『鉄道シリーズ』その171。この企画の3回前同様、先日購入した復刻版の時刻表昭和43年10月号に関する第2弾。今回は鉄道ではなく、国鉄バスに触れてみる。国鉄バスは日本国有鉄道自動車局が運営していた旅客並びに貨物輸送のことを指す。目的は①鉄道予定線の先行、②鉄道線の代行、③鉄道線の培養、④鉄道線の短絡である。但し、昭和62年4月に行われた国鉄分割民営化により、新設された各新会社に引き継がれた。
近年、TV東京を中心に『路線バスの旅』のような番組が増えてきた。その中でよく話題になるのが、バスの長距離路線の廃止、特に県境を挟む場合には縮小されたり、廃止されたりしている。
しかし、まだ当時(昭和43年10月)にはとても考えられないような長距離、しかも県境を越える路線は国鉄バスがその役割を担っていた。
今の時刻表にもバス路線は掲載されているが、この時代は『ー』は民間バス、『=』は国鉄バスと区別されていた。
まずは省営バスとして昭和5年に岡崎・多治見間に登場した岡多線から。その後、岡崎〜新豊田が国鉄岡多線として開業、1988年に愛知環状鉄道に移管され、新豊田〜高蔵寺を延長開業している。このため、その後徐々に廃止され、2021年には完全に瀬戸市からJR東海バスはなくなっている。昭和43年当時はまだ岡多線も開業しておらず、岡崎〜瀬戸追分、多治見〜瀬戸追分〜高蔵寺などのルートの営業が行われていた。
調べると名古屋〜明知(国鉄明知線終着駅)や浜松〜岡崎、名古屋〜多治見など長い路線が多数確認できる。
他にも中国地方では岩益線(広島〜岩国〜益田)防長線(防府〜東萩、防府〜秋芳洞〜厚狭)。
四国地方では北四国急行線(高知〜川之江〜松山)松山・高知急行線(松山〜高知)、関東地方では水郡東西線(水戸〜宇都宮)、南筑波線(土浦〜古河)、北海道地方では日勝線(様似〜帯広、様似〜広尾)空知線(札幌〜美唄)など長大路線、県境跨ぎの路線が数多くあった。
ただ、全てが廃止された訳ではない。今もあるのは東北地方の平庭高原線(盛岡〜久慈駅)当時は4時間28分・680円だったが、現在は2時間42分・2920円と変わってはいるが。他にも盛岡〜岩泉(現在は龍泉洞)、白棚線(白河〜棚倉)などはかろうじて残されているが。
鉄道も過疎化などで大幅に廃止されてしまったが、国鉄バスも国鉄民営化後、大幅に縮小されてしまったのである。