労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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雇用保険法・子ども ・ 子育て支援法等の改正

2024-08-01 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 2024年5月10日に、「多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、『人への投資』の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。」という趣旨で成立した雇用保険法など。
【改正の概要】
1 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
○雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する。
※ これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。

2 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
①自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする 。
※ 自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する。(通達)
②教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる。
※ 教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する。(省令)
③自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。

3 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】(施行期日2025年4月1日)
①育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置を廃止する。
※ 本来は給付費の1/8 だが、暫定措置で1/80とされている。
②育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%⇒0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%⇒0.4%)られるようにする。
※ ①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整 。

4 その他雇用保険制度の見直し 【 雇用保険法 】
○教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%⇒60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する 。

【施行期日】令和7年4月1日。ただし、3①及び4の一部は公布日、2②は令和6年10月1日、2③は令和7年10月1日、1は令和 10年10月1日


 2024年6月5日に、「こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)の『加速化プラン』に盛り込まれた施策を着実に実行するため、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化、全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進に資する施策の実施に必要な措置を講じるとともに、こども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるための子ども・子育て支援特別会計を創設し、児童手当等に充てるための子ども・子育て支援金制度を創設する。」という趣旨で成立した子ども・子育て支援法など。
【改正の概要】
3 共働き ・ 共育ての推進 【 ① 雇用保険法等 、 ② 国民年金法 】
①両親ともに育児休業を取得した場合に支給する出生後休業支援給付及び育児期に時短勤務を行った場合に支給する育児時短就業給付を創設する。


育児休業給付の給付率引上げ
【現状・課題】
○育児休業を取得した場合、休業開始から通算180日までは賃金の67%(手取りで8割相当)、180日経過後は50%が支給。
○若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくため、夫婦ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる。
【見直し内容】
○子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。
※配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
<財源>子ども・子育て支援金を充当 <施行期日>2025(令和7)年4月1日


育児時短就業給付の創設
【現状・課題】
○現状では、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して給付する制度はない。
○「共働き・共育て」の推進や、子の出生・育児休業後の労働者の育児とキャリア形成の両立支援の観点から、 柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できるようにすることが求められる。
【見直し内容】
○被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付を創設 。
○給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
<財源>子ども・子育て支援金を充当 <施行期日> 2025(令和7)年4月1日

【施行期日の整理】
〇交付日(2024年5月17日)
・育児休業給付の国庫負担を引き下げる暫定措置の廃止
・介護休業給付の国庫負担を引き下げる暫定措置は引き続き令和8年度末まで延長
〇2024年10月
・教育訓練給付の給付率を引き上げ(最大70%⇒最大80%)
〇2025年4月
・自己都合離職者が教育訓練等を自ら受講した場合の給付制限解除
・自己都合離職者の給付制限を短縮(原則2か月⇒原則1か月)
・育児休業給付に係る保険料率の引き上げ(0.4%⇒0.5%)および財政状況に応じて料率を0.4%に引き下げることができる弾力的な仕組みの導入
・教育訓練支援給付金の給付率を引き下げ(基本手当の80%⇒60%)および令和8年度末まで延長
・就業手当の廃止
・就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げ
・雇止めの離職者の基本手当の給付日数に係る暫定措置を令和8年度末まで延長
・地域延長給付の暫定措置を令和8年度末まで延長
・出生後休業支援給付の創設
・育児時短就業給付の創設
〇2025年10月
・教育訓練休暇給付金の創設
・教育訓練費用等の融資制度の創設(求職者支援事業)
〇2028年10月
・雇用保険の適用拡大(週所定労働時間20時間以上⇒10時間以上)
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