(2010/08/10産経新聞)
政府は10日午前の閣議で、29日に控えた日韓併合100年にあたっての菅直人首相談話を決定した。過去の朝鮮半島の植民地支配に関し、「多大な損害と苦痛」を与えたとして「痛切な反省と心からのおわび」を明記。朝鮮半島に由来する文化財を韓国に渡すと表明した。首相は談話発表で韓国との歴史問題に一定のけじめをつけ、北朝鮮の拉致問題や核問題での連携強化を図りたい考えだが、戦後補償問題を再燃させる懸念が強まっている。
談話は戦後50周年にあたる平成7年8月に閣議決定した「村山談話」、戦後60周年の「小泉談話」(17年8月)をほぼ踏襲する内容。両談話がおわびの対象を「アジア諸国の人々」としたのに対し、今回の談話は初めて韓国のみを対象とした。植民地支配に対する謝罪の一方、経済関係の強い結びつきを踏まえ、韓国と未来志向の関係を築くことにも力点を置いた。
引き渡す文化財については、李氏朝鮮時代の祭礼や王室行事を絵画や文章で記した儀典書「朝鮮王室儀軌」など、旧朝鮮総督府から日本の宮内庁に移管されたものとしている。
日韓間では1965年に締結した基本条約の関連協定で双方が財産・請求権を互いに放棄している。このため、政府は「返還」ではなく「お渡しする」として請求権問題の再燃を回避する方針だが、事実上の返還に相当する措置のため、議論を呼ぶのは必至だ。
政府はさらに、サハリン残留韓国人への支援や朝鮮半島出身者の遺骨返還など人道的支援を継続することも表明した。
政府は当初、韓国が植民地支配からの解放を祝う15日の「光復節」に談話を発表する方向だった。だが、「謝罪外交」の批判を最小限に抑えるためにも、発表を前倒ししたとみられる。
◆
<日韓併合100年>菅首相談話、具体性乏しく不満 韓国
(8月10日毎日新聞)
【ソウル西脇真一】日韓併合100年首相談話について、韓国政府関係者は10日、一定の評価はしながらも具体性の乏しさに不満を述べた。また韓国では10日付各紙が1面で報じるなどメディアは高い関心を示した。
ある韓国政府当局者は「戦後50年の村山談話より一歩進んだ内容ではある」としながらも「歴史認識にはもっと踏み込んでほしかった。文化財以外、新たな事は具体的に盛り込まれなかった。個人的には不満」と話した。
大手紙・朝鮮日報は、談話の「核心」を文化財引き渡しだと位置付け、談話を「一応“制限的な誠意”を見せた」と評価した。文化財引き渡しが「(日本の)国家所有のものを網羅すると確認されれば、その意味は全体的に変わる」と期待を込めた。
政府は10日午前の閣議で、29日に控えた日韓併合100年にあたっての菅直人首相談話を決定した。過去の朝鮮半島の植民地支配に関し、「多大な損害と苦痛」を与えたとして「痛切な反省と心からのおわび」を明記。朝鮮半島に由来する文化財を韓国に渡すと表明した。首相は談話発表で韓国との歴史問題に一定のけじめをつけ、北朝鮮の拉致問題や核問題での連携強化を図りたい考えだが、戦後補償問題を再燃させる懸念が強まっている。
談話は戦後50周年にあたる平成7年8月に閣議決定した「村山談話」、戦後60周年の「小泉談話」(17年8月)をほぼ踏襲する内容。両談話がおわびの対象を「アジア諸国の人々」としたのに対し、今回の談話は初めて韓国のみを対象とした。植民地支配に対する謝罪の一方、経済関係の強い結びつきを踏まえ、韓国と未来志向の関係を築くことにも力点を置いた。
引き渡す文化財については、李氏朝鮮時代の祭礼や王室行事を絵画や文章で記した儀典書「朝鮮王室儀軌」など、旧朝鮮総督府から日本の宮内庁に移管されたものとしている。
日韓間では1965年に締結した基本条約の関連協定で双方が財産・請求権を互いに放棄している。このため、政府は「返還」ではなく「お渡しする」として請求権問題の再燃を回避する方針だが、事実上の返還に相当する措置のため、議論を呼ぶのは必至だ。
政府はさらに、サハリン残留韓国人への支援や朝鮮半島出身者の遺骨返還など人道的支援を継続することも表明した。
政府は当初、韓国が植民地支配からの解放を祝う15日の「光復節」に談話を発表する方向だった。だが、「謝罪外交」の批判を最小限に抑えるためにも、発表を前倒ししたとみられる。
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<日韓併合100年>菅首相談話、具体性乏しく不満 韓国
(8月10日毎日新聞)
【ソウル西脇真一】日韓併合100年首相談話について、韓国政府関係者は10日、一定の評価はしながらも具体性の乏しさに不満を述べた。また韓国では10日付各紙が1面で報じるなどメディアは高い関心を示した。
ある韓国政府当局者は「戦後50年の村山談話より一歩進んだ内容ではある」としながらも「歴史認識にはもっと踏み込んでほしかった。文化財以外、新たな事は具体的に盛り込まれなかった。個人的には不満」と話した。
大手紙・朝鮮日報は、談話の「核心」を文化財引き渡しだと位置付け、談話を「一応“制限的な誠意”を見せた」と評価した。文化財引き渡しが「(日本の)国家所有のものを網羅すると確認されれば、その意味は全体的に変わる」と期待を込めた。