『あきば』というとついAKBと思うようになったのはいつからだろうか。元は旧国鉄が駅をこの地に作った1823年に『元は秋葉神社のあった原っぱ=あきばっぱら』、つまり『あきばはら』を駅員が間違えて『あきはばら』としたのがそもそもの経緯。つまり、駅名をそのまま略すと『あきは』だが、実は『あきば』が正しいのである。
いや、今回は鉄道シリーズではなく立ち食いそばの話だが、秋葉原駅から昭和通りを渡り、上野方向に歩くと飲食店、特に立ち食いそばが並んでいる。まずは富士そば、さらにその先には『みのがさ』という店、これも名店がある。これを通り越した先にあるのが『あきば』という店である。
前置きが長くなったが、店は新しいビルの一階、しかし中に入ると懐かしい雰囲気。特筆すべきは店の端に蕎麦打ちコーナーがあり、石臼も完備。ご主人が食べる分を打つ、三立て(挽きたて、打ち立て、茹でたて)の店なのだ。
一方、注文は券売機で食券を購入する。今回は悩んだ末に『冷かけたぬきそば』(410円)にしてカウンターのややお歳をめしたおばさんに渡す。すごく感じがよく、できたらお呼びしますと言われ席で待つ。立ち食いそばとはいうもののセルフサービスの椅子に座って食べる店なのだ。
5分ほど経過して『冷やしたぬきあがりました』の声。丼に盛られた蕎麦がトレイに乗せられたのを受け取る。丼をみると盛られた蕎麦に天かす、ワカメ、刻みネギ丼に共にモヤシも乗り、ワサビが添えられている。ワサビをツユにとき、まずは蕎麦を一口。さすがに三立てだけあって角の立った腰がある蕎麦は美味い。少し硬めかなと思ったが、ツユに浸しているうちにちょうど良くなる。
ツユはあまり香るわけでもなく、インパクトに欠ける。また、天かすは市販品、モヤシもあまり合わない。ただ、蕎麦はとても立ち食いそばとは思えない完成度で単なるザルか、天ザルにでもした方が良かったかも知れない。さすがに口コミで評判が良いのがよく分かった。
また、ご夫婦なのか、蕎麦の礼をいい、店を出るとご夫婦からありがとうございした、また、お待ちしていますの声。本当に好感の持てるお店であった。ごちそうさまでした。
あきば
台東区台東1ー10ー3