2009年8月29日撮影
ぽんと出た別荘山から出た出た月が
おわら踊りにオワラ浮かれ出た
小杉放庵
『八尾四季』と並ぶ『八尾八景』の一首、『別荘山の明月』の唄である。
『八尾八景』については、同氏の一文がある。
「昭和庚午(五年)十月予の八尾を訪うを待ちて、川崎国手おわら総寄せを行わんとする報を得て感激してこの八景を作る。
十二日秋晴城ヶ山の寄衆百余人、晴天の下歌舞して夕に及ぶ。
近年風流この如きもの少し。 放庵」
「2」の歌碑に向かうのと同じ道順だが、坂のまち大橋までに至らぬ手前の右側、旅館「富久志満」の入口に建っている。
地図を見ると、「富久志満」は井田川沿いにあるので、ここから対岸の旧町とその背後に横たわる別荘山を見渡す事が出来るのではないだろうか。
そうであれば、去る9月4日の夜に私が町民ひろばから見たのと同じような月が、別荘山の上に見えることだろう。
なお、この唄は「五文字冠り」である。
おわら節の基本形は上の句が七・七、下の句が七・オワラ・五である。
そして上の句、下の句をそれぞれ息継ぎなしで歌い上げる、という難曲である。
「五文字冠り」は、上の句七・七の上に更に五が加わり、これを一息で歌わなければならないのでより難しく、かつ、歌いきった後にはめまいを起こすかもしれない。
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