諸葛菜草叢記

 "窓前の草を除かず“ 草深き(草叢)中で過ごす日々の記

馬車引き馬と【ハエ】 のお話

2009-05-23 10:50:44 | 日記・エッセイ・コラム

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  # お馬の親子は  仲良しこよし  いつでも一緒に ホックリポクリ 歩く~#

  ▼ ほのぼのとした親子の情景を歌った、ご案内の童謡ですが、これからのお話は、この「 ホノ ボノ ・・」さとは、いささか趣を異にします。

     ある所に、馬の一家が、住んでおりました。両親の馬は、馬車引きの請負仕事をして、生計を立て、子馬を大切に育てていました。

  ある日のことでした。夏の初めにしては、暑い日でした。いつもの時刻になったも、両親は帰ってきません。日は、西の端に傾きかけてきました。子馬は、心配と心細さで、オロオロとしていました。

  太陽が、西の山なみの奥へ、沈みかけた頃になって、両親は、ヤット帰ってきました。何時もよりも、ずっと疲れた様子です。

  「 おかえりなさい。今日は、遅かったネ。ボク、心配してたんだョ~!。」

  「  ゴメンネ。心配かけさせて、でも、今日は、大変だったのよ 。」

  と母馬は言いました。まだ、体全体に汗が滲んでいました。

  「 本当に大変だったよ、。マア、お前も大きくなったときの勉強になるかもしれない。」、

  と父馬は、今日の出来事の一部始終を、子馬に、話して聞かせました。

    今日の仕事は、【乗合馬車引き】 でした。何時もは、麦や塩などの食品搬送でしたが、本日に限って、【 乗合 】の方に、『 空き 』があって、此の方が、少しばかり歩率もいいので、請け負って見ることにしました。配車係りの主任さんも、引き手の手配も付かず、困っているところだったので、直ぐに、話はまとまりました。

「 ひと山超えた隣の村までは、それほど、難儀するこもないはずだ。馬車は、四頭立て仕様だけど、何とかなるだろう。あそこまでは、林道整備も良くされていて、道はいい。カアサン、少し頑張って、帰りには、息子に土産でも買って帰ろうか・・。 」 

  乗合馬車は、出発しました。里山は、長閑なものです。乗客は、この里山の町の診療所へ来た高齢者、子供連れの女、熟年の巡礼〔足を痛めたよう)、数名でした。「 此のくらいなら、軽いもんだな、」 ポックリ ポックリ 軽快な足取りです。

  ところで、人生〔馬生かな)そう上手くいかないのが、相場というものです。鼻歌交じりは、つかの間のことでした。山坂にかかっても、快適に舗装された整備されたスーパー林道なので、比較的楽でした。しかし・・。 何と、快適舗装の林道の一部が、突然の地盤陥没で、この先は交通止めです。その場を監視していた道路整備局員の誘導で、旧道に回されました。しかし、しばらく、放置されていた旧道は、石ころが多く、登り坂も急で、しかも、森林整備事業が、途中で取りやめになっていたので、日かげひとつありません。二頭立てでは、とても登りきるものではありません。しかたなく、みんな降りて、歩くことになりました。

  「  汗はかくし、息は切れるし、イヤハヤ稼ぐッてきついもんだな。それにしても、あの【ハエ】の奴は、いい気なもんだったな~!」と父馬はいいました。

  一匹のハエが、馬車に乗り合わせておりました。と言っても、所謂、『 尻馬に載る 』で、勿論、無賃乗車です。だっまて乗って居ればまだしも、やがて、「 ブンブン 」 うなって飛び回り始めたのです。

  「 奴は、あれで、俺たちを励ましてつもりでいたんだ。ところかまわず、やたらに突っきまわす、。文字通り 【五月蝿い】ったらありゃしなかった。ナア、カアサン。」

  【ハエ】は、まるで指揮官です。たえず自分が、乗り物の集団を動かしているつもりなのです。行ったり,来たり、忙しそうにたちふるまいます。馬車が、ヤット動き始めれば、それは、自分の功績なのです。ハエは、行動しているのは、自分だけで、何もかも世話をしているつもりです。「汗グッショリの馬を助け、この困難を切り抜ける努力もしないで、ただ歩くばかりだ。」 と愚痴る。足を引きずって歩く巡礼が、なにやら経文を唱えている。「それが、この際、有効カネー!」 子供をあやして、女が歌う。「#  お馬のカアサン やさしいカアサン~#」「そんな歌何の励みにもならないよ。」 ハエは、耳元へ飛んで行って、がなりたてる。「高齢者だって、知恵くらいだせるだろう。」

 「 俺たちのさんざんの苦労の甲斐あって 」。馬車は、ブナの大木の木陰のある、峠の平坦地に辿りつくことが出来たた。「マア、俺たちの馬力もすてたもんじゃない。」 老人は、背中の汗を拭ってくれる。巡礼は、ペットボトルの水を口先にかけてくれる。子供は、買い物バッグからニンジンを取り出し、渇いた口に入れてくれる。とりあえずの 小休憩。「なのに、ハエの奴ときたら・・・・。 」

 「 サア,一段落で~す。ワタシが、骨を折ったおかげで、こんな涼しくて、しかも素晴らしい見晴らしの中で休めるので~す。これから、少し下れば、スーパー林道の快適な道路がまってますよ。ワタシ、皆さんが、汗拭いて、休んでいる間に、一飛びして、見てきました。馬をはじめ、乗客の方々、感謝してくださ~い。 べつに、謝礼までとは、もうしませんが・・・。」

    ※ このお話は、ラ・フォンテーヌの寓話 「乗合馬車とハエ」(巻7の8)をアレンジしたもです。次の文章は本文からの引用です。

  『 こんなふうに、せわしげな様子をして、あらゆるところに入り込んでくる人たちが居る。彼らは、いたるところで、居なくては成らない人間のつもりでいるが、いたるところで、うるさいだけの人間。追い払われるのが当然。』

  ▼ 2009年の現在、このハエのような存在の筆頭に、テレビの報道が挙げられる。素人目にも解るような、バイアスのかかったニュースを、一方的に垂れ流す。大騒ぎをする。M党代表の政治献金問題は、殆んどの局(此の辺りでは、BSを加えれば15局)が、全く同じ論調のアナウンスをする。しかも、リークされたネタi以上を含んでいないことは、明瞭なのに、恥ずることをしらない。「 説明責任が足りない!」の一本槍・ 殺し文句で飛び回る。レッテルを貼って稀代の悪党が仕上がる。J党にも、同じケースが、見えみえの場合でも、お得意の【調査報道】で、本気になって追っかけない。結局は、周りでブンブン言っているだけ。都合が悪い場合は、黙って見過ごす・・・・。▼ ゴールデン・タイムに「心に残る名場面集ー永久保存版」長たらしいタイトルの3時間特番、セコハン・フィルムのつなぎ合わせ、大袈裟なナレーションと、お笑いタレントのコメント・・・・エトセトラ・・E、T、C・・・。

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  お馬の親子は、クローバーを おなかイッパイ食べて、休みました。

  # 馬はだっまて  戦争に行った  馬はだっまて 大砲引いた~#

  # 馬は夢見た   田舎のことを  田んぼ耕す  夢見て死んだ~#

               「 馬 」 茶木 滋  ㍼15・12 (日本童話集より)

  こんな事にならないように、母馬は、子馬の寝顔を見つめながら、夜空の星に祈りました。

 

 

  

  

  


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