔より家賃が高くなっているというよりは、今時は「風呂なし・トイレ共同で四畳半」なんていう物件が無いのか、あっても住む学生が少なくなっているということなのでしょうね。

それにしても、1日に使える額が1,123円で、この中から光熱費や電話代も捻出しているとすれば「アルバイトをしないと食べていくことができず、勉強どころではない学生が増えている」というのも納得できる話です。私も結局、パンの耳や袋麺の丸かじりではない「普通の食事」をするために、1年生の夏休みが始まると同時にアルバイトを始めて、結局それが卒業まで続きました。

さて、今回の調査は、私たちにいくつかの問題提起をしてくれています:

  • 仕送り額が減っているのは、親の世帯収入が減っているためで、家計の教育負担がさらに過大になってしまっている;
  • その一方で、大学の授業料や負担金等が増えていて、生活費に回せる額がさらに少なくなっている;
  • このような状況下で、自宅生と下宿生の間の格差(=勉強に取り組むための物理的・精神的余裕、勉強に費やせる時間的余裕、など)がどんどん広がっている;
  • せっかく大学に入っても、(経済的な理由から)実質的にほとんど勉強していない学生が少なからず存在している。
などなど。

「そんなの家庭の責任じゃない?」というのは簡単でしょう。しかし、家庭の財政事情によって意欲や能力のある子どもたちの教育の機会が左右されてしまうという状況が、果たして社会のためになっているのかどうか、私たちはしっかり考える必要があるでしょう。

また、「意欲があるなら奨学金をもらって勉強すれば?」という意見もあるでしょう。それは正しいのですが、今の日本では奨学金のほとんどが貸与型であり、それは学生たちに、卒業の時点で多額の借金を負わせることを意味しているのです(現に卒業後、思うように借金が返せない社会人が急増している)。

公立高校授業料の無償化と、私立高校生への支援金給付がいよいよ始まりますが、これは国際人権A規約第13条が要請する「高等教育における無償教育の漸進的導入」への第一歩に過ぎません。次なるステップは、先進国の中でも最も低いレベルにある教育費の公的負担をせめて他のOECD国並に引き上げて、大学教育費用の低廉化や給付型の奨学金制度の充実などの施策を実施し、子どもたちに等しく高等教育の機会を提供していくことです。まだまだ先は長いですね。