hokutoのきまぐれ散歩

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罵倒語~オタンチン・パレオロガス

2015-07-04 05:00:41 | 日記

『改めて日本語を知る』その11。今週のNHK歴史秘話ヒストリアでは夏目漱石と妻と猫の話が取り上げられたが、その中で『オタンチン・パレオロガス』ていう言葉を久々に聞いた。今回はこうした『罵倒語』の語源を記してみたい。

オタンチン・パレオロガスは東ローマの最後の皇帝でオスマン帝国に滅ぼされてしまう。その人物がかなり出来が悪かったようでこれをなぞらえ、漱石が『吾輩は猫である』の中で登場人物の苦沙弥(くしゃみ)先生を介して山芋の相場を知らない妻に向かって『オタンチン・パレオロガス』というくだりがある。つまり、バカだなあという意味である。

しかし、『おたんちん』を辞書で調べると江戸時代の廓言葉で『馬鹿な人』『間抜けな人』を指す意味で語源は『御短(短い)』+『珍(男性の生殖器)』とも言われており、この2つの言葉の関連はよくわからない。

では『馬鹿』の語源はご存知だろうか。これは司馬遷の記した史記の中に『指鹿為馬』という故事から来るとの説がある。これは秦の時代に宦官の趙高が謀反を企み、廷臣の敵か味方かを判別するために宮中に鹿を引いてやって来た。趙高が『珍しい馬が手に入りました』と皇帝に献上し、皇帝が『これは鹿ではないのか』と尋ねたが、趙高から廷臣に『これは馬に相違ないな』と言うと彼を怖れるものは馬と言い、気骨のある者は鹿と言った。そこで趙高は鹿と言った者を全て殺したというものである。ほかにも梵語の愚かを表すmohaの音から来ている説などもある。

関西ではあまり馬鹿という言葉は使わず、『阿呆』(あほ、あほう)を使うが、この語源は中国の江南地方の方言『阿呆(アータイ)』からきており、日明貿易が盛んだったころに京都に伝わったという説がある。因みに中国での意味も『おばかさん』程度の軽いものでそれが今もニュアンスで生きているのかもしれない。

『アンポンタン』は江戸言葉で18世紀末に江戸に出回った『アンポンタン』という魚(カサゴの一種)が大きさの割に美味くなかったため、『独活の大木』のように使われたのが起源の一つと考えられる。
一方、『あほんだら』はそういう鱈がいた訳でなく、『阿呆太郎』からきたもので阿呆を強めて言うときに使われる。

因みにこういった『罵倒語』を研究している人もいるようで『賞賛語・罵倒語辞典』という本が出されていることを始めてしった。一度機会があれば是非読んでみたい。

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