『江戸の坂・東京の坂』シリーズ その4。今回は神田駿河台の紅梅坂・幽霊坂。
紅梅坂は本郷通りを小川町から御茶ノ水駅に向かい、ニコライ堂の北側を左手に登る坂である。江戸名所図会にもあり、この坂を登りつめたあたりに光感寺という紅梅で有名な寺があったため、光感寺坂または紅梅坂と呼ばれていた。
実は元々この坂は本郷通りを挟んで反対側の幽霊坂と連がっていたが、1924年本郷通り拡張されるに伴い、紅梅坂と幽霊坂と分割されてしまった。
反対側の幽霊坂は御茶ノ水ソラシティの下を御茶ノ水駅に向かい右手に下りて行く坂で建物に沿ってL字に曲がっている。
江戸には幽霊坂が多く、この名前が付けられた坂は墓地の周辺や木が鬱蒼と生えた昼でも薄暗く寂しい場所にある坂に付けられたものが多いが、この坂も同様であったようである。
それにしても元は2つの名前が付けられた一つの坂が、分断されて一つずつその名を残しているのは珍しい。
周囲には笹巻き毛抜寿しを売る店や太田姫稲荷神社など江戸の香りのする施設も残されている。
また、駿河台辺りには他にも淡路坂、新坂、雁木坂、甲賀坂、観音坂、池田坂などまだ多くあり、またいずれ紹介して行きたい。