労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

改正育児介護休業法(基本的に2025年4月1日施行)の内容、前向きな改正ではあるが、企業(特に中小企業)には負担が大きくなるかな…

2024-07-11 | 書記長社労士 法改正 労働関係

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要 (令和6年法律第 42 号、令和6年5月 31 日公布)
【改正の概要】
1 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充 【 育児 ・ 介護休業法 】
①3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。
※始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択
②所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
③子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
⑤妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。

2 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】
①育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1000人超)の事業主に拡大する。
②次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握 ・数値目標の設定を事業主に義務付ける。
③次世代育成支援対策推進法の有効期限(現行は令和7年3月31日まで)を令和17年3月31日まで、10年間延長する。

3 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】
①労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
②労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
③介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
④家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。 等

【施行期日】
令和7年4月1日(ただし、2③は公布日、1①及び⑤は公布の日から起算して1年6月以内において政令で定める日)


①柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務になります。
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日
●3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
●事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

・事業主は、①始業時刻等の変更、②テレワーク等(10日/月)、③保育施設の設置運営等、④新たな休暇の付与(10日/)、⑤短時間勤務制度の中から2以上の制度を選択して措置する必要があります。(※各選択肢の詳細は省令等)
※テレワーク等と新たな休暇は、原則時間単位で取得可とする。詳細は省令。
・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
・事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
・個別周知・意向確認の方法は、今後、省令により、面談や書面交付等とされる予定です。

②所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡大されます。
施行日:令和7年4月1日
改正前:3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能
⇒ 改正後:小学校就学前の子 を養育する労働者が請求可能に

③育児のためのテレワークの導入が努力義務化されます。
施行日:令和7年4月1日
●3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

④子の看護休暇が見直されます。
施行日:令和7年4月1日
【名称 】改正前「子の看護休暇」 ⇒ 改正後「子の看護等休暇」
【対象となる子の範囲 】改正前「小学校就学の始期に達するまで」 ⇒ 改正後「小学校3年生修了までに延長」
【取得事由 】改正前「病気・けが、予防接種・健康診断」 ⇒ 改正後「感染症に伴う学級閉鎖等、入園、入学式、卒園式を追加」
【労使協定の締結により除外できる労働者 】改正前「(1)引き続き雇用された期間が6か月未満、(2)週の所定労働日数が2日以下」 ⇒ 改正後「(1) を撤廃し、(2)のみに」


⑤仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主の義務になります。
施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日
●妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務づけられます。
・意向聴取の方法は、省令により、面談や書面の交付等とする予定です。
・具体的な配慮の例として、自社の状況に応じて、勤務時間帯・勤務地にかかる配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直し等を指針で示す予定です。
さらに、配慮に当たって、望ましい対応として、
*子に障害がある場合等で希望するときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を延長すること
*ひとり親家庭の場合で希望するときは、子の看護等休暇等の付与日数に配慮すること
等を指針で示す予定です。


⑥育児休業取得状況の公表義務が 300 人超の企業に拡大されます。
施行日:令和7年4月1日
●従業員数300人超の企業に、 育児休業等の取得の状況を公表 することが義務付けられます。(現行では、従業員数 1,000 人超の企業に公表が義務付けられています。)

⑦育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定が義務付けられます。
施行日:令和7年4月1日
従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次のことが義務付けられます。 (従業員数 100 人以下の企業は、努力義務の対象です。)
●計画策定時の育児休業取得状況 (※1)や労働時間の状況(※2) 把握等(PDCA サイクルの実施)
●育児休業取得状況(※1)や労働時間の状況(※2)に関する 数値目標の設定
(※1)省令により、男性の育児休業等取得率とする予定です。
(※2)省令により、フルタイム労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等とする予定です。
・一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。
・施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。


⑧介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が事業主の義務になります。
施行日:令和7年4月1日
●介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(※面談・書面交付等による。詳細は省令。)
●介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する 情報提供
●仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
(※研修、相談窓口設置等のいずれかを選択して措置。詳細は省令。)
●要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
●介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止
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