『三県境』と唐突に言っても何のことかわからないかもしれない。日本の県境の中で1点で3つの県の境があることを言うのだが、県境でよくあるのが例えば山梨県と静岡県の県境のように富士山であったり、東京都と千葉県の都県境のように江戸川であったりと山や川が境になっているものが多い。
さらにこれにもう一つの県が加わると山の山頂や川の真ん中と行きづらい所が多い。例えば『東京、埼玉、山梨』の三県境は雲取山、『岐阜、三重、滋賀』は三国岳、『福島、群馬、新潟』は尾瀬ヶ原である。また、調べてみると三県境にあるのが『三国岳』『三国山』『三国境』という地名が多い。
では普通に行けるところはないのか、読者は何となく想像できると思うが、普通の田んぼの真ん中にあるのが『栃木県、群馬県、埼玉県』の三県境である。
常磐線古河駅、この駅は茨城県なのだが、ここから車で10分ほど走ると道の駅『かぞわたらせ』に到着する。目の前に渡良瀬遊水地のある自然豊かな道の駅である。
その裏手にある階段を降りると田んぼが広がっている。少し雨も降っていることもあり、道を歩く人は皆無。ただ、案内板がポイントにあるため迷うことはない。150mほど歩き右に曲がる。
(よく見るも蛙がいます)
足元で何かが跳ねる。よく見るとそれはたくさんいる。屈んでよく見ると茶色の1cmほどのカエルがぴょこぴょこ飛んでいるのである。気がつくと今度は踏まないように歩く方が難しい。田んぼがすぐ横にあるし、雨で道が湿っているし、カエルが活発に動くのは当然である。
そんなことに気を取られているうちに三県境に到着した。プレハブ小屋の横に田んぼが3つ交わる真ん中に三県境界と書いた金属製の標識があった。
その隣には小さな木の箱があり、中にはスタンプが入っている。以前に盗難に遭ったことから頑丈に鎖で止めてある。これをスタンプ帳に押して完了。三県とは埼玉県加須市、群馬県板倉町、栃木県栃木市の境界である。
実は茨城県との県境もすぐのところ(渡良瀬遊水地)にあるのでもう少しで四県境となったのかもしれない。
東北本線も3駅で3県を跨ぐ特殊な場所に近く(栗橋駅・埼玉県、古河駅・茨城県、野木駅・栃木県)にあり、面白い場所なのかと改めて実感した。