11月近くになると朝夕はかなり冷えるようになる。たまにゴルフに行くのだが、蕎麦屋が開いていて出汁の香りがしてくるとついつい入りたくなる。山梨方面にゴルフに行く時は高尾駅で乗り換えるのだが、3.4番線ホームには『そば処 高尾山』という駅そばが7時から開けている。
昔と違うのは券売機で食券を買うこと、350円を入れてたぬきそばの所を押す。手動の引き戸を開けるとおじいさんとおばあさんが『いらっしゃいませ』とか『おはようございます』と丁寧に迎えてくれる。
食券を渡すと『お待ちください』と言って茹でそばを湯の中にくぐらせ、丼に盛り、出汁を掛けて出してくれる。
湯気が立ち、七味をかけて一口。美味いことより、まずは熱い。揚げ玉は市販品だが、かき揚げは自家製らしくおばあさんがまさに揚げている。50円の違いならこちらの方が良かったみたいである。
しかし、たぬきそばもふんだんに揚げ玉を入れてくれていて、出汁もやや辛めながらまずまず。食べると身体が暖かくなるのがよくわかる。待ち時間はたっぷりあるのだが、いつもの癖ですぐ食べ終わる。
次の客の注文はワカメそば、するとおじいさんとおばあさんは『ワカメが良くなったね。何しろ三陸産に変えたからね。』と話している。店の営業努力も垣間見た気がした。店を出るとやはり『ありがとうございました。』こうした声に癒される秋の朝である。