烏有亭日乗

烏の塒に帰るを眺めつつ気ままに綴る読書日記

火星を眺めて

2005-11-14 23:31:03 | 独り言
今月は、西の夜空に火星が耀いているのがよく見える。
2年前には、およそ6万年ぶりの大接近として話題になったが、今秋もずいぶんとはっきり肉眼で捉えることができる。

熒惑出れば則ち兵あり。入れば則ち兵散る。
と司馬遷は記し、熒惑すなわち火星が出ると戦禍が生じるという徴候-因果を宙に読んだ。日本でも禍星と呼ばれていたし、ギリシャ神話でも火星と軍神マルスが結びつけられていたので、闇に煌々と浮かぶ赫い光はただ事ならぬ雰囲気を人に与えるのだろう。白く明滅する光の中の赤い色というと紅一点から女性的なものを連想しがちだが、この赤さはどうも血の赤さを連想させるのか。まさに人を惑わせがちな惑星である。

惑わせるといえば、火星の運河や原始生命の存在など近現代になっても火星は私たちに謎をかけ続けている。まるでスフィンクスのように。