吉祥寺には今まで馴染みの鰻屋さんがない。というのも今まではテイクアウト専門の鰻屋さん『串の坊』があったからである。ハモニカ横丁の入口にある有名店で、それこそ20年前には一串600円くらいで買うことができたからである。この店の鰻はご主人が開き、おばさんが焼いて売っている。最近の鰻屋は焼いたものまたは開いて串に刺し蒸したものを焼く店が多いが、ここのは蒲焼もきも焼きも冷えても美味い逸品だった。しかし、そのお店が4月頃に閉店してしまったからである。
そこでグルメサイトを調べても5軒ほど。うち1軒は以前から知っていたが、候補は少ない。この志乃ざきもかなり以前に悪い噂を聞いて行かずにいた。(但しこれは『ます田』という店)ただ、その後経営者が変わり、八王子の鰻屋の支店となっていたのである。丑の日を前に早速予約を入れ、6時に入店。
がらがらかなと思っていたが8割ほどの入り、単に鰻丼を食べる人よりうなぎをつまみに飲む人が多い。カウンターに陣取り、まずはきも焼、レバー焼、う巻き、おつまみ白焼き(白焼きの半分)をお願いする。
ビールで乾杯、突き出しは浸し豆、おぼろ昆布が入っていて味がいい。
目の前では鰻を焼く音、するとまずはレバー焼、白焼きが登場。塩焼きは早く出てくる。これは早く日本酒と瀉樂(福島県)を1合。レバー、白焼きとも酒のあてにもってこいの味である。白焼きはワサビ、塩でも醤油でも美味い。
続いてう巻きときも焼。きも焼は人気のため、各自一本ずつ。この店の山椒は画期的で挽いたものと電動ミルから選択できる。きも焼は挽いた細かいもので頂く。ちゃんと2つに分けてくれるのはコロナ禍の数少ない効能か。
酒は山形正宗(山形県)を飲み終わり、3合目は初亀(静岡県)。この店は2合目までは錫の容器だが、3合目は焼き物に片口が変わる。周りを見るとみんな3合は呑んでいるようだ。
ここでひれ焼き、くりからを追加。あまり食べた記憶のないひれ焼きは鰭をくるくる巻いてあり、細いにも関わらず脂がたっぷり。美味いというか、珍味というか。
まだまだ串焼きも食べたいが、そろそろと鰻重をお願いする。最も鰻の少ない(3/4匹分)だが、量的にはちょうどいい。やはり鰻重は江戸風のふわふわしたものもいい。こちらには電動ミルで山椒を振って頂いた。
ついてきた肝吸いもお漬物も美味い。なかなかよい店を発見でき、収穫の多い夕餉となった。いやはや満腹、ご馳走様でした。
志乃ざき
武蔵野市吉祥寺東町2ー25ー10
05055941478
武蔵野市吉祥寺東町2ー25ー10
05055941478