1993年刊行の精選東京の居酒屋という本がある。私が太田和彦氏の存在を知るきっかけとなった本だが、この本に従い居酒屋巡りを始めたのである。45軒が載せられているが、閉めた店も多く、寂しい限り。その中でも好きな店の1つ『赤津加』にお邪魔した。
場所は秋葉原電気街の真ん中、周りではメイド姿の女の子がビラを撒いたり、フィギュアやDVDを売る店が林立したり。純粋な電器店はかなりなくなったが、この店は変わらない。
昔ながらの看板を出していてのれんをくぐると目の前に大きく取り囲むようにカウンター席、雰囲気は昭和に戻ることができる。今回もいつもの研究会会合、1人少ない5人で開催した。
まずは生ビールで乾杯、ジョッキには店の名前が書かれている。梅雨になるとこの1杯のために生きていると言っても過言ではない。お通しはインゲンとホタテの炊き合わせ、出汁の効いたうす味がいい。
メニューを見ると中々のラインナップ、『鶏モツの煮込み』『刺身盛り合わせ』『焼き鳥』をまずは注文。すると最初に煮込みが登場。グツグツいう土鍋の中に鶏モツと豆腐、これを味噌味で煮込んでいるが、鶏のため脂っこくなく、あっという間になくなる。
次に刺身、慌てて浦霞(宮城県)の純米生酒の4合瓶でお願いする。最近は菊正宗一辺倒ではない様子。辛口の酒を舐めながら、中とろ、イカとイクラ、タイ、赤貝、ホタテ、鯵タタキ、タコ、さらにハモ落とし。ハモは今年初物、梅雨の水を飲むと美味くなるというが東京では珍しい。
焼き鳥はキリッと塩で。肉1つずつが食べ応えがあり、もちろん硬くはない。もう、1本空いて菊水無帝冠(埼玉県)に。こちらも辛い。
次に『穴子白焼き』、刺身の山葵をタップリつけて頂くが、いい焼き加減。さらに『揚げ出し豆腐』『鶏の唐揚げ』『串カツ』と腹にたまるものを連発。流石におじさん5人、食べるスピードが衰え、幹事もゆっくり飲む。
酒は菊正宗(樽酒)、一の蔵(宮城県)など計5本、つまり各自4合ずつを開けたことになる。最後に卵焼き、漬物をいただき大団円。
注文後、すぐに出てくる気持ち良さはやはりいつもの通り。また、昔より女性のお客さんが増えたのが心強い。いや、いい店です。ご馳走さまでした。
赤津加
千代田区外神田1ー14ー2
0332512585