●今日の一枚 56●
Kaoru Abe
Solo Live At Gaya vol.9
阿部薫には昔からなんとなく興味があった。音楽的というよりは、文学的興味といったほうがいい。ものの本や雑誌などで語られるその天才的といわれるアルト・サックスと頽廃的で破滅的な人生に興味があったのだ。10年程前、中古CD店でこのCDを見つけ購入したが、トレイにのせることなく今日まで放置してしまった。
今日、阿部薫を初めて聴いた。すんなり身体にはいってきた。こういう音楽を聴きたかったのだと思った。フリージャズの演奏なのに、どこかに叙情的なものが感じられる。それも日本的な叙情性だ。この作品は初台のライブハウス「騒(ガヤ)」でのライブの実況録音盤であり、10枚セットのうちの vol.9 のようだ。1978.7.7 の録音とあるが、阿部薫がブロバリン98錠を飲んで死んだのが1978年の9月なので、死の2ヶ月前の演奏ということになる。このCDでは、Lover Come Back To Me 一曲のみが38分24秒にわたって演奏される。曲の原型はほとんどぶち壊されているのに、曲の芯にある叙情性だけが漂っている。不思議な演奏だ。
阿部薫については、妻の鈴木いずみとの関係も含めて興味が尽きない。この2人については『エンドレス・ワルツ』という映画にもなっているようだが、もちろんまだ見ていない。webで阿部についてのいくつかの知見を得たが、興味は増すばかりである。恐らくは、CDやレコードをもう少し集めることになりそうだ。
webページで阿部薫のライブ映像を発見したので紹介しておく。 http://tatsu001.blog50.fc2.com/blog-date-20060729.html
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