『鉄道シリーズ』その249。今回は『循環列車』についてである。循環列車といっても山手線や都営地下鉄大江戸線の話をするわけでは無い。先日購入した1964年9月、即ち東海道新幹線開業前月の時刻表を見ると面白い列車が数多くあるが、その中でもこの循環列車は面白い。始発駅からいくつかの線区を経由して元の駅を終着駅とする列車で今はイベントの企画列車くらいしかお目にかかれない。
しかし、1964年当時は日本の至るところに走っていたのである。まず最も有名なのは『準急しろがね』と『準急こがね』である。こがねは名古屋発0940→米原1048でここから北陸本線に入り、福井1229→富山1502、ここで高山本線に入り、高山1653→岐阜1934→名古屋2010と9時間22分をかけて大回りする。しろがねはこの逆コースで1号が名古屋0815→名古屋1910となぜか10時間55分、2号は名古屋2350→名古屋1106と11時間26分もかけて走っていた。
『準急のべやま』と『準急すわ』であるが、まず、のべやまは長野1216→小諸1216と信越本線から小海線に入る。小海1301→野辺山1348→小淵沢1427、ここから中央本線に入り、塩尻1600→長野1735と5時間19分かけて走る。一方、すわは長野1203→長野1800とこちらは5時間57分かかるのである。
今までの2つは愛称が違ったが、同じなのは『準急いぶり』である。札幌1240発(2806D)は函館本線経由で倶知安1439、ここで胆振線に入り京極1458→伊達紋別1630、室蘭本線に入り東室蘭1704→千歳1627→札幌1923と6時間47分かけて走る。いぶりは逆方向(2807D)は札幌1000→札幌1658と6時間58分で走る。因みにこの2本は2807Dが胆振線京極駅が1429着1430発、2806Dが同じ駅に1458着1459発のため、京極〜倶知安で列車交換をしていたのだろう。同じ発駅・同じ終点で乗り間違えはなかったのだろうか。
調べて見ると他にも『準急ゆのか』(博多〜鹿児島本線〜久大本線〜日豊本線〜鹿児島本線〜博多)、『準急ひまわり』(大分・別府〜日豊本線〜鹿児島本線〜豊肥本線〜大分・別府)などがある。
(この写真は次の代の急行ゆのか)
準急があった頃には今は廃止となった胆振線はともかく、小海線などのローカル線にも優等列車が多数走っていたのに驚かされるのである。当時に思いっきり旅ができればさぞ楽しかっただろう。