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『改めて日本語を考える』その31。日本語は難しいと改めていうまでもないが、普段使いしている言葉が間違った意味で使っていることがある。クイズ番組の問題になり、その時は覚えるのだが、すぐに前の誤った方を使うことがままあるのである。
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私にとっては『おもむろに』という言葉がどうしても覚えられない。例えば『おもむろに口を開く』という意味を『突然、唐突に』喋り出す、と捉えているのならばそれは間違いである。
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(徐にSLは動き始めた)
では正解はということだが、漢字で書いてみるとよくわかる。『おもむろに』を漢字で書くと『徐に』となる。徐という字は『動きがゆっくりしている様、つまり『ゆっくりと口を開く』という意味なのである。
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この反対に使われているのが『おっとり刀』である。よく『おっとり刀で駆けつける』などと使われるが、『おっとり』=『ゆっくりと、ゆるゆると』という意味ならば『駆けつける』と合わない。
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『おっとり刀』も漢字にすると『押っ取り刀』つまり急な出来事で腰に刀を差す暇もなく、刀を手に持ったまま慌てて飛んでくる様を表している。
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さらに間違って覚えている人が多いのは『うがった見方』という言葉である。もし、会議で発言した後に上司から『うがった見方するね、君は』と言われた時にどう反応すればよいのだろうか?
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漢字にすると『穿った』、これは①穴を開ける、突き通す、②押し分けて進む、通り抜けていく、③人情の機微に巧みに触れる、ものの本質をうまく的確に言い表す。事の裏の事情まで詮索する、と言った意味がある。『穿った見方』とは『物事の本質を捉えた見方』、つまりさっきの上司との会話では褒められているのである。ただ、実際には『疑ってかかるような見方をする』『裏からねじ曲げた見方をする』という意味で発言することもあるため、上司の言い方、前後の脈絡も読み取る必要がある。
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本来の意味と真逆の言葉と解され、さらに真逆の意味を信じている人の方が多いこうした言葉は使うのがためらわれてしまう。