細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『堕ちた天使』は<フィルム・ノワール>のベストだという風評はあるが・・。

2021年02月24日 | Weblog
●2月23日(火)21-30 ニコタマ・サンセット傑作座
★OV-049『堕ちた天使』"The Fallin' Angel" (1945) 20th Century Fox Studios 
監督・オットー・プレミンジャー 主演・ダナ・アンドリュース、リンダ・ダーネル <モノクローム・スタンダード・105分>
世間的に<フィルム・ノワール>というのは、あのハンフリー・ボガートの「マルタの鷹」のような、犯罪を推理する探偵の出るようなジャンルと言われている。
しかし、フィリップ・マーロウ探偵が活躍する殺人事件ものよりも、わたしはむしろこの作品のように、刑事や探偵などのプロの出るテーマよりも、この庶民受難タイプを好む。
つまり、ごく普通の人が、思わぬ犯罪に巻き込まれて、普段の生活がガラリと事件に呑み込まれて、常軌では収拾のつかないトラブルに巻き込まれて行くテーマ、だと思っている。
あのロマンスの名作「陽のあたる場所」のような、善良な青年が、思わぬボートの転覆事故でガールフレンドを死なせて、裁判で死刑の宣告をされたようなケース。
なぜか40年代の世界大戦の末期には、テレビも未開発で、ハリウッドも映画制作費が削られて、金のかからない役者での、犯罪事件ものを量産していた時代だった。
失業して、ひとりロスからサンフランシスコに向かって行く深夜バスで、流れ者のダナは、おそらくサンタバーバラ周辺の郊外で無賃乗車で下ろされてしまう。
当時は廃棄されたバスを改造して、カウンターだけの終夜営業のダイナーが多くあったらしく、よく50年代のチープな映画には出て来たもので、これはその代表作。
日本では当時は、リアカーでの焼き鳥屋が多くあって、わたしなども独身の安サラリーマンの空腹な深夜などには重宝したものだが、あれに近い設定のドラマだ。
結婚に破れて、そのダイナーの女給をしているリンダは美人なので、元刑事だったチャールズ・ビッグフォードは毎晩のように、カウンターで粘っている。
ほとんどは、深夜のダイナーのカウンターでのドラマなのだが、流れ者のダナは宿無しなので、閉店後にリンダのアパートに誘われたが、別の安ホテルに泊まった、が。
その夜にリンダが殺されて、当然のように放浪者のダナが容疑者として逮捕される・・・という、まさに<ノワール・パターン>で、これはそのベストの1作だろう。

■完璧に左中間のフェンス激突の堂々のスリーベース。 ★★★★☆☆☆
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