毎年Hanakoの吉祥寺特集が花見の季節に出版されるが、まあこれだけ店の入れ替えがあるとはと感じる。だんだんnew吉祥寺の店は何となく個性的な店が減ってきている一方で昔ながらの店はその個性がさらに磨きをかけているような気がする。
今回お邪魔したのは1978年オープンのLe Bon Vivant。吉祥寺では老舗の南欧料理の店である。東急百貨店から5分ほどの店がなくなりかけた住宅地との境にある。
店に入るとオーナーの高橋さんが料理の説明をひと通り、『今日は魚は鯛…お勧め料理は…』と教えてもらい、生ビールを飲みながら注文を考える。
今回は最初に『ホタテとツブ貝のラビゴットソース』。安めのニュージーランド白ワインと食べるが、少し酸味のあるソースと柔らかいホタテ、コリコリとしたツブ貝の食感がいい。
次に『色々なキノコのプディングクリームソース』。この店のスペシャリテと言っているが、周りをカリッと焼き上げ、さらに揚げ玉ねぎが乗り、キノコの芳醇な香りを包んでいる。それを濃醇なクリームソースを付けながら食べるが、甘く香ばしく美味い。
さらに『ウニのムース』。ウニが香り、サラッとしたソースとの相性がいい。
そして『貝類のチリソース煮込み、セウタ』。これはかつて一世を風靡したドマーニの名物料理。貝はツブ貝がメイン、結構辛く、旨味が詰まっていてパンとワインにはぴったり。
言いそびれたが、バジルの香るパンとクルミのパンが供せられる。
メインは『牛バラの赤ワイン煮込み』、濃厚な味付けでほろっと崩れる肉。特に脂の部分が美味い。さすがに歳なのかこれだけで十分満腹になる。もちろん、デザートとコーヒーは頂いたが。
この店は料理も新しいフレンチではないが、それぞれのソースに舌鼓を打ちながら、ゆったりと料理を楽しむ形で楽しむ店でいつも至福の時を過ごせる。気がつくとほぼ満席、そういえばよく斎藤晴彦さんがお一人で楽しそうにカウンター席に座ってられたことを思い出した。
ル・ボン・ヴィボン
武蔵野市吉祥寺本町2ー14ー5
0422212936