『江戸の坂・東京の坂』その48。麻布十番周辺の坂道の続き。大黒坂を登り切り、一本松坂と暗闇坂が接する変形の四つ辻からスタート。この3つの坂道以外の道を行くと道が狭くなり、下り坂が現れるが、これが『狸坂』。
今も面影があるが、暗くて狸に化かされるような坂道のためにこの名前が付けられた。動物がついた坂には特徴があり、鼠坂はいずれも細くて急な坂道で鼠くらいしか通れないような道、蛇坂はぐねぐねと曲がった細い坂道、狸や狐、狸穴などが付く坂道は暗闇坂と同様に暗くて曲がったり、細くてきになる坂道だったようである。
狸坂は最後は一方通行になるほど道が狭く、急坂になる。坂の下はまた四つ辻になっているが、それを左に曲がるが、この辺りから警備の警察官が増える。
坂道を上がるが、これが『狐坂』である。この坂には標識がないが、この名前の由来も王子の狐同様に人をたぶらかす狐がいた伝説がある。これは明治初年頃にいた狐で美しい娘に化けてはほろ酔い気分の男が下心を持ち声を掛けるとこの辺りを引っ張り回し、最後は坂下の溝に突き落とされたという目にあった者があり、そのために狐坂と呼び、用心したものらしい。
狐坂の途中にはオマーン大使館と中国大使館があり、今は24時間体制で警備しているので騙されることはないだろう。
そのまま歩くと少し太いテレビ朝日通りに出るが、左折すると左手に向かう坂があるか、これが『中坂』。これは懇屋坂と北条坂の真ん中の坂道のために付いた名前らしい。
少し先には左に下る『紺屋坂』がでてくる。あまり確かではないが、この付近に紺屋(こうや)があったため、その名前が付いた。
反対側には中国大使館があり、その警備が厳しく、写真も撮りにくくなる。塀には中国の名所やオリンピックの活躍を示す絵が描かれ、なんとも珍しい。
また、代書屋のような店も並び、それなりに人が入っている。他の国の大使館にも行ったことはあるが、代書屋があるのはここだけのようだ。
その先の麻布消防署を右手に曲がると『宮村坂』、これは昔、この辺りが宮村町と言われたためだろう。この辺りには他にも色々な国の大使館がある。
坂を下りて行くと先ほどの狐坂の下に出てくるが、今回は雨も強くなり、かなりくたびれたのでここで一旦終了にし、また改めて来ることにしたい。
麻布十番周辺は外国の大使館や外人用の高級賃貸物件が並び周辺とは一線を画す地区でそのためか、緑も多く、あまり変わらない街並みが残されている。