『鉄道シリーズ』その263。コロナ禍もあり、普段の年ならば必ずどちらかへ旅行に行っていたのに。
今年は家で古い時刻表でも眺めて旅行気分を味わうことにする。それにしても昭和39年9月号時刻表のページをめくると現在に比べて急行・準急の多さと各駅停車の運行距離の長さに驚く。
例えば東海道本線の東京駅発を比較してみる。現在は東京駅発で最も長いのが沼津行、23駅126kmである。一方、昭和39年9月では名古屋行、大垣行、大阪行、姫路行などがゴロゴロある。
実際に乗ったらどうなるのだろう。東京発5時20分で大阪まで行ってみる。現在の時刻表では東京発5時20分の沼津行に乗ると三島0711、静岡行で静岡0828、浜松行で浜松0943、大垣行大垣1147、米原行で米原1246、新快速姫路行で1413、かかる時間は8時間53分、東京〜大阪は556.4kmだから時速62.6km/hとなる。
昭和39年9月では東京発5時20分の名古屋行に乗ると名古屋着は1334、1355発の京都行で京都着1732、1744発の神戸行で大阪着は1819、12時間59分で到着していた。わずか乗換えは3回だが、時速換算すると42.8km/hとなる。(全て電車)
この大きな差は現代の米原〜大阪に利用した新快速が80km/hで運行されていることが大きい。まあ、これを除いても60km/hは出てはいるが。
次に大阪〜博多を見てみる。今度は昭和39年9月から見ると大阪からは東京始発の夜行各駅停車姫路行0502に乗車、姫路着0645、0657門司行に連絡しており、門司着2020、同発2038久留米行で博多着2202、17時間ちょうどで博多にたどり着く。乗換は3回、しかし、時速は37km/hととにかく遅い。これはひとえに姫路〜門司が客車であり、480kmを13時間23分、時速に換算すると時速36km/hしか出ていないからである。
現代の時刻表で見ると大阪発0524の加古川行に乗車、西明石発0641播州赤穂行に乗換。姫路で0731新見行に乗換、さらに岡山、糸崎、岩国、下関、小倉と乗換、1840に博多到着。7回も乗換があるため、乗車時間11時間48分に対して要した時間は13時間16分と1時間28分も待合わせ時間がある。それでも時速換算(含む待合わせ時間)すると48.2km/hとなる。
乗換が少ない56年前と比較しても車両の進化もあり、要する時間は大幅に短縮されている。しかし、まだ、新幹線もなく、姫路から門司まで13時間も客車に揺られ旅をするのもいいものだろう。それにつけてもコロナ制圧が待たれる。